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E/O  作者: たま。
oβ・クラン
83/94

第74話・再戦!!魔人ラースⅠ

ラース戦は、未定ですが二話以上続きそうです。


3/2……編成人数の変更

3/5……設定に基づいてパーティ数を調整(忘れてました^^;)

3/8……レイド指揮役にヴィルヘルムを追加登場。それに伴い内容変更。

「これはこれは、皆様お揃いで……」


 何事もなく魔王サタンの城に辿りつき城のエントランスに侵入した俺達を待っていたのは、サタンの腹心ラースだった。

 執事風の服装にオールバックの髪型、片眼鏡に先がカールしている口ひげは、先の戦闘で見せた様相とは大きく異なるがこれが彼の正装だ。

 旧連合の際、惜しくも倒す事が出来なかったラースであるが、先の戦いでは玉座にいたのに今回はエントランスにいるは何故なんのだろうか。


「おや? 何故エントランスにいるか理由が聞きたいのですかな。

先の戦闘にて玉座より上を吹き飛ばしてしまいましたからな。

はは、お恥ずかしながらサタン様に他の場所でやれと苦言を申し付けられましてな」


 苦言を言われた割には、何故か楽しそうな雰囲気だ。


「それにしても、幾人か増えましたな?」


 ラースは、カールした髭の先を指で撫でながら少し考える。


「ふむ。エントランスでは無理そうですな」


 流石にサタンと言えど他の場所=エントランスとは言っていないと思うのだが……。

 むしろ、先の戦闘のように禁呪を使えば、城自体が吹き飛びそうだ。


「仕方ありますまい。 私とて全力を出せないのも困りますからな」


 ラースは、俺達には聞き取れない声量で何かを詠唱している。

 先制攻撃……という訳でもなさそうだ。

 というより、ラースからは、まだ戦闘の意思が感じられない。


栄光の玉座グノワールスローン


 ラースからエントランスを塗り替える様に闇の様な漆黒の何かが広がっていく。

 そして、エントラス全体を覆いつくすとそこには無限に広がるだだ広い空間があった。


「ここなら思う存分できましょう。

私を殺せばこの空間は解けます故、心配はご無用ですぞ。

それでは始めましょう。 皆様方クズども


 ラースの雰囲気が紳士から一気に変化する。

 冷酷な笑みを隠しきれていない表情は、まさに先の戦闘で見せた戦闘狂のラースそのものだった。

 何時の間にかラースの背中からは一対の魔人の翼があり、それを一回羽ばたかせると共に二メートルほど地上から離れた。

 何もない空間に手をかざすと魔方陣が現れ、彼の手首から先が埋没する。

 そして、一気に引き抜くと一振りの剣が手に握られていた。


 封神具召喚に似た魔法か……?

