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反乱で処刑された若き領主、気づいたら過去に戻っていました。  作者:


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苗から始める試み

結果として、農家達が選んだ方法は意外と手間の掛かるものだった。


使われていない小屋を利用し、その中に長方形の枡状に組んだ木枠を並べる。

その木枠に土を入れ、硬豆を蒔くというやり方だ。


まずは小屋の中で水を与え、発芽するまで管理する。

雨にも風にも晒されない環境だ。

芽が出揃ったら、今度は外へ運び出す。


太陽の光を十分に浴びさせるためだ。


だが、夜になれば再び小屋へ戻す。

まだ幼い苗には夜の冷え込みが厳し過ぎる。

寒さ対策として、この出し入れを毎日繰り返すという。


ある程度まで育った段階で、ようやく畑へ植え替える。

最初から畑に蒔いていた前回とは、やり方そのものがまるで違う。


正直なところ、ここまで手を掛けるとは思っていなかった。

だが農家達は口を揃えて言う。


「最初が一番弱い」


「そこを越えれば、後は強い」


なるほど、と納得する。

確かに前回は、芽が出る前後で多くが駄目になった。虫、雨、冷え込み。

原因はいくらでも考えられる。


今回は、それらを出来る限り避けるやり方だ。成功するかどうかは、まだ分からない。


だが少なくとも、同じ失敗を繰り返すつもりは無いという意思は伝わってくる。


結果が出るのは、もう少し先。

今はただ、この新しい試みがどこへ辿り着くのかを見守るだけだ。


前回とは違う。

それだけでも、試す価値は十分にある。


数日も経たぬうちに、枡状の土から小さな芽が顔を出し始めた。

硬豆は、確かに発芽していた。


思わず目を凝らして見てしまう。

だが、そこには嫌な光景が無い。


鳥に豆を突かれた跡も無ければ、芽が引き抜かれた様子も無い。

若い芽が食い荒らされることも、今のところ一切起きていなかった。


……これは、かなり違う。


この段階で、被害がほぼ無い。

前回は芽が出たか出ないかの内に、半分以上が姿を消していた事を思えば、明らかな差だ。


「言われてみれば、確かにそうだよな……」


小屋の中なら鳥は入り込めない。

雨に叩かれる事も無く、冷え込みも抑えられる。

弱い時期を守る、ただそれだけの事だったのかもしれない。


だが前回は、そこにすら思い至らなかった。

畑に蒔いて、後は天任せ。

結果が振るわなかった理由も、今になってようやく腑に落ちる。


今の段階でも、はっきりと違いが分かる。

農家達の提案は、机上の空論では無かった。


芽吹いたばかりの緑を見つめながら、胸の奥がじわりと熱くなる。


これは……いけるかもしれない。


まだ始まったばかりだというのに、自然と口元が緩む。

久しぶりに、先の展開を想像するだけで心が躍った。


この小さな芽が、畑一面に広がる日を――

今は素直に、楽しみにしていよう。

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