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第14話「水面下」

「わかりました先生。その1年生を早く潰してしまいましょう。あぁ、そう言えば死なないんでしたね。じゃあどうしましょうか? 四肢を潰して恐怖を与えましょう。そのあと頭を潰して、再生する部分を何度も踏み潰すんです。ゆっくり、丁寧に……」


「待て、落ち着いてほしい。無闇に近づくのは危険だ。なにか方法を考えてから動いた方がいい」


「さすが先生。お見事です」


「リーネットより君が怖くなってきた……」


 保健室のベッドでふたり並んで座る。

 いや、カプノスは座らされた。

 

 リーネットは横暴だが、まだ話ができる。

 ルヴィアは大人しいが、すぐ結論が飛躍する。


 真逆であり、しかしどちらも強引だ。

 今後も相対する感情に振り回されることを考えると、少々気が重く感じるが……。


「お~、なんだ? 保健室だからって盛りやがってんのか?」


「チッ」


「やぁリーネット。散歩はもういいのかい?」


「飽きた。ここで寝たい」


「寝るな。君にも情報を伝えておく」


 情報を伝えた直後に、リーネットが1年生の教室へ殴り込みへ行くことは予想できたので、首根っこを掴み阻止した。

 

「やると思った! 絶対やると思ったよ! また反省文書きたいのか!」


「うるせー! こういうのはチマチマ考えずにぶん殴りゃ大体解決するんだよ!」


「アホかー! 作戦を立てるんだよ! 相手はすでにロベリアっていう怪能の持ち主と水面下でやりあってる。わかるかい? もう我々の間だけの問題じゃないんだ」


「最ッッッ高じゃねえか。盛り上がってきたなコノヤロウ!!」


「マジで黙れ」


 リーネットはこんな調子だ。

 ルヴィアは呆れて首を横に振る。


「ところで、その情報渡したロベリアってナニモンだ?」


「やっぱ君知らないか」


「ロベリア・ロベリア。生徒会直属の学院治安部長を務めるエリートですよ。なにも知らないんですね」


「君と同じ孤児院で育ったてさ。姉みたいなもんだって言ってたよ」


「は? 撃てよ」


「滑らかに暴力にシフトしたね君の思考。やっぱありえないよ」


「いや、姉を名乗る不審者とか撃っていいだろ。しかも持ち主なんだろ? 撃てよ」


「撃ってどうにかなる相手じゃない。わかるだろ」


 少なくともこの3人で挑んでも、勝てるかどうか。

 だがそのことは言わないでおいた。


 例の1年生に注力すべきであり、ほかのことに散漫になるべきではない。

 言えば本当に散漫になりかねないから怖いのだ。


「敵は小賢しいが、情報が特定されているのなら監視はしやすい」


「持ち主を探せばいいんですね」


「そうだ。まずは探すだけだ。我々のことにまだ気がついてないのなら、作戦も立てやすいだろうしね」


「まだるっこしいな」


「君が一番心配なんだよ。臨機応変とアドリブをごっちゃに考えるタイプだろ?」


「は? 同じだろ」


「辞典ひけ」


「めんどい」


「これが今の若者か……」


「せ、先生! 私と一緒に行動しませんか?」


「お、デートの続きか?」


「アナタは黙っててください。……先生、私は先生のお役に立ちたいです」


「う~ん、監視するだけなら」


「おい、アタシはなにすればいい?」


「君はそうだな。昇降口を見張っててくれ。手紙とか小包とか、奇妙なものがあったら開けずにルヴィアに知らせるんだ」


「昇降口な。了解。って、え? ルヴィアに? なんで?」


「スマホって電話ができるんだろう? メッセージだって送れる。どっちでもいいから互いに連絡をとってだな」


「先生、リーネットさんと連絡先交換するの、嫌です」


「アタシはどっちでもいい。交換する作業もめんどい」


「なんなの君たち……」


 ひとりで突っ走るなよと忠告したのち解散。

 こちらの動きを気取られないよう、放課後まで各自通常通りの時間を過ごす。

 

 ────そして放課後。

 リーネットは昇降口の壁際にて待機する。

 向かい側は1年生のエリアとなるため、向こう側から見れば陰になってリーネットの姿は見えない。


 1年生がぞろぞろとエリアへ向かって歩いてくる。

 気落ちしている者や駄弁っている者たちの姿を見ながら、神経を研ぎ澄ませた。


 それらしい者が見つからないまま待つこと20分ほど。

 見覚えのある男子生徒が昇降口までやってきた。


 カミソリレターのことを教えてくれた生徒だ。


「あれ? なんだこれ。手紙だ……え、まさかっ!」


 下駄箱を覗き込んだ彼が仰け反るように退いた。

 彼がどうしようか迷っている間に、


「おい」


「わぁ! リーネットさん!?」


「それ、渡せ」


「わ、渡せって……これ!? 待ってくださいよ。危ないですって!」


「いや、だからなんで敬語なんだよ変な奴だな……まぁそんなこたぁどうでもいい。それをこっちによこせ。アタシが処理する」


「え、でも」


「よこせ!」


「わ、わ、わかったよ。大声出さないでってば」


 受け取った茶封筒の外側からでもわかる。

 触れれば硬く、小さい。


 いつ入れた?

 なぜ入れた?


 浮かぶ疑念をすっ飛ばし、リーネットは駆ける。

 ここにはいない。まだ校舎の中だ。


 リーネットの中で嫌な予感がした。

 向かうは1年生の教室が並ぶ棟だ。


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