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反乱で処刑された若き領主、気づいたら過去に戻っていました。  作者:


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名もなき募集

それなら――早速、動こう。


エドワルドは、机に向かいながらそう思った。


父から許可は出た。形も決まった。

あとは、やるだけだ。


とはいえ、大げさなことは出来ない。

王都に触れを出すわけでもないし、正式な役職を与える話でもない。


(まずは、一人でいい)


一人来れば、全然違う。

二人来れば、回り始める。

三人来たら――考える余裕が生まれる。


「……欲張るな」


自分に言い聞かせ、紙を一枚取り出す。



書く内容は、極力シンプルにした。


・家畜(セキシャク鳥・豚)の世話

・肥料作りの補助

・畑仕事の手伝い


給金は最低限。

だが、学べることがある。

経験が残る。


(盛らない。誤魔化さない)


出来ないことは出来ないと書く。

楽だとも、儲かるとも書かない。


最後に、一文だけ付け足した。


「続けられる人、歓迎」


それだけだ。



張り紙は、村の掲示板と、納屋の壁。

農家の人が集まりやすい場所を選んだ。


張り終えた瞬間、妙な緊張が走る。


(……誰も来なかったら)


一瞬、そんな考えがよぎる。


だが、すぐに首を振った。


来なければ、それも結果だ。

その時は、やり方を変えればいい。


急ぐな。積み上げろ。

それは、これまで自分がやってきたことと同じだ。



その日の夕方。


畑の見回りを終え、セキシャク鳥の囲いを確認していると、背後から声がした。


「坊ちゃん……いや、エドワルド様」


振り返ると、見覚えのある顔だった。

以前、肥料作りを手伝ってくれた農家の男だ。


まだ若い。だが、目が落ち着いている。


「張り紙、見ました」


心臓が、少しだけ跳ねた。


「……はい」


「すぐにって話じゃなくていいんですが」


男は、少しだけ言いづらそうに続ける。


「うちの弟がな、今年で畑を離れようかって言ってまして、仕事が無いわけじゃないが……この先が見えない、と」


エドワルドは、黙って聞いた。


「もし、話を聞いてもらえるなら、一度、連れて来てもいいですか?」


(……もう、届いてる)


まだ始めたばかりだ。正式な募集ですらない。


それでも――


「はい」


エドワルドは、はっきりと答えた。


「一度、話しましょう」


男は、ほっとしたように頭を下げた。


「ありがとうございます」



日が落ち、屋敷へ戻る道すがら、エドワルドは空を見上げた。


大きな変化じゃない。

劇的な出来事でもない。


だが――


(動いたな)


紙一枚。一行の言葉。

それだけで、人が一人、考え始めた。


未来を変えるのは、いつもこういうものだ。

小さくて静かで気づかれにくい。


エドワルドは、歩みを止めずに進む。


一人でもいい。集まれば、道になる。

それを、もう知っているから。

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