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反乱で処刑された若き領主、気づいたら過去に戻っていました。  作者:


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根を下ろす準備

砂糖楓の苗木が、ようやく届いた。


思っていたよりも時間がかかったが、数を確認して小さく息を吐く。

五十本分。十分だ。


箱を開けると、まだ細いがしっかりとした苗木が並んでいる。

根の状態も悪くない。


「……これが、か」


砂糖が取れるまでには、まだ随分と時間がかかる。だが、この木は「今すぐ」のためのものじゃない。

もっと先――領地の先を見据えたものだ。


苗木同士の間隔は、かなり取らなければならない。枝も根も広がる。半端な場所では育たない。


それなりの広さが必要になるが、その点は問題なかった。土地については、すでに父の了解をもらっている。


「使っていない土地なら、構わん。先を見て動くのは悪くない」


そう言っていたのを思い出す。



畑の端、予定していた区画に二人を呼ぶ。


「今日は、この苗木を植えます」


「間隔は広めに取ります。近すぎると、後で困るので」


二人は苗木を見て、少し驚いた顔をした。


「木、ですか」


「しかも、こんなに間を空けるんですね」


「はい。時間がかかる木なので」


それ以上は説明しない。

今は、植えることが大事だ。


穴を掘り、根を傷めないように据え、土を戻す。水をやり、軽く踏み固める。


一つ一つは、単純な作業だ。

だが、数がある。


三人で作業を進めると、思っていたよりも早く形になっていく。


……やっぱり、人手は違うな


以前なら、一日仕事だっただろう。

今は、途中で手を止めて苗の状態を確認する余裕すらある。



植え終わった後、並んだ苗木を眺める。


まだ頼りない細さだ。

風が吹けば揺れ、冬を越すのも簡単じゃないだろう。


それでも――ここから始まる。


「すぐに何かが変わるわけじゃない」


そう分かっていても、胸の奥が静かに熱を持つ。


「この木は、何年くらいで役に立つんですか?」


二人のうちの一人が、ぽつりと聞いてきた。


「……ずっと先です」


「でも、先に植えておかないと、もっと先になります」


その答えに、二人は顔を見合わせてから、小さく頷いた。


理解した、というより。

受け入れた、という表情だった。



苗木は、まだ何も生まない。

だが、根はこれから、確実に土へ伸びていく。


目に見えないところで、少しずつ。


エドワルドは、その光景を頭に描きながら、静かに思った。


今の領地も、同じだ。

派手な成果はなくても、下で根が張られ始めている。


時間はかかる。だが、確実に。


「さて……水を忘れずにやらないとな」


そう言って、桶を手に取った。

今日もまた、未来に向けた一日が、静かに積み重なっていく。

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