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反乱で処刑された若き領主、気づいたら過去に戻っていました。  作者:


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余白が生むもの

少しずつ引き継ぎを進めて、数日が経った。


まだ完全ではない。

正直に言えば、任せきりには程遠い。


だが――それで充分だった。


「分からないことがあったら、すぐ聞いてください」

「気づいたことがあれば、遠慮なく言ってもらえると助かります」


そう伝えてある。


二人は、最初こそ遠慮がちだったが、今では作業の合間に声を掛けてくるようになった。

餌の量、水の流れ、土の具合。

小さな疑問を、その場で確認する。


それだけで、十分に回っている。


(……これでいい)


エドワルドは、少し離れた場所から作業の様子を見ながら、そう感じていた。



時間が、できた。


ほんのわずかだが、確かな余裕。


今までは、目の前の作業を終わらせることで精一杯だった。

考える時間も、振り返る時間も、次の一手を探す余裕もなかった。


だが今は――

視線が、自然と外へ向く。


(そういえば……)


父に渡した、じゃじゃ芋の話。


あれから、どうなったのか。

ふと思い出した矢先、屋敷で聞いた話が耳に入った。


「放棄されていた農地を、手入れし直すそうです」

「じゃじゃ芋の作付面積を、広げる方針だとか」


思わず、足を止めた。


(やっぱりな)


手が回らなかったから、できなかった。

余裕がなかったから、後回しにしていた。


それが、少し整っただけで――

動き出す。


作物そのものが増えるだけじゃない。

荒れていた土地が戻り、働き口が生まれ、流れが変わる。


(これも……余裕、か)



自分のところも同じだった。


一人で抱えていた頃は、広げるどころか維持で精一杯だった。

だが、人に任せ、時間が生まれた途端、考えが先へ伸びる。


父も、同じなのだろう。


「余裕が出来てこそ、手が回る」


ぽつりと、独り言のように呟く。


未来を変えるために、何か特別なことをしたわけじゃない。

ただ、少しずつ整えて、余白を作っただけだ。


それでも――

止まっていた歯車は、確かに動き始めている。


エドワルドは、遠くの畑を見渡した。


今はまだ、小さな変化。

だが、この余白があれば、次を考えられる。


(……次は、何に手を伸ばす?)


その問いを胸に、エドワルドはゆっくりと歩き出した。

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