食べたね?^^
「では、四人または五人でシェアするピザという事で四か五ピザという事で」
「異議なし」
――うん?
偶然か? 物凄い確率に当たった気がするのは?
「サイズによって名前を変えれば、どれくらいの大きさかも大体予測が出来る。いい名前なのでは?」
「ピザ祭りの一角に、四か五ピザエリアを作る?」
「焼き上がりに時間が掛かる上にそこに集中されたら面白くないだろう? ピザ祭りの実行委員へのねぎらいや、国王への貢ぎ物に回した方がよっぽど賢明だ」
「確かに……」
ちなみに持ち帰りの料理は既に焼いていたはいいものの、残ってしまったシカゴピザと。
新たに焼くシーフードシカゴピザという事に。
シカゴピザ、一度は食べてみたいな。
――今度はご飯の一番最初から。
「ではカケル」
「ワイン、美味しかったですわ。……うん?」
「どうしました?」
「何か忘れているような……あっ!!」
あと一歩足を踏み出して魔法陣を潜れば異世界に戻る。
そんな状況で何かを思い出したらしいリリウムさんは。
「別の缶ワインを――」
と言い掛けながら『無頼』さんに背中を押されて魔法陣の中へ。
ナイス『無頼』さん。
缶ワイン……あー、姉貴が他のも買ってくるとか言ってたやつか。
確かにそんな事言ってた言ってた。
でも、大量のランブルスコを買って来たからチャラでしょ、うん。
さてと……。
「ピザ焼きお疲れ様」
「んご!」
ゴー君への労いも忘れず、土と水と肥料をあげまして。
ナイフとフォークと取り皿しかない洗い物をちゃちゃっと済ませ、風呂に入って就寝。
ピザ、美味しかったんだけど、やっぱり少しだけ重かったなぁ……。
*
「じゃあ、自分は役目を終えたので国に戻るっす」
「物凄く助かりました。というか、あなたが居なければ料理大会の成功は無かったでしょう」
「自分一人じゃどうにもならなかったっす。実行委員の誰が欠けていても成功は無かったっすよ」
第一回料理大会を終え、後片付けに始まり、様々な集計、報告、そしてまとめ。
それらをすべて終え、ようやくアエロスのミカラデ国での仕事が終わりを告げる。
元々広報担当だったはずなのに、しっかりと実行委員の副委員長まで務めさせられていたのは、彼の甘さ故か。
それでも、もうやることはない、と実行委員会の本部を後にしようとして……。
「第二回の開催が決まった」
運がいいのか悪いのか、絶妙なタイミングでミカラデ国丞相の『アメノサ』が登場。
しかも、何やら分厚い書類引っ提げて。
「じゃ、じゃあ自分は失礼するっす!!」
そんな状況で、アエロスの行動は早かった。
誰もが状況を理解していない中、理解するより先にその場を去る事を選択。
そそくさと移動し、誰からも声をかけられること無くその場を後にし、何とか巻き込まれる事を回避。
(あ、危ない所だったっす。また巻き込まれたらたまったもんじゃなかったっすよ)
と、内心ホッとしながら移動していると……。
「アエロス」
呼び止められる。
ビクゥッ!! と大げさすぎる驚きを見せつつも、呼ばれた方を振り返ると……。
Sランクパーティである『夢幻泡影』が笑顔でおいでおいでをしており。
(自分の本能が叫んでるっす、関わるなと)
本能では理解していても、そもそも大げさに反応してしまった以上、気付かなかったという言い訳も通用しない。
なので、
(はぁ……今度は何をさせられるっすかねぇ……)
行きたくなくても、行かなければならない。
仕事ってそういうものだよ。
翔君も分かる分かると言ってます。
「ピザを焼いた。食え」
「あ、朝っぱらからっすか?」
なお、呼び止められた理由は朝ご