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E/O  作者: たま。
cβ・チュートリアル
21/94

第18話・負けられない理由Ⅱ

最初から最後まで戦闘です。

巧く書けたとは言えないので雰囲気だけでも伝われば良いな。

俺は覚悟を決めて再び構える。

負けなければ良いんだ。

負けなければ《流派》を習得出来、奴隷とやらにもならなくて済む。

こじ付けかもしれないが、こいつを倒せばスロゥスは手出し出来なくなる。

…と思いたい。


レベル・装備・ステータス構成において全て劣っているが、スピードだけは勝っていると思える。

と言うより《縮地法》と同等のスピードを出すには同じ《縮地法》でないと出せないと思う。

要は数撃ちゃ当たる…手数でダメージを蓄積していけば幾らレベル差が開いていようがいつかは倒れる…筈だ。


(縮地法!)


奴はまだ構えていない今がチャンスと俺は《縮地法》で接近し攻撃を仕掛ける。


「アマイわっ!」


が、しかし、読まれていた…否、タイミングを計っていたようで鞘からサムライソードが抜かれる前に奴の大剣が俺に振り下ろされる。

俺は咄嗟に攻撃対象を奴から大剣に変更し初め出す筈だった『壱式抜刀術・凪』から『弐式抜刀術・朧』へと切り替える。


『弐式抜刀術・朧』

”ガキィィィィン”


派手な音と共にお互いの武器が重なった部分から火花を散らす。

何とか奴の攻撃を避ける事に成功し《縮地法》の勢いのまま後ろへ通り過ぎる。

避ける事には成功したがサムライソードに大分負担を掛けたと思われる。


俺は咄嗟にサムライソードを見るが目立った破損はない。

が、耐久値が下がっているのは明白だ。

今後こういう事は避けないとダメだ。

イスカ刀は同レベル帯の武器と比較すると攻撃力や重量など優っているが耐久値だけは劣っている。

大剣などの大型武器に対しての《武器防御》や鍔迫り合いは極力してはいけない。

《回避》や《弾き》の方がイスカ刀との相性が良いのでそちらを覚えなくてはな。



それにしても、初撃時に奴が敢えて反撃せずに俺の攻撃を受けたのはこういう意図があったと思われる。

俺がイッシンに接触しているのはスロゥスにバレていた訳だから、こういう事態も十分有り得た訳だ。

構えていなかったのも単に俺が攻撃するのを誘っていただけと言う事だろう。

唯の挑発だと思っていた俺の考えは甘かったようだ。


俺はサムライソードを鞘へ納め再び構える。

また、奴は構えていない。

唯の挑発だ。

乗る必要はない。


(縮地法!)


俺は再び奴へ接近へ接近を試みる。


「貴様は馬鹿かっ!」


”ドカンッ”


