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E/O  作者: たま。
cβ・チュートリアル
17/94

第14話・武器庫?いいえ、ガラクタ置き場です

「取り合えずランク3へ昇格おめでとう…と言っておこう」


俺はいつもの牢屋へ向かう為に闘技場から出て階段を下り通路歩いている最中だ。

で今更、思い出したかのようにハイアが声を掛けてきた。


「でだ。ベルフェゴール様から褒美として好きな武器を選んで良いとの事だが…どうする?」

「??」


どうするとはどういう事だ。

そりゃ、武器は壊れたし頂くに決まっている。


「試合後の疲れを取った後にするか、今から行くか…という事だが?」


ああ、そういう事ね。


「ん~。今からで良い」


右下に表示されているリアル時間を確認するとまだPM10時過ぎで明日は土曜日だ。

時間はたっぷりある。


「なら、武器庫に行くか…」

「武器庫あるんだ!?」

「違う違う。倉庫だよ。あれは…」

「そうとも言うな」


ヴェルの一言でこじんまりとしたイメージへと変化する。

俺のワクテカを返せ!


「ああ、ここだここ…」

「………」


辿りついた場所は、何の変哲もない牢屋の一室だった。

先ほどのイメージよりもさらに酷い。

倉庫?違うね。

どう見てもガラクタ置き場だ。


まず、管理が全くされていない。

納められている武器のほとんどが埃を被っている。

そして、その6割が1cm以上の厚みのある埃だ。

しかも、種類ごとに整理されている訳でもなく、武器棚に立てかけている訳でもなく無造作に床へ素置きれ手入れの手もしていない状況だ。


「好きなものを選ぶと良い」

「好きなものねぇ……」

「くくく、気持ちは分るぜ。

良い物は粗方取り尽くされているしな」


だよね。

獣人のハルバートやハーフエルフの鎖鎌は恐らくここから取られた比較的にマシな武器だったのだろう。

ああ、でもレアな武器を探すのは案外簡単かも知れない。

性能を見る事が出来ない武器を探せば良いのだ。


レア以上のアイテムの性能を見る為には、『鑑定』スキルが必要だ。

そう、性能を見る事が出来ない武器を探せば良いという訳だ。

そして、この牢獄の中に『鑑定』スキルを持ったNPCが1人ぐらいどこかにいる筈だ。

探し出して鑑定して貰えば良い。


ああ、なんで鑑定が必要かというとだな…。

簡単に言えば、鑑定していない武器は本来の性能を引き出す事が出来ないのだ。

見た目は変哲もないただのロングソードがあったとしよう。

鑑定しないままだと、本当にただのロングソードでしかない。

そして、鑑定する事で実は炎属性が付与されていると判明すると、今までなかった炎のエフェクトと属性が出現するのだ。


とはいえ、今回は武器として使えるならレアじゃなくても良かったりするのだが…。

まぁ、レアでないよりあった方が良いに決まっている。


さて、どれが良い物なのだろうか…。

俺は、散乱した武器を前に屈み目を凝らす。

ちなみに、性能を確認するにはアイテムを持って注視すれば良いだけ。

例えばこれ…。


《Name》牢獄のサーベル

《User》

《Rank》Junk

《Level》剣修練Lv1

《Base》サーベル

《Detail》牢獄に保管されていたサーベル。

手入れはされておらず埃を被っている。

錆びてはいないが所々刃毀れしている。


どうも、Junk品の武器には全て【牢獄の】が頭に付くようだな。

流石、Junkだけあって性能はショボイに尽きる。

これを選択する事はまずないだろう。


次は…これなんてどうだろう。


《Name》トライデント

《User》

《Rank》Normal

《Level》矛鎌修練Lv18

《Base》トライデント

《Detail》埃を被っているが刃毀れ一つなく

錆びてもいない未使用のトライデント。

凝った装飾などはないが性能は折り紙つき。


これはなかなか良い武器だ。

