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第23話 『駄目人間』の予感する『ビッグブラザー』の正体

「それにしても平和ね……こんな平和……いつまで続くのかしら」


 嵯峨の口に箸で唐揚げを運びながら安城はそうつぶやいた。


「秀美ちゃん!なんで新さんを独占して……それにいつだって新さんと最初にするのはアンタだよね……まあ、すぐにものすごい喘ぎ声をあげて白目をむいて倒れちゃうからあとはアタシと春子さんでじっくり新さんを満足させてあげてるんだけどね。それと新さんが春子さんを相手にしている間に意識がもうろうとしてるアンタをおもちゃにして反応を見るのもアタシとしては楽しみなんだけどね」


 そう言って嫉妬したような顔で二人を見つめるお蔦だが彼女もこんな四人の関係を楽しいと思い始めている自分を感じていた。


「いいんじゃない?平和なんだから……まあ、こんなのがいつまでも続く……それほど世の中は甘くないだろうけどね」


 嵯峨は唐揚げを食べながらそうつぶやいた。


「私が公安調査庁の今の私では知ることのできない部隊に居た時……私は『ビッグブラザー』から直接指令を受けられる地位にあった……嵯峨さんの推理ではそう言うことで間違いないのね?私が司法局に転属した時にはその時の第二十四世代アナログ式量子コンピュータ内臓の電子戦特化型義体を公安調査庁に返納した……その時の記憶のかけらでも残っていれば……」


 安城はそう言いながら上品におしんこを口に運んだ。


「それはそう規則で決まってるんだから仕方がないじゃないの。それにその時に公安調査庁がプライベートに関する記憶は消去せずに今の秀美さんの記憶の中に残っている。そしてその俺も知らないその時に秀美さんが所属していた部隊で何かを探っていた時に俺と出会っていたという記憶は今の秀美さんにもある。俺としてはそれで十分だよ」


 そう言って嵯峨は静かに安城の肩に手を伸ばした。安城はそのままもたれかかるように嵯峨の肩に寄り添った。


「でも、本当に嵯峨さんの言うように『ビッグブラザー』はあの男なの?あの男の経歴はあまりに公になりすぎている。『ビッグブラザー』が最低でも400年はこの東和共和国を支配していたと考えれば当然それが人間であれば不死人であるという結論になるんだけれど、あの男は見た目通りの78歳の老人。確かに年を取ってから不死人として覚醒するケースもあると聞いてはいるけど、あの男には若いころからの記録がすべて残っている。あの男が400年前から不死人であったと言う前提に立つ嵯峨さんの説には無理があると思うわよ」


 安城は嵯峨の手が自分の乳房をまさぐるのをされるがままにしながらそうつぶやいた。


「そうだ……でも記録なんて言う物はいくらでも捏造できるさ。証人がいる?それも『ビッグブラザー』の情報網と権力をもってすれば口裏合わせを強要することくらいなんでもない……『ビッグブラザー』は間違いなくあの男だ……秀美さんにはその確信ともいえる裏付けをとって欲しい……そしたら股間の方にも手を伸ばしてあげる」


 嵯峨はそう言ってニヤリと笑った。安城は一瞬呆れたような顔をすると照れたような笑みを浮かべてスカートの下に嵯峨の左手を導いた。

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