表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
反乱で処刑された若き領主、気づいたら過去に戻っていました。  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/152

冬に向けた準備ともう一つの切り札

鮭の件については、過去の資料と今回の状況、そして現時点での推測をできる限り細かくまとめ、書面にして提出しておいた。


・冬のある短期間に集中して獲れる可能性

・獲りすぎれば翌年以降に影響が出る恐れ

・簡易な罠でも大量に捕獲できる危険性


憶測ではあるが、放置していい内容ではない。数字と事実、そして「分からないことは分からない」と明記する。


結論としては――罠は一時中断。


これから冬が本格化する。

川に近づくこと自体が危険になる時期だ。


「春になったら、また仕掛けてみる」


情報が少なすぎる以上、一年を通して観察するしかない。急ぎすぎれば、鮭そのものを失う可能性すらある。


ひとまず、今回の件は“調査段階”で止める。

それが、領地にとって最も安全な判断だ。



冬になると、できることはどうしても限られてくる。畑は休み、川も危険、屋外作業は短時間が限界だ。


だが――その分、腰を据えて向き合える時間も増える。……そろそろ、もう一つに専念できるな。

エドワルドの脳裏に浮かんだのは、前世の記憶だった。


戦場で見た“それ”。


クロスボウ。


うちの軍にはなかった武器。だが、敵は当たり前のように使っていた。


扱いやすく、力も技量もそれほど要らない。

数回の練習で、誰でも一定の精度を出せる。


連射ができないという欠点はある。

だが――数が揃えば、欠点じゃない。


撃って、下がり、また別の者が撃つ。

そうやって回されただけで、こちらは前に出られなかった。


被害は、甚大だった。


仕組み自体は単純だった。

だが、気づいた時には遅く、数を揃える時間もなかった。……だからこそ、今だ。


戦のためではない。少なくとも、表向きは。


名目は、冬の害獣対策


鹿や猪。冬場に増える被害は、誰もが知っている。


「農地を守るため」


「領民の安全のため」


その理由なら、誰も不審には思わない。仕組みは覚えてる


トリガー、弓部、溝、固定具。

木と金属、最低限で作れる。


まずは試作。量産は、その後だ。


「……よし」


エドワルドは外套を羽織り、屋敷を出た。


向かう先は、木工師の工房。


冬は、静かだ。

だからこそ――


次の備えを、誰にも気づかれぬうちに進めるには、ちょうどいい季節だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