しかも、今のスキル構成を活す事が出来るのが尚良い。

これを第一候補にしよう。


ぉ、こんな所で無造作に置いて大丈夫なのだろうか。


《Name》パイソン

《User》

《Rank》Mass

《Level》銃修練Lv12

《Base》リボルバー

《Detail》旧世界の回転式拳銃を模倣した銃。

オリジナルに比べて威力・命中率は落ちる。

反動が大きく連射は出来ないが、必要修練値に比べて強力過ぎる逸品。


銃というのも悪くはない。

が、このE/Oの世界では前作のUO2と同様で銃は特殊な位置づけになっている。

それは…当たらないのだ。

別に銃自体が悪い訳ではなく、この世界の人間は地球人に比べて進化し過ぎているのだ。

特に『気配察知』スキルは、レベル1でさえ銃から狙われると警告が出る仕組みになっている。

レベルが高いと遠距離にいるスナイパーでさえ正確な位置を把握できるほどなのだ。

簡単に言うと狙われている事さえ分れば撃たれた後からでも見て避ける事や弾を斬り捨てる事が出来る。

地球人からしたら超人や達人的な人達がこの世界だと一般人の能力と言える。


では、そんな世界なら銃が必要ないと思うかもしれない。

実は、『気配察知』に対するカウンタースキルが存在している。

それが『第六感』…いわゆるシックスセンスというやつだ。

または、空間把握能力やニュ○タイプと言えば分りやすいだろうか…。

E/O的に言えば、銃の”構え”⇒”狙う”⇒”撃つ”という3つの動作の内の1つ”狙う”を省くスキルという訳だ。

もっと簡単に言えば、無意識のオートエイムだ。

これがあると『気配察知』が反応しないという訳だな。

ぶっちゃけ、『第六感』を持った銃使いは強い。

それこそ、アサルトライフルやマシンガンを持っていたなら無双さえ出来る。


…が、『第六感』は血族スキルにカテゴライズされている。

普通に習得出来ないという事だな。

E/Oのユニークシステムの1つ【血の記憶】システムに関連している。

だからと言って、習得出来ないという訳ではない。

絢華並のリアルラックや俺の一生分のリアルラックを消費すれば何とか習得出来るレベルだ。

まぁ、俺の一生分はすでにない訳だが…。

後はそうだな…。

才能スキル『銃の才能』を習得すれば『第六感』を閃く確率は高くなるだろう。

とは言え、結構な量のリアルラックが必要だろうけど…。


魅力的ではあるが銃は却下だ。

ちなみに、E/OやUO2の世界では、銃を使うのは素人か達人しかいない。

素人というのは銃が当たらないと知らない初心者か護身用と割り切って使っている者だ。

達人は『第六感』を持っている者だ。


次……ぉ、おお、こ、これは…。


《Name》???

《User》

《Rank》???

《Level》刀修練Lv?

《Base》???

《Detail》???


日本刀だ。

いや、E/Oでいうところのイスカ刀だ。

埃まみれではあるが、見た限り刃毀れも錆びもない。

新品と言っても差し支えないだろう。


「それ気になるのか?」

「ちょっと、貸してみろ」


ヴェルが半ば強制的に俺の手から奪うとイスカ刀を鑑定し始める。


「ヴェルは鑑定持ってるの?」

「ただの趣味だけどな……。ほらよ」


ヴェルはイスカ刀を投げてよこす。

微妙に鑑定前と形が違う。

改めて見たイスカ刀の性能はこんな感じだ。


《Name》サムライソード

《User》

《Rank》Rare

《Level》刀修練Lv1

《Base》打刀

《Effect》抜刀術攻撃速度+50%、抜刀術使用時耐久値-1

《Detail》イスカ刀を真似て造られた両刃の剣。

イスカ刀と違い両刃の為使用用途は多岐に渡る。

突き・引き斬り・押し斬りは勿論。

刃を反転させ鎌のような使い方も出来る、

しかし、構造は西洋式なのでイスカ刀のように扱うのは避けるべき。


使えそうで使えない武器だ。

刀のように使えるのに刀のように使うなというアベコベな説明文である。

要するに無茶するなって事で良いだろうか?

