別にネタが無くなったとかそういうわけではなくてぇ……
…………。
――判定は?
――セーフ!!
「まだ来てないか、危ない危ない」
なんとか異世界組が来る前に帰宅することが出来た。
いやぁ……しかし。
「これでいいかなぁ……」
買って来たはいいけど不安だわ。
なんかもう、とりあえず甘い物! と思ってかごに放り込んだからさ。
果たして受け入れられるのか? とは思う。
デザートと言うか、菓子パンでは? とか言われそう。
でもでも、しっかりデザートっぽいのを買って来たから。
というわけで本日のデザート……某パン企業の菓子パン!!
薄い皮が特徴で、皮自体がもっちり柔らか。
皮も薄けりゃパン生地も薄く、中身がギッシリ入っている事が特徴。
……いつの間にか総菜パンシリーズもあったんだよな。
卵とか、ツナマヨとか。
新商品で照り焼きチキンマヨネーズとかもあるってさ。
――前は五個入りだったのにねぇ……。
最近じゃ四個に減っちゃって……。
まぁ、材料費だったり人件費だったりが上がってるから、致し方ない所もあるんだろうけど。
五個入りの頃を知ってる身としては、ちょっと寂しさがある。
「桃カスタードとか、絶対にあの人たち喜ぶでしょ」
美味しい事が確定してる組み合わせだし。
ちなみにちょっと前まではリンゴカスタードとか見まわしたわね。
ブルーベリーヨーグルトとか、結構季節限定のやつも出てる印象。
どれも美味しいんだよなぁ。
「とと、来たか」
とかなんとか思っていたら、紫の魔法陣が出現。
いらっしゃ~い。
「邪魔するぞい」
異世界組が登場。
ちゃんとデザート用に買って来た菓子パンたちはマイバックの中に収納済みですわよ。
「……トマトソースか?」
「分かっちゃいます?」
魔法陣を潜ってこちらに来るや否や、匂いでソースを作った事を当てるラベンドラさん。
まぁ、ラベンドラさんじゃなくてもこの人達なら匂いで何してたかは分かるだろうけれども。
「うまトマハンバーグって言う、人気の食べ物があるんですけど」
「ほぅ」
「それの再現レシピですね。今日のご飯は」
「なるほど」
なお、人気かどうかは俺調べである。
ただ、別に調べたところでアンチがいるわけでも無いし、人気判定していいでしょ。
人気じゃなかったら毎回あれだけ話題に上がらないはずだし。
「なにをしよう?」
「ハンバーグを焼いて貰って、スキレットに移してソースをかけてチーズで包むだけですね」
「準備はカケルがやってくれたのか?」
「ですです。俺がすぐに食べたかったので」
一から作るわけではないと分かったラベンドラさんが、若干……実際には三センチほど耳を下げたのだけれど。
安心してください。
動画がありますよ。
「俺が参考にした動画がこちらです」
「見よう」
フライパンに油をひいて、冷蔵庫から取り出したハンバーグを乗せて。
動画の通りに蓋をして蒸し焼き。
……なお、人数分なのでフライパンは二つ使用。
「……この飲んどる翠とかいう酒は何じゃい?」
「ジンは前に飲みましたね? それを和食に合うような材料で作ったのが翠です」
ジャパニーズジンって表現がされるよね。
柚子と緑茶と生姜が使われてるんだって。
「飲んでみたいのぅ」
「まぁ、買って来ない事も無いですけど」
「スマンのぅ……」
というか、みんな普通に動画見てるね。
暇なのかな。
「カケルより手際がいい」
比べるな。
料理が趣味と料理研究家の腕を。
「焼き上がるぞ」
「じゃあ、スキレットに移しまして」
なんて事をしている間にハンバーグが焼き上がり。
これをスキレットに移しまして~。
フライパンに残る肉汁をトマトソースに入れまして~。
ソースを火にかけ、温めなおしがてら肉汁を全体に馴染ませまして~。
全部のハンバーグに均等にソースをかけたら、チーズをたっぷりとかけましてっと。
「仕上げに表面を炙って貰えます?」
「任せろ」
バーナーが無いので、代わりにエルフの魔法で代用。
チーズがこんがり焼き色が付いたらはい完成!!
再現うまトママイコニド入りチーズ焼き。
おあがりよ!!
*
「…………戻ったっす」
「お、お帰りなさい」
4か5ピザを頬張り、頑張って良かったなぁ、などと考えていたアエロスは。
「じゃあ戻るか」
と有無を言わせぬ転移魔法で大会運営本部に強制連行。
そこでは、次回大会の概要をアメノサが丁度説明し終えたところであり。
「広報担当を引っ張って来たぞ」
「助かる。今回は前回よりもちょっと面倒」
という、前回ですら大変だったのに、それよりも面倒と言われたことでアエロスのやる気スイッチがオフ。
働かないっす! という決意に満ちた目をしていると、
「実行委員にはフリーパスを渡す。投票権回収の為に何度も会場を訪れるだろうから、そこでどれだけ何を食べても無料」
「飲み物も無料だな。酒は……仕事中だから羽目を外し過ぎねぇ程度ならば問題ねぇだろ」
アメノサに続き、いつからそこに居たか分からない『無頼』がフリーパスの説明を引き継ぎ。
「我々は会場付近に可能な限りピザ窯を設置する」
「入れたら焼ける簡単設計、投入口と取り出し口が別、取り壊しが楽、が条件」
「分かっている」
アメノサはその間に、『夢幻泡影』にピザ窯の設置を依頼。
こき使われるのが自分だけじゃないと認識したアエロスは。
(はぁ……しゃーないっすけど、やるしかないっすねぇ)
大きなため息と共に働かない意志を吐き出し、ゆっくりと立ち上がる。
そして……。
(自分、いつ休めるっすかね?)
どこかのゲームクリエイターみたいな事を、心の中で呟くのだった。




