あるだけ食うじゃん
……うぷ。
「俺はギブです」
「なんじゃ。まだデザートは残っとるぞい?」
「デザートって言っても分類上は菓子パンなので……」
食後にそういくつも食べられないよ、と思うの。
むしろ四つも……一袋分を食べたことを称賛して欲しい。
「お次はミルククリームだな」
なお、異世界組は当たり前に食べるもよう。
それもそうか。
「滑らかなミルククリームだな」
「しっかりとクリーミーでコクもある」
「紅茶とベリボリに合いますわね」
「私もこれまででいい」
「朝とかに食いてぇな。こういうのは」
ミルククリーム、前に出てた時に食べた記憶があるけど、結構あっさりしたミルククリームなんよね。
それこそ『無頼』さんが言うように、朝ご飯に丁度いいかもしれない。
味的にも、量的にも。
「どれもこれも軽くて、いくらでも食べられそうですわ!」
軽くは無いと思うな、ぼかぁ。
「手軽に摘まめるサイズなのがいいよな。茶会とかで置いておきたい」
「確かに。半分に割ったサンプルを置いておいて、どれがどの中身かを見せておけば、気になるやつを好き勝手取っていくだろうしな」
「あえて中身を見せずに菓子パンガチャとするのも面白そうですわよ?」
……うん?
異世界にもあるのかな? ガチャ文化。
少なくとも、ガチャ文化は悪い文明だと思ってるから、異世界では発展していて欲しくは無いんだけれども。
(ランダム要素の置き換えじゃな)
という事はいわゆるくじ引き的な事をガチャと言い換えてる?
(じゃな。ぶっちゃけガチャと言ってしまった方が伝わりやすいからのぅ)
それはまぁ確かに。
あまりにも馴染みのある言葉になってしまったからな、ガチャ。
……あ、ちなみに酒ガチャなんてものもありますよ?
(……ほぅ?)
お酒全般からランダムの物から、ワインや日本酒とジャンルを指定した物まで。
基本的には買った値段以上のお酒が送られてくるってんで、結構評判みたいです。
(ふむふむ)
普段飲まない銘柄や手に取らないお酒との出会いになるって、店側も力を入れてる所があるみたいです。
(……試さんか?)
買ったとて俺はそこまで飲めるわけじゃないですからねぇ。
ワインも何が来るか分かりませんし。
(じゃがそっちのワインなんじゃろ? 品質はお墨付きじゃろ?)
そりゃあそうでしょうけど。
資源ごみの日とかにご近所さんに、
「最近お酒に目覚めたの?」
とか言われるのよ。
ワインのボトルとかまとめて捨てるとさ。
「そうなんですよ~」
とかって返すんだけど、
「油断してたらうちの主人みたいにすぐお腹出てきちゃうわよ」
なんて、恐ろしい言葉を投げかけてくれる。
その日は軽くジョギングなんてしたりして。
で、二日後に太ももが筋肉痛になるっていうね。
なので何というか、今更だけどそうたくさんワインとかを買いたくは無いのよ。
申し訳ないけど。
(……本当に今更では?)
いやもう本当に。
ただまぁ、近所の人にそう思われてるって事実が付きつけられたのが……。
(そんな年齢でもないだろうに)
……気になるお年頃なの。
「カケル、お茶は無いか?」
「ありますよ」
「俺もくれ」
「私も」
俺が神様と話してる一方で、最後の菓子パンに手を付けていた異世界組。
食べてるのはお芋あんパン。
芋餡がぎっしり詰まった一品で、あんこにはない芋特有の香りと香ばしさ、甘さが味わえる。
……確かにお茶は合いそうだな。
「はぁ……ホッとする味」
「茶もうめぇんだよな」
ちなみに今回、定番のあんパンと白あんパンは買って来てない。
食後に食べるには重いだろうと思ったし、何より芋あんパンがあれば十分かなって。
「どれもこれも美味かったな」
「大満足ですわよね」
「よかったです」
苦し紛れの菓子パンは、どうやら満足して貰えたみたい。
まぁ、たまにはケーキとかよりも、こうしたパンも出していいって感じかな。
「ところでカケル」
「なんでしょう?」
「カケルは普段から私達に出しているようなケーキだったりを食べているのか?」
「いえ? 皆さんが喜ぶだろうと思って買って来てるもので、自分で食べるデザートは……」
そこまで言って少し考える。
普段食べてるデザート……?
食後ならハートの形をしたパイとか、カスタードの入ったケーキとか……。
たまにはポテトチップスを食べたりするし、おやつ梅干しとかも食べたりするしなぁ……。
「もっと手軽に買えるものですね。スーパーとかで」
「次からはそういう物を頼んでもいいだろうか?」
「何故ですの!? ケーキ美味しいじゃありませんの!!」
「そうだぞ! ケーキは美味い!!」
「今日の菓子パンを思い出せ。どこでも買えるもの、であのクオリティだぞ? だったら、他にどのような物があるかを知らないのは損だ」
「……確かに」
そこまでか? そこまでなんだろうな。
まぁ、スーパーのお菓子コーナーで満足するって言ってるなら、俺としても大助かりだけど。
手始めに黒い稲妻でも食べさせるか? あれ美味しいんだよな。
「というわけで、次回から頼む」
「分かりました。任せてください」
「……さて、では持ち帰りの料理だが……」
「ソースがちょっと残ってるので、ハンバーガーとかにします?」
「そうするか」