そして、抜刀術の際の攻撃速度が+50%される代わりに

耐久値が-1されると言う事は出来るだけ多用するなという事だな。


「気に入ったか?」

「ん~まぁ、惹かれるものはあるかな?

予備にもう1つ選んで良い?」


流石にこのサムライソードだけでは不安だ。

主に耐久値的な意味で…。

刀のように使うなと書かれているが形は刀なんだしそう使ってしまうのは間違いない。


「いや、それはダメだ」

「……まぁ、良いだろう」

「っておぃ!」

「思い出してみろ。囚人21号はランク2で武器を2つ所持している」

「ああん!?………そう言えばそうだな。

鎖鎌だっけ?それともう1つ長い柄の鎌があったな」


鎖鎌?…すると囚人21号ってのはあのハーフエルフの事だろうか。

長い柄の鎌って事は死神の鎌みたいな感じかな。


っと、あと1つ選択しなければ…。

何が良いだろうか。

あ、そう言えば…。


「ねぇ」

「ん?」

「少し聞きたいのだけど…ここにはイスカ刀に長けた人はいる?」

「イスカ刀に長けた人ねぇ……いたか?」

「ん~~」


ヴェルとハイアは何十人もいる囚人の中に該当者がいないかと恐らく頭の中で検索をしているのだろう。

二人とも頭を傾げたり唸りながら1分ほど思案する。


「あっ!?」


ハイアはポンッと相槌を打って何かを思い出したようだ。


「ぉ?」

「囚人8号はどうだ?」

「8号?………ああ、あのおっさんか…」

「どんな人なんですか?」

「ん~。よく分らん」

「不思議な御仁だ。初期の頃からここに収監していてな。

とっくの昔に自由の身になっている筈なんだが、未だに居座っている」


え~。というとどういう事なんだ?

自由の身という事は、スロゥスという奴や魔王ベルフェゴールに勝っているという事なのか。


「確かあの御仁はイスカの人間だった筈だ」

「囚人なのにスロゥス様さえ所持していないEpic級の武器携帯を許されているしな」

「え~~!?」


なにそれ!?

確かによく分らない不思議な人のようだ。

まぁ、これなら『流派』や『修練』は何とかなりそうだ。

日本人としてはやはり日本刀に一度は憧れるものだ。

その人はどういう《流派》なのかは分らないが心躍りまくる。

早く会ってみたいな。


「で、もう1つの武器は決まったか?」

「ん~~」


色々探ってみたがイスカ刀以上に俺を惹きつける武器はなかった。

というか、ほとんどがMass級やJunk級ばかりでNormal級も微妙な武器ばかりだった。

結局、Rare級はこのサムライソードだけだった。

と言ってもこのサムライソードはRare級とは思えない程性能が低い。

Rare級でなくてもイスカ刀があるならば…と思ったが、そう都合よくはいかなかった。


「やっぱり、良いかな。

それよりも、ハイア…そのイスカ人に会ってみたい!」

「そうか…。まぁ、一応会わせてやるが話を聞いてくれるかは知らないぞ?」

「ん、分ってる」

E/Oの世界は、実は剣と魔法と銃の世界です。

ただし、本文中通りほとんど役に立ちません。

そして、銃のほとんどは21世紀に現存する銃の模造品です。

オリジナルは遺物扱いで非常に高額な芸術品です。

模造品と言ってもE/Oの世界の技術で補間されているので、Normal級以上の銃は非常に強力な武器となっています。

と言っても、『第六感』と『銃の才能』は必須となりますが…。

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