芽吹きの季節、積み上がった結果
気がつけば、冬はあっという間に終わりを迎えていた。
朝、目を覚ますのが苦ではない。
窓から差し込む光も、どこか柔らかい。
……春、か
外へ出ると、雪はすでに大半が溶け、地面のあちこちから土の色が覗いていた。
冷たい風の中に、かすかだが確かな温もりが混じっている。
新たな芽吹きの季節。
今年も、春はちゃんと訪れていた。
今年の冬を振り返ってみる。
食料不足は起きなかった。
それどころか、乾燥パスタの備蓄は減るどころか、さらに積み上がった。
冬の間の仕事も途切れず、木工所も加工場も稼働し続けていた。
……かなり、上手くいったな
自画自賛になるが、これは事実だ。
「何も起きなかった」という結果こそ、最良だった。
特に効果が大きかったのは、害獣対策クロスボウだ。
冬の間、鹿や猪が例年より多く仕留められたという報告が各村から上がってきている。
畑を荒らす厄介者ではあるが、捕れれば話は別だ。
肉は塩漬けや燻製に。皮は革へ。
骨や脂も、無駄なく使われる。
捨てるところは、一つもない。
資源……なんだよな、結局。
被害として見れば厄介。
だが、対処できる手段があれば、価値に変わる。
狩人だけに頼っていた頃とは違い、村単位で対応できるようになったのも大きい。
結果として、
・農作物の被害は減り
・食料は増え
・冬場の仕事も確保された
理想的すぎて、少し怖いくらいだ。
前世の記憶では、冬は耐える季節だった。
我慢し、削り、失うものの方が多かった。
だが今年は違う。
積み上がり、残り、次へ繋がる冬だった。
エドワルドは、溶け残った雪の向こうに広がる畑を眺める。
もうすぐ、種を撒く時期が来る。
今年は、どれだけ芽吹くだろうか。
この春も……ちゃんと、準備はできている
胸の奥に、静かな確信が灯る。
冬は越えた。だが、本当の意味での試練は、これからだ。
芽吹く季節と共に、
領地も、そして未来も、次の段階へ進もうとしていた。




