第16話 守備練習始まる!
「かえでの奴……」
誠の誰もが捕れない落差と思われたフォークを当たり前のように捕って自分を見つめて来るかえでを見て姉のかなめは複雑な表情で見つめ返した。
「投球練習はこんなもんだろ。とりあえず神前のフォークをオメエが捕れることが分かっただけで御の字だ。それじゃあ!レギュラーの守備練習!補欠の連中はキャッチボールを続けろよ!サボったらあとで射殺するからな!」
かなめは気を取り直してそう叫んだ。
「お姉さま、僕達はあと少し投球練習をしたいんだがどうだろうか?」
かえでのそんな言葉にかなめは偉そうに首を横に振った。
「アタシのノックは予告なしでどこに飛ぶか分からない体でやる。特に神前!オメエのフィールディングは島田やカウラに比べるとまだまだだ!あと、たまににキャッチャーフライや打球の死んだバントなんかもするからかえでも守備位置につけ」
非情にかなめはかえでに向けてそう言い放った。
「あのー、かなめちゃん。私はどこを守るの?隊長がファーストに入るということは……」
話しかけてきたパーラに対しかなめは面倒くさそうにレフトの守備位置を指さした。
それを見てパーラがレフトに走り出すのを見てレギュラーメンバーはそれぞれの守備位置を目指した。
センターは当然島田。いかにも得意ありげに手にしたボールをライトの守備位置にかなめが決めたアンとボールを投げあいながら守備位置を目指す。
サードにはのろのろとやる気の無さそうに歩くアメリア、一方きびきびとした動きでショートの位置にはカウラが入った。
恨めしそうな視線をサラから浴びながらリンはいつもの無表情でさもそれが当たり前のようにセカンドの守備位置に就く。
「じゃあ、俺がファーストか……野球やるのは久しぶりだな」
嵯峨はぶつぶつ言いながら右手のファーストグラブを叩きながらファーストベースまで歩いて行った。
「完璧な布陣だ……これならあの『菱川重工業豊川』にも勝てるかもしれねえ……あとはまあ、神前の投球と打線があの変則投手陣をどう打ち崩すかだけだな」
かなめはそう言ってグラウンドに散ったレギュラーメンバーを眺めていた。
補欠の部員。特にかえでにキャッチャーの位置を奪われた上に定位置だと思っていたレフトのポジションまでパーラが守るとかなめに言われてムカついていた大野はキャッチボールなんてやってられるかというように菰田が東都のレンタルショップから借りてきた最新鋭三軸式ピッチングマシンを前に一人ぶりを続けていた。




