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第三幕  『今回もなかなか楽しめそうだ』

そして今回はエルフ視点。短いのはご容赦を。

拝啓、お母さま。突然茂みから飛び出してきた見るからにリア充っぽい野郎が、なんか必死そうに話しかけてきてます。とりあえず爆発しろと言うべきでしょうか?


なんだか無性にムカつくので、こいつは村人Aとでも呼ぼう。

顔立ちは、まあまあ整っている方だろう。黒髪黒目で、肌色は若干浅黒い。何より目立つのはその装備だ。革の服と金属の鎧と西洋剣のハッピーセットなんて、まさにファンタジー装備そのまんまじゃん。どこのコスプレ会場から来たの?って感じだ。

俺がじ~っと観察していると、村人Aは頼みもしないのに勝手にべらべらとこの世界の設定を話し始めた。マジでNPCだったのかこいつは。


んで、その説明によると設定はこうだ。


① 自分は無害である。

② 現在魔王が絶賛侵略中で人類涙目。

③ 大昔にエルフが勇者と一緒に魔王を倒してくれたというありがたい言い伝えがある。

④ エルフはスンバラシイチート能力をたんまり持ってる伝説のスーパーエルフ人。

⑤ ぜひぜひ勇者と一緒に魔王討伐にご協力くだしあ><


なんかすっげーめんどくさそうなんですけど……。

そうそう。この村人Aの話を聞いててわかったことだが、俺はどうもこっちの世界の言葉が理解できるみたいだ。日本語とはまるで違うが、なーんとなく言ってることはわかる。二ヶ国語操れる奴はこんな感覚なのかもしれん。これは便利だ。


しかし、「勇者と一緒に魔王退治」か。嫌だなぁ。エルフ様は崇め奉られる存在だそうだし、王宮とかでチヤホヤされながらワクワクドキドキセレブライフを満喫しときたい。前世?では若くしてあの世行きしちゃったんだし、せっかくの新しい人生は幸せの絶頂を味わいたい。つーか、そういう厄介事は現地人が何とかすればいいじゃない!


「あなた方は軍隊などを持っていないのですか?」


……(・3・)アルェー?

俺はたしかに「あんたら軍隊とか持ってねーの?」と言ったはずなんだが……。どうもこっちの世界の言葉を使おうとすると拙いというかお固い感じに変換されてしまうみたいだ。

ま、いいか。内容が変わるわけじゃないしね。


「っ!」


俺の質問に村人Aはぎくり!とわかりやすーい反応をしてくれた。


「騎士団は、あります。しかし、現状を打破できる戦力かと問われれば……」


なるほど。頼りにはなりませんってわけね。嬉しいご報告どうも!これで俺のセレブライフ計画がパーだ。俺を崇め奉ってくれるのは人間だけみたいだから、その人間がみんな殺されてしまうと意味が無い。

いやいや、でも待ってくれよ。ろくな戦力もないのに、エルフ一人が颯爽と降臨した程度で事態が好転するのかよ?んなわけねーだろ常識的に考えて!


『共に討伐を行う勇者に素質があれば問題はないぞ。前回も勇者とエルフの二人のみで割りとスムーズに魔王を倒せたしな。魔王軍は魔王さえ倒せば散り散りになる』


と、ハスキーボイスのティンカーベルが隣でなんか言ってます。

これもさっき気付いたんだが、この妖精(神)の言ってる言葉は村人Aには言葉として認識されないらしい。エルフは妖精と話せるって設定はこういうことなのか。


しかし、こいつの言ってることはたしかに正論ではある。騎士団とやらが頼りにならんのなら、むしろ勇者とこっそり魔王んとこに忍び込んで寝首掻けばいいかもしれん。軍隊が正面切ってぶつかる戦場になんて居合わせたくないし、前回も二人だけで何とかなったと神さま本人が言ってるわけだし。


「……神さまがなんとかすればいいんじゃねーの?」

『いくら神でも、直接の介入は出来ないんだよ。ご都合主義というやつだ』


何とも役立たずな神さまだことで。

とにかく、魔王にこっそり近づくとしても、かなり優秀な勇者じゃないと不安だ。エルフの能力は基本サポートだ。スパロボの精神コマンドみたいなことしかできない。ボスボロットにいくら『必中』とか『熱血』掛けたってほとんど意味が無いことと同じで、弱い勇者だと大して効果はない。逆に、勇者が優秀であればあるほど俺の精神コマンドの効果も高くなり、俺の生存率=セレブ生活実現率も高くなるってわけだ!


そうなると当然気になるのは、


「それで、あなたが勇者なのですか?」

「っ! い、いえ、私は、ただの使者、です」


お前じゃないのかよ!だったら、すげえ剣さばきとかするなよ!紛らわしい!


「では、私を勇者の元へ案内してください」

「この世界を助けて頂けるのですか!?」


今更何いってんだコイツは。そうしないと俺のセレブ計画がなくなるんだっつーの!


「当然です。さあ、早く」

「感謝致します!ただちに皇宮にお連れ―――あ、うわ、え、エルフ様!?」


ああ?なんだこいつ、さっきからしどろもどろになるは顔を真っ赤にして目を背けるは―――あ、しまった。俺まだ裸だ。


「すいませんが、少し、後ろを向いていてもらえますか?」

「は、はい!」


今更になって顔が熱くなってきた。真っ裸で「当然です(キリッ」とか恥ずかしすぎだろ常考……。エルフ様マジ痴女!とか思われてるんだろうか。あー、恥ずかし。さっさと服着よ。


「くっくっくっ。今回のエルフはドジっ娘系だな」


うるせー!!

ここまでは数ヶ月前に書いてました。懐かしいです。

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