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あまりにも突然に

本日二話投稿します。

「では、カケル」

「持ち帰りの料理ですね?」

「うむ」


 デザートを食べ終え、珈琲と紅茶をしばき。

 ひと時のゆっくりとした時間を楽しみ、持ち帰り料理へ。


「ハヤシソースが残ってるので、これをピザトーストみたいにやっちゃおうかと」

「最高だな」


 で、持ち帰り料理はパンにハヤシソースを乗せ、具材を乗っけてチーズ乗せて焼いたピザトーストに決定。

 乗っけてばっかだな。


「玉ねぎはマストとして、ピーマンも欲しいですね」

「マイコニドも乗せよう」


 というわけでどんどんと乗せるものが増えていった結果……。


「……焼き上がったらサンドしますか」

「そうだな」


 おおよそピザトーストとは思えない高さが出ちゃいまして……。

 仕方ないからピザトーストサンドに変更。

 まぁ、いいか。

 某珈琲店のピザトーストみたいな見た目になっちゃったけど……。

 あそこはデフォルトで量が多いからなぁ……。


「では、カケル」

()()()()()()()


 と、いつも通りに紫色の魔法陣を潜って異世界に帰る全員を見送り。


「……あれ? そういや、異世界食材がもうないや」


 貰った異世界食材が尽きたことに気付く。

 珍しいな。

 ラベンドラさん……あるいはガブロさん辺りが、異世界食材が尽きそうになったら勝手に押し付けてくるのが今までだったのに。

 まぁ、忘れてたんでしょ、多分。

 となると、明日は現代食材で晩御飯か……。

 久しぶりに唐揚げが食べたいな。

 よし、唐揚げにしよう。

 なんて考えつつ、就寝。

 まさかここから、リリウムさん達の姿を見ない事になるなんてなぁ……。



「ふぁ~……おはよ、ゴー君」


 俺が最初に異変に気が付いたのは、毎朝のゴー君のご飯の時。

 いつもなら、


「んご!」


 って挨拶をしてくれるのに、この日は挨拶が返って来ず。

 寝てるのかな? と思って近づいてみると……。


「ゴー君?」


 そこにあったのは、ただの土の塊。

 ゴー君らしさの顔は無くなり、呼びかけても返事はない。

 それに……、


「宝石?」


 土の塊から、ほんの僅かに露出しているキラキラした物を取ってみると、


「姉貴がゴー君に入れてたやつだよね?」


 恐らくはガーネットであろうその宝石は、姉貴が旅行に行く前にゴー君に合成をお願いしていた宝石の一つ。

 慌ててその宝石があった近くを掘り返してみると……。


「出てきた……」


 合成されていない宝石、大小様々、種類も様々な宝石たちがおよそ二十。

 全部姉貴がゴー君に任せたやつだ……。


「あー、テステス。神様? 聞こえていますか?」


 変な不安感が襲って来て、とりあえず異世界の神様と交信。

 ――が、


「返事はない、ただの神様のようだ……」


 応答は無く。

 ボケを挟まないと拭えない、不安感を押し殺してやれることは全部やる。

 今夜飲むはずだったワインを供え、二礼二拍手一礼……。

 ――だが、


「消えない……」


 あの異世界の神様が、自分に向けられたワインを持って行かない。

 その事実が、もう俺には、異世界の神様との繋がりが無い事の証明。


「庭に居たゴー君が消えて、いつでも喋れた神様とも話せなくなった……」


 冷静に考えれば、通常に、普通に戻ったのだろうが、今の状況を普通と考えるには、あまりにもゴー君や神様と付き合い過ぎた。


「あ、そうだ! マンドラゴラ君」


 で、思い出したのは冷蔵庫の中。

 もう一個体、異世界からの居候が居た事を思い出し。

 冷蔵庫を開ける。

 ……。


「だよなぁ」


 しかし、冷蔵庫に入っていたのはどこからどう見ても普通の山芋。

 使っていたであろう野菜で出来た家具だけはそのままなのが、今までの事が夢ではない、という現実をたたきつけ。

 同時に、居なくなったこともまた現実であると突きつけてくる。


「……お前だけは居るのか」


 なお、他の異世界産のものとは違い、リボーンフィンチの卵だけは消えてはいないのだが。

 この日以降、分裂することは無くなってしまった。

 無料で食べられる卵は家計的に大助かりだったんだけどな……。

 結構な痛手だ。

 

「どこかしょんぼりしているように見える」


 気のせいだろうけど、卵が落ち込んでいる気がする。

 ――と、マンドラゴラ君が使っていたキャベツの布団に、何かあるのを見つけ。


「ん?」


 手を伸ばし、見てみると。


『あばよ』


 と読める、齧られたような跡。

 ……異世界組、消えちゃったのか。

 ――その日俺は、職場の上司に連絡し、ペットロスを理由に有給申請。

 大の愛犬家である上司が大変心配してくれて、普段有休を使わないからと三日ほど休みを付けてくれた。

 ……姉貴にも、異世界組が消えた事、報告しなくちゃな。

 その日の夜、姉貴からの福岡のお土産が届いたのは、何とも皮肉な話だった。



「ん~……こんなもんだったかぁ?」


 時は流れ、勤めていた会社を定年退職した俺は、時間を持て余す日々を送っており。

 異世界組が消えた直後の健康診断で、肥満の傾向が出ていると言われ、ジムに通い。

 塩分や糖分に気を付けつつ、概ね健康的な毎日を送っている。

 ちなみに毎日の暇な時間をどう過ごしているかと言われれば、一つ、退職後にハマった物があり。

 それをすることにほとんどの時間を割いていた。

 そのハマった物とは――執筆。

 時代は進み、誰もが手軽に自分の書いた小説を投稿出来るようになった時代。

 その恩恵を、俺はこれでもかと受けられていて。


「コミカライズもさせてもらったし、書いてて良かったなぁ」


 なんと、書いていた小説をコンテストに応募した所、見事に受賞。

 電子コミックではあるが、コミカライズまでさせて貰えた。

 ありがたい話だよ、マジで。


「にしても、ラベンドラさん達とのあの時を書いたものが、コミカライズになるとはなぁ」


 その小説の内容は、あの異世界組が来てからの俺の日々の話。

 記憶を掘り起こしながら書いたその内容は、多少忘れた部分もあるが、ほとんどが俺の記憶にあるもの。

 もちろん、想像とかで書いてる部分もあるけどね。


「さて、と。飯でも作りますか」


 ちなみに、料理は変わらずに続けている。

 もちろん、趣味の範囲を出ない程度だけどね。


「……あ、材料無いや。買いに行くのも面倒だな……。カップ麺でいいか」


 カップ麺は塩分が高いぞ、と俺の中の悪魔が笑うが、たまにはいいでしょ。

 ケトルにお湯を入れて沸かしてる間、俺はパソコンの前に座り、今日の小説の更新を予約投稿。

 その背後に、紫色の魔法陣が出現したことも気付かずに。

もうちょっとだけ続くんじゃ

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― 新着の感想 ―
えっ、数日読んでなかった間に! 突然の展開にビックリ。楽しみが楽しみがorz
…え、マジで?あまりにも唐突すぎて心臓止まりかけた まあこういうジャンルは終わり方が難しいからこれでいいのかもしれん… それはそうと寂しい
独身のまま定年っぽい? お姉さんは?
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