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第12話 『駄目人間』のペースに巻き込まれつつある『公安の女剃刀』

「安城少佐と女将さんは良い。でもお蔦……オメエがなんでここにいる。アタシが呼んだのは叔父貴だけだ。叔父貴も叔父貴だ。アタシが練習が終わったらそのままラブホに直行しますというメンバーをそろえて練習に来いと言った覚えはアタシにはねえぞ」


 ニヤニヤ笑いながら素昆布を噛んでいる嵯峨を見上げながらかなめはそう言った。


「別に練習が終わった後で俺が何しようがかなめ坊には関係ないじゃん。それに三人とも俺の雄姿を一分でも長く見たいということで秀美さんなんか昨日の夜から仕事場から直行して俺んちに泊ってたんだから……まあ、そこで俺と秀美さんが何をしてたかはお蔦は見てたから知ってるし、たぶんここにいる全員の想像している通りだからそう言うことで良いよ。俺はプライドゼロの男だから特に気にしない」


「嵯峨さん。私はプライドゼロの女じゃないの。そんな事は人前では言わないで」


 相変わらず話をエロい方に持って行こうとする嵯峨のスパイクのつま先を安城がヒールのかかとで強く踏みしめた。そのまま痛みにしゃがみこむ嵯峨を見て誠は安城も完全に嵯峨の手の内で踊るギャグキャラと化しつつあることを痛感した。


「それよりだ!まずはランニングを軽くやってキャッチボールだ!そしてそのままレギュラーの野手は守備練習!神前はかえでと組んでピッチング練習だぞ!とっとと動け!」


 これ以上嵯峨のペースに巻き込まれたら終わりだと判断したのかかなめは真剣な表情で部員達に向ってそう叫んだ。


「島田先輩……隊長ってそんなにファーストの守備は上手いんですか?」


 ランニングが始まるとこういう時は先頭を走ることが多い誠だがわざと最後尾を面倒くさそうな表情でついていく島田の横まで聞いてそう尋ねた。


「隊長の守備ねえ……俺は当時は野球はルールを覚えるのでいっぱいいっぱいで今のアンみたいな状態だったからよく分かんねえけど、一つもエラーをしなかったのは事実だな。それと打撃は間違いなく一流だ。下手をしたら飛距離なら俺やオメエに匹敵するくらい飛ばすぞ」


 島田はそう言って帽子を直しながらランニングを見守るかなめに怒られない程度の遅さで走り続けた。


「確かに隊長がファーストをやるなら私の華麗なる守備はさらに生きるわね。隊長はどんなに送球が逸れても身体を伸ばして全部受け止めるから守ってて本当に助かるのよ……パーラが相手ならそんなことできないわ」


 いつの間にかちゃっかり誠の隣を走っていたアメリアがそう言って誠に笑いかけた。


「鉄壁の守備陣……これは負けられない……」


 もうすでにこの時点で初戦の先発が決まっている誠は自分自身に言い聞かせるようにそう言って身を引き締めた。

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