 ラースの手にした剣は如何にもと言う雰囲気を纏い、彩度の低い紫色のオーラを纏った刀身からは異様な威圧感があった。

 先の戦闘では使用されていないのでどういった武器なのか想像が出来ない。

 これでは旧連合組にあったラース戦の経験が活かせそうにない。


「……シッ……」


 ラースが突然手にした剣を横薙ぎする。

 地上二メートルの場所を飛んでいるラースの攻撃は、普通に考えれば俺達に届く筈がない。


「「ぐぁっ!??」」」


 しかし、俺達の後方つまり後衛のいる方向から数人の声が聞こえた。

 振り返ると二人の魔術師が胸を押さえひざまついていた。

 手で押さえた胸からは大量の血が流れている。


「ククククッ」


 あの剣は変だ……。

 見た目では想像出来ない程の射程がある様だ。


「G班、負傷者即時回復。 急げ」


 レイドの総指揮を任されているヴィルヘルムさんの指示が飛ぶ。

 HPが大幅に減少した二人の魔術師は即座に反応した法術師達によって全快にまで回復する。


「A班及びタンク要員は、挑発スキル発動」


 突然の攻撃で先制を許してしまったが、ヴィルヘルムさんの的確な指揮で気を取り直し俺達は戦闘を開始した。

 『神盾』の前衛タンクが陣形を組み、一斉に『煽動せんどう』を使う。

 また、それ以外のクランに所属しているタンクが、後衛と同パーティに入り『誘導ゆうどう』を使う。

 どちらのスキルも挑発に分類するスキルで用途は違うが似た性質を持っている。

 『誘導』に関しては保険の意味合いが強く、万が一『煽動』から漏れた敵の攻撃を『誘導』によって後衛へ当たらない様にする。

 つまり、『挑発』の二段構えという訳だ。

 これで幾ら高度なAIを有している魔人ラースと言えど、システム側の強制力でタンクへ攻撃せざる得ない状況となる。


 地上二メートルの上空にいるラースを地上へ下ろす為に弓・銃を扱う遠距離アタッカーが攻撃を開始する。

 俺達近接アタッカーは互いに目配せをしながら、遠距離アタッカーの隙を埋めるべく対空攻撃を行う。

 怒涛の攻撃であるが、そのほとんどラースは避けるか剣で弾いている。

 どうにかラースの動きを止め地上へ叩き落さないと俺らの攻撃が全て無駄玉になってしまう。


「C班・D班は後退!! E班攻撃準備」


 ヴィルヘルムさんから後退要請が入る。

 俺達はC班・D班の近接アタッカー部隊は、一気にラースから離れる。


「撃て!」


 離れたほぼ同じタイミングで弓アタッカーによる一斉範囲攻撃がラースに降り注ぐ。

 逃げる隙はなく、剣で弾くかダメージを受けるかの二択しかない。

 本来なら弓の範囲攻撃は、複数のMobを葬る為の攻撃で攻撃力は然程高くはない。

 しかし、今回は相手に避けさせない為の攻撃で攻撃力は重要ではない。


「甘いわっ!!!」


 ラースは、手に持つ剣を横薙ぎするとE班の放った矢の雨は一気に全て消え失せる。

 彼らの攻撃は、無意味と化した様に見えるがそこはヴィルヘルムさんでちゃんと考えている。

 ラースが横薙ぎした後の隙をE班の銃アタッカーによる必中または狙撃によって不可避の攻撃がラースへ命中する。


「C班・D班、攻撃開始」


 地上へ落下したラースを待ち受けるは、C班・D班の近接アタッカー部隊によるリンチである。

 とは言え、たこ殴りでは攻撃出来ない者の方が多くなるので、基本は斬り抜ける戦法だ。

 斬り抜け攻撃のない者は、ヒット&ウェイで攻撃をする。

 俺達がこの隙を逃す訳もなく絶え間ない攻撃がラースへ降り注ぐ。


「H班・I班、畳み込め!」


 一通り全員が攻撃を終えると止めとばかりに、『百槍』メンバーで構成されたH班・I班による槍のむしろが開始する。

 つまり、複数人による槍の串刺し攻撃だ。

 やれる時にやる、それが俺達の基本方針だ。

 六回目の槍のむしろ攻撃を喰らったラースは、ここで漸く立ち直り串刺しされた状態で周りを吹き飛ばした。

 それは大方の予想をしていた『百槍』は、大したダメージを負わずに吹き飛んだ反動を利用して後方へ下がる。


「いい様にやってくれるではないか……。

クハハ、楽しいのぅ楽しいのぅ。 人間!!」


