ガブロ「しばらくチョコはいいからのぅ」
マジで何の変哲もない普通のサラダ。
それに合わせるのはボジョレーのロゼ。
「さっきのとは違い、開けた瞬間にかなり香って来るな」
という感想の通り、さっき飲んだ赤ワインと比べて、かなり香りが広がる感じがある。
で、香りから酸っぱさが分かるな。
「グラスに注ぐとより香るな」
「色が綺麗」
桜を思わせるような色と、より酸味が感じられる強い香り。
あと、香りの奥にあるのは……やっぱり葉っぱとか、茎の感じかな。
これが……若さ。
「かなりスッキリとした味わいだな」
「香りは嗅いだ時と大差無いですわね」
「奥行きは無いがバランスはとれている。何より、さっぱりしていてゴクゴクいけるぞ」
いくな。
ワインをゴクゴク。
さてさて、サラダと合わせてみますか。
「サラダのフレッシュな野菜の感じとドレッシングが、このロゼに合わないわけは無いな」
「シーザードレッシングとも合いますわ。かなりスッキリする後味なのもいいですわね」
「サウザンとも当然合う」
「和風とも合うな。合わせる料理を選ばないワインなのかもしれない」
なんと言うか、ロゼワインって飲みやすいんだよな。
赤ワイン程重くないって言うか、さっぱりとした美味しさでさ。
和にも洋にも合う感じが凄くする。
「魚介とも合いそうですわね」
「少し残して『――』とも合わせるか」
「じゃな」
で、今回はスープみたく、一品でワインを飲み干すことはせず。
次の料理……異世界ナマズのコンフィとも合わせるみたい。
合うだろうなぁ……コンフィとも。
「サラダ、美味しかった」
「ドレッシングが美味い。中々再現するのに苦労したレベルだ」
「レシピは?」
「あるぞ」
「寄越す」
「相応の対価を貰おうか」
「けち」
なんてやり取りをしながら、全員サラダを完食。
ドレッシングはね、海外在住の人も驚く美味しさだからね。
ソース、ケチャップ、ドレッシング、マヨネーズ。
ありとあらゆる調味料が日本は最上位クラス……というか、値段で考えるとトップ層だという事を異世界組に教える。
「で、これがゴーレムに作らせたコンフィなのですわね?」
「ソースは白ワインとバター、レモンがベースです」
「パンチェッタが入っておるようじゃが?」
「アンチョビの代わりですね。ソースを作る時によく使われてるので代用しました」
ムニエルのソースとかでね。
ムニエルを焼いたフライパンにバター、白ワイン、刻んだアンチョビを入れてソースを作ったりするんだってさ。
アンチョビはイワシ、このパンチェッタは異世界ナマズ、そこに何の違いもありゃしねぇだろうが。
(違いしか無いじゃろ)
外国人に言わせれば両方フィッシュなのでセーフ。
……いや、流石にアンチョビくらいは知ってるか?
「では早速」
という事でコンフィにナイフを当てて……止まる。
気付いてしまったか。
ナイフを当てても、切れるより先に解れるという事に。
まぁ、だから何だと切られていくんですけどね、初見さん。
「低温の油で煮る調理法……一体どうなるのやら」
「温度的には魚の食感のままですわよね?」
「そのはずだ」
というわけでみんなが一斉に一口。
もちろん俺も一口。
「……」
「……」
「……」
「……(ロゼワインを飲む)」
うっま。
あれ? さっき試食した時はここまでじゃなかったぞ?
あまりにも作ったソースと相性が良すぎるんだが?
なーにこれ。バカうめぇじゃん。
「言う事なし」
「感想言うのがバカらしくなる美味さだわな」
『無頼』アメノサ組もこう言ってます。
まずね、コンフィ自体は試食の時と変わって無いのよ。
ただ、そこにかけられたソース、これがもう相性が良すぎる。
まずバターのコク、これが異世界ナマズの肉汁と相性良すぎ。
美味いに美味いをかけたらそりゃあ超美味いになるだろって当たり前の理屈を証明してくれてる。
で、直後に来るレモンの酸味。
こいつが、異世界ナマズの脂の悪い所を全部バッサリ削ぎ落してくれてるね。
魚の脂って事で甘いし、重くないんだけど、やっぱり脂ではあるわけで、
ほんの僅かなくどさや、ちょっとだけ残る生臭さ、あと、身に付いた極小の泥臭さみたいなのを全て一閃してるのね。
ただただハチャメチャに美味しい白身魚に格上げしてくれてる。
オリーブの香りもいいね。
レモンで消し飛んだ口内に、芳醇な香りが広がってくれる。
そして加熱されて濃厚なうま味と塩味を届けてくれるパンチェッタが、元は同じ材料という事でコンフィと相性がいいとか言う次元じゃない。
お前は俺だ、を食材でやるな。
喜ぶだろ、俺が。
「美味しい……」
そこに流し込むロゼワインよ。
さっき言われてた魚介に合うってのがその通り。
ソースに白ワイン使ってるのもあるけど、まー合うね。
異世界ナマズの甘さを引き立たせ、ロゼワインは決して主張しない。
食材に寄り添って、より高みに持ち上げてくれてる。
これは最強ですわ。
「コンフィ、研究しよう?」
「油の温度を一定に、しかも低い温度で保つ難しさを知らないからそう気軽に言えるんだぞ?」
「でもやりますわよね?」
「当たり前だ。ゴーレムに出来るならエルフにも当然出来る」
コンフィを食べてラベンドラさんに火が付いたらしい。
……その後ろでガブロさんがホッとしてるけど何かあったのかな?
「今回はまともなものが食えそうじゃわい」
とか言ってるけど。
何かずっと食べさせられてたのだろうか?
「カケル、白ワインを頼む」
「そうですわ! こんな美味しいお魚さんには白ワインですわ!!」
急なお魚さん呼び止めてね。
面白いから。




