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反乱で処刑された若き領主、気づいたら過去に戻っていました。  作者:


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予想外の成長

硬豆の様子に気を取られていた矢先、今度は別の報告が飛び込んできた。

ベリー畑を見回っていた者が、慌てた様子で戻ってきたのだ。


「何かあったのか?」


そう問い返すより早く、様子を見てほしいと言われ、そのまま畑へ向かった。


到着して、思わず言葉を失う。


「……何じゃこりゃ?」


そこには、勢いよく枝を伸ばしたベリーの木々があった。

以前とは比べ物にならないほど枝が長く、四方へと広がっている。

葉も大きく、色も濃い。生命力が溢れている、とでも言うべき光景だった。


森の中で自然に育っていた頃、こんな姿は見たことがない。

もっと控えめで、他の木々に埋もれるように生えていたはずだ。


「環境が良くなった……のか?」


水は安定して与えられている。

雑草も管理され、土も耕されている。

何より、陽当たりの良い場所へ植え替えたのが大きいのかもしれない。


それとも、その全てが重なった結果か。


理由は正確には分からないが、一つだけ確かな事がある。

これは、悪い兆候ではない。


「……まあ、いい方向に育ってるのは間違いない、よな?多分」


自分に言い聞かせるように呟く。

枝ぶりを見る限り、実を付ける力も十分にありそうだ。


この調子なら、夏から秋にかけてが楽しみだ。

収穫量も、以前の比ではないかもしれない。


硬豆にベリー。

一つ一つは小さな変化だが、確実に領内の土が応えてきている。


季節が進んだ先に、どんな景色が待っているのか。

自然と、期待が胸に膨らんでいった。



硬豆は、日に日に順調に育っていった。

芽は真っ直ぐに伸び、葉の色も良い。全体を見渡しても、育ちに大きな差はなく、揃っている。


前回の記憶を思い返す。

発芽したはいいが、所々で消え、残った苗も弱々しかった。

それに比べれば、今回は明らかに安定している。


「やっぱり、一手間かけたお陰……か?」


小屋で育て、寒さと鳥から守り、ある程度まで成長させてから畑へ移す。

理屈としては単純だが、実際にこうして結果を見ると、その意味がよく分かる。


植物は嘘をつかない。

やった分だけ、きちんと応えてくれる。


「素直だな……」


思わずそんな言葉が漏れた。

余計なことをしなければ、余計に失敗もしない。

必要な事を、必要な分だけやる。それだけで、ここまで違う。


苗に目を落とし、そっと葉の様子を確認する。

茎もしっかりしてきている。根も十分に張り始めている頃だろう。


「……畑に直接植えるのは、もう少しかな」


焦る必要はない。

ここまで順調なら、あと数日、いや一週間ほど様子を見てもいい。


前回は、早く結果を出そうとして失敗した。

今回は違う。急がず、確実に。


硬豆の苗は、静かに、しかし確実に成長を続けていた。

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