 まだまだ、余裕のあるラースの雰囲気からして大したダメージにはなっていない様だ。

 実際、先の戦闘ではダメージを負う毎にラースの喋り方に変化があった。

 大分、口調が砕けて来てはいるが、まだ人間の範疇で変化がないにも等しい程度だ。


「A班ならびタンク要員、挑発スキル再発動。

G班、A班の回復。 洩らすなよ」


 仕切りなおしという事で、再びA班は『煽動』をE班からG班に所属する近接タンク達は『誘導』を使う。

 そして、彼らの傷を癒す為にG班に所属する法術師達が一斉に回復魔法を使い全快させる。


 ラースは羽ばたかせ地上から離れると蛇行しながら後方へ下がる。

 そして、剣を持っていない左腕を上空へ腕を上げる。

 俺達とラースの間が大分離れた為、何を言っているのか分らないが恐らく何かしら詠唱しているもの思える。


「っ、不味いな。 C班からF班誰でも良い。 奴を止めろ!」


 E班・F班に所属する遠距離アタッカーの内、ラースに届く者が詠唱を止めようと攻撃しているが剣によって完全に弾かれている。

 俺が所属するC班全員でラースへ向けて駆け出す。

 俺は『縮地法』で一足先にラースへ攻撃を仕掛ける。

 何を詠唱しているのか分らないが、厭な予感しかしない。


『弐式抜刀術』


 跳躍後の攻撃の為、縦回転攻撃へと技が変化する。

 しかし、金属と金属がぶつかり合う甲高い音が何度も鳴り響き、俺は攻撃しながらもラースの剣で防がれていると察したが、空中なので自力で止める事が出来ない。

 『縮地法』からの『弐式抜刀術』が完全に防がれるとは思ってもみなかった。

 回転の勢いを止められるか地上まで落下しない限り技を止められないので、その間俺はある意味無防備だ。

 俺の攻撃を喰らってくれる相手なら問題ないが、止める様では非常にマズイ状況だ。


「!!」


 ラースは詠唱しながら右腕に持った剣を横薙ぎする。

 俺の回転攻撃は完全に止められた上に腹部を切り裂かれ吹き飛ばされる。


「……グッ!?」


 E/Oで感じられる痛覚のほぼ最大の痛みと画面が赤く一瞬だけ染まる。

 その直後、地面に叩きつけられ激突の痛みがまた走る。

 HPゲージは、三分の一減っているが耐えられない訳でもない。

 深く腹部を切り裂かれた割りには、奇跡的にも出血の状態異常もない。


「回復!!」


 即座に法術師による回復魔法でHPは全快する。

 俺はラースの魔術を直撃しない様にA班の後方まで退く。


「あの距離を一瞬で詰め寄るか……。

面白い。 御礼を与えねばな。『ラヴィネーション』!!」


 詠唱を終え魔術を発動させたラースから地面が赤熱する程の熱を帯びた波が俺達を襲う。

 禁呪の可能性がある。

 こんな魔術は聞いた事がない。

 最前衛のA班つまり『神盾』の近接タンクが防波堤の様に波の一切を引き受ける。

 彼らの盾が、赤から白へと熱を帯びていく。

 そして、熱に耐えられなくなってきた者からHPがかなりの勢いへ減少していく。

 法術師によって死なない様に回復されているが、この状態が続けば法術師のMPの方が先に無くなってしまうだろう。

 

 A班全員が耐えられなくなり膝ま付いた所でラースの魔術も終了する。

 魔術行使の後なので一瞬ではあるが、ラースに隙が生じる。


「A班後退!! B班前進!!」


 その隙を利用し間髪入れずヴィルヘルムさんの指示によりA班にからB班へタンク役が交代した。

戦闘は筆が進むのが早い……。


・魔王討伐隊編成・

A班⇒『神盾』近接タンク(二十名)

B班⇒『神盾』近接タンク(二十名)※交代要員

C班⇒混合近接アタッカー隊(アキラ所属、二十名)

D班⇒混合近接アタッカー隊(二十名)

E班⇒弓・銃アタッカー隊(二十名)

F班⇒魔術師アタッカー隊(十二名)

G班⇒精霊使い・法術師サポート隊(二十名)

H班⇒『百槍』近接アタッカー隊(二十名)

I班⇒『百槍』近接アタッカー隊(二十名)

J班⇒『獣将』獣化アタッカー隊(十二名)※切り札

それ以外のメンバーは補充人員

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