奴の大剣が振り下ろされど派手な音が俺の手前で鳴る。

今度は俺に当たる事はなかった。

何故なら、《急制動》で奴の間合いに入る前に急停止したのだ。


「何!?」


俺は振り下ろされた奴の大剣の刀身の上に乗り踏み台にする。

少しダメージを受けるが、そんなに体重がある訳ではないので大した事はない。

そして、奴の上を飛び越え頭を通り過ぎた辺りで空中攻撃を行う。


『弐式抜刀術・朧』


俺の攻撃を奴の背中を斬り裂き不意を突いたという事もありクリティカルが出る。


E/Oでは、全ての技があらゆる状況下で繰り出せるようになっている。

同じ技でも地上や空中などでは技の性質が変化するようになっている。

特に空中は3種類に分けられており、ジャンプした瞬間⇒ジャンプの頂点⇒着地前と技が変化する。

ちなみに先ほどの場合は、ジャンプの頂点に相当する技変化が見られた。

通常の『弐式抜刀術・朧』は、抜刀術での斬り上げ攻撃である。

ジャンプの頂点および下降し始め辺りで出る技は、身体を回転させた縦回転斬りに変化した訳だ。

しかも、2回転攻撃だったので結構利いた筈だ。


俺は着地と同時に《縮地法》を用いて後方へ逃れる。

逃れたと同時に着地地点へ向けて奴の攻撃が繰り出されるが、当然そこに俺はいないので空振りに終わる。


「ハァハァ、貴様やってくれる…」


ぉ、中々利いているようだ。

今、背中は見えないが地面に滴り落ちている血の量からもダメージ具合が見て取れる。

ついでに、状態異常『出血』もなっていたらラッキーだな。

『出血』は、中々治り難い上に防御力無視の持続ダメージだ。

ポーションなどのアイテムでは治らずヒールなどの回復系でのみ治る。

まぁ、他の状態異常とは違いヒール系で治るから一長一短ではある。

ちなみに状態異常を回復させる法術は、「キュア」と「キュアライト」と2種類があり、前者が軽度まで後者が重度までの状態異常を回復させる事が出来る。

例外として「出血」を含む幾つかの状態異常は回復させる事が出来ない。

中でも「部位欠損」という状態異常は、ヒール系の中でも上位の法術でなければ回復させる事が出来ない。

「死亡」や「気絶」や「石化」などの完全に行動が出来なくなる状態異常を除けば、これが一番キツイ状態異常だろう。

例えば、利き手を斬り落とされた場合は攻撃が絶望的と言えるし、片足を失うと移動が困難になる。

しかも、そう言った場合、「出血」や「大出血」がもれなく付随してくる。

ついでに言うと完全行動不可や「大出血」などの重度以外は自然回復で治るようになっている。

《状態異常耐性》というスキルがあれば、もっと早く回復させる事が出来る。

噂では、スキルをマスターすれば状態異常にならないなんていう話もあるが真偽は定かではない。



さて、俺のHPも余り残っていない事だし、奴が「出血」しているであろう今がチャンスだ。

俺は再度攻撃を仕掛けるタイミングを計る。

今度も奴は構えていないが先ほどまでと違って余り余裕がないように思える。

というか、構えていないように見えて構えているのかも知れないな。


俺にとって定番となった《縮地法》と『壱式抜刀術・凪』の組み合わせ攻撃を繰り出し奴の右脇腹を斬り払う。

まだ、手は止めない。

次、背後に回り込んだら《急制動》を使用、納刀と同時に背中へ向けて『壱式抜刀術・凪』を繰り出し背中への攻撃だ。

まだ、止まらない。

一旦後ろへバックステップした後、間を置かずに《縮地法》からの『壱式抜刀術・凪』で左脇腹を斬り払う。

十分離れた所で《縮地法》を使用し奴の間合いの外で勢いを保った状態でジャンプし『壱式抜刀術・凪』の着地前攻撃で頭部を攻撃する。

奴の背後で着地し反転を兼ねた『壱式抜刀術・凪』で背後を攻撃後、小ジャンプと『弐式抜刀術・朧』の合わせ技で攻撃だ。

こちらも下降時と同じで縦回転攻撃になる。

奴の頭部を越えた辺りで納刀し、直後に『弐式抜刀術・朧』の下降攻撃へ切り換える。

これが見事な連携となる。

取り合えず、ここで攻撃を止め《縮地法》で距離を取り振り返る。


流石にこれは利いたようで奴はフラフラだ。

上半身への攻撃を集中させたせいで頭部から腹部まで血で真っ赤に染まっている。

下半身も上半身から流れた血で染まっている。

足元には血溜まりが出来ており、かなり『出血』しているのは明白だ。

あわよくば『大出血』になっていると最高だ。

と言うか、この状態で立っている事が凄いに尽きる。

が、やはりダメージが蓄積してきたのか足元がガクッとなり右手に持っていた大剣で身体を支える。


もう、反撃は愚か立っているのもやっとの事だろう。

俺は止めとばかり頭に浮かんだ連携技を繰り出す。

この連携技は、《縮地法》と『壱式抜刀術・凪』と《急制動》の組み合わせで真上から見ると攻撃の軌道が☆型になる…と思う。

ただ、《縮地法》と《急制動》の両方ともスキルレベルがLv1なので、正常な相手には使用出来ない。

《縮地法》はともかく《急制動》は止まった後、1秒間のディレイがある。

1秒だと短く感じるかもしれないが、反撃をする時間としては十分な時間だ。

所詮、ただの連携技だ。

しかも、まだ1回も実践していない机上の連携技である。

探せば幾らでも穴があるだろう。


奴の『出血』状態が自然治癒される前に終わらせよう。

まずは、右脇腹への攻撃、そして背後に回り左脇腹への攻撃、次は正面に来ての腹部への攻撃、また右脇腹への攻撃、

背後に回りまた左脇腹への攻撃…を繰り出そうとした瞬間、足がガクッとなり《縮地法》の勢いのまま地面を転がってしまう。


どうやら、SPスタミナを使い切ったようだ。

こうなっては、SPが自然回復されるまでスキルや技を使用出来なくなる。

しかも、一旦切れるとゲージの半分まで溜まらないと再び使えるようにはならない。


転がったままで攻撃されると堪ったものではないので俺はすぐに起き上がる。

俺が起き上がるまで十数秒ほど間があったのに奴からの反撃がない。

流石にこれはおかしい。

奴へ視線を向けるが、連携技を繰り出す前と体勢が全く変わっていなかった。


と言うより、血溜まりがすごい事になっている。

連携技前にあった血溜まりよりは2倍から3倍に量が多くなっている上に、俺が辿ったであろう斬跡を辿るように血のラインが出来上がっていた。


俺はSP切れで奴は微動だにしない事で完全に死合が止まってしまう。

審判と思われるグレゴリが奴に歩み寄り様子を見る。

しばらくすると、審判が頭の上で腕を交差し試合の中止を告げる。

どうも、弁慶張りに死んだまま立っていたようだ。




俺は張り詰めていた緊張を解いた事で腰が抜け尻餅を付く。


「よっしゃ~!」


リング外からヴェルの歓喜な声が聞こえてくる。

そちらへ顔を向けると両手が上げたヴェルとは反対に小さくガッツポーズをしているハイアがいた。

そして、2人の背後にある牢獄への入り口にイッシンが立っているが目に入る。

少し微笑んだような表情で振り返って牢獄へ姿を消していった。


「…疲れたな」


俺はそう呟き背後へ仰向けで倒れた。

◆流派スキル

《急制動》

移動もしくは移動系スキルをキャンセルし、急停止できるスキル。

ディレイ時間1秒(スキルレベル上昇毎に0.1秒短縮)

最大スキルレベル10

《縮地法》

1m+スキルレベルの距離を一瞬で移動出来る。

発動後、スキルレベルの半分の距離で制動できる。

基本、直線のみだが微妙に進行方向を変えられる。

最大スキルレベル10


◆状態異常

《出血》

防御力を無視して持続ダメージ。

2秒で最大HPの1%を失う。

回復系法術と包帯でのみ回復できる。

自然治癒でも回復する。

《大出血》

防御力を無視して持続ダメージ。

2秒で最大HPの10%を失う。

回復系上位法術で回復。

包帯と自然治癒で回復する事はない。

《SP枯渇》

SPを使い切るとなる。

SPゲージの半分まで回復しないと、一切の技とSPを使う行動が全て出来ない。

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