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反乱で処刑された若き領主、気づいたら過去に戻っていました。  作者:


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強さの方向

硬豆の方は、まだ油断は出来ないが、このまま任せてみよう。

下手に口を出して混乱させるより、今は経過観察だ。


その間、俺は別の手を考えるべきだろう。

一つに頼るのは危険だ。どれだけ手応えがあっても、天候一つで崩れる。


「困った時は……商人、か」


情報が集まる場所だ。

だが、いざ聞くとなると、何を聞けばいい?


不作の原因。

長雨、日照不足、涼しすぎる夏。

それらに強い作物――雨に強く、寒さにも強い。そんな都合の良い穀物があるのか?


「……いやいや」


自分で考えて、すぐに首を振る。

そんな万能な作物があれば、とっくに主力になっている。


実際に商人に聞いてみても、返ってきた答えは似たようなものだった。


「全部に強い、ってのは流石に無いですね」


まあ、そうだよな。

だが、話はそこで終わらなかった。


「ただ、どれか一つに強い、ってのはありますよ」


例えば蕪。

正直、あれは強い。土地を選ばず、多少雑に扱っても育つ。

俺が適当に蒔いても育ったくらいだ。本気の農家が手を掛ければ、収量も見栄えも段違いだろう。


他には黒麦。

乾燥に強く、痩せた土地でも育つ。小麦ほどの扱いやすさは無いが、保険としては十分だ。


「結局、分散か……」


一つで全てを賄うのは無理でも、複数を組み合わせれば被害は抑えられる。

硬豆、小麦、じゃじゃ芋、蕪、黒麦。


完璧ではない。

だが、前よりは確実に強くなっている。


「少しずつ、だな」


俺は頭の中で作付けの配置を思い描きながら、次の一手を考え始めていた。


なら、その二種類の種を分けてもらい、ついでに軽く育て方の説明も聞くことにした。


黒麦については、小麦と大きな違いはないらしい。

種を蒔く時期もほぼ同じで、畑の整え方も似たようなもの。ただ、痩せた土地でも育つ分、肥料は控えめで良いとのことだった。過剰に与えると倒れやすくなるらしい。


「丈夫だが、放置し過ぎてもいけない」


その言葉は、黒麦という作物の性質を端的に表している気がした。


一方、蕪はさらに大雑把だ。


「適当に蒔いとけば大丈夫ですよ」


あまりにも簡単な説明に、思わず聞き返してしまったが、商人は笑って頷いた。

水は必要だが、多少の寒さにも耐える。冬場は成長が遅くなるが、時間をかければ育つ。

葉も根も食べられるため、無駄が少ないのも利点だ。


「なるほどな……」


不作の年でも、どれかは生き残る。

それだけで意味がある。


万能ではないが、強さの方向が違う作物を揃えることで、領地全体の耐久力は確実に上がる。

硬豆に全てを賭けるのではなく、選択肢を増やす。


俺は受け取った種袋を見下ろしながら、次の季節の畑の姿を思い描いていた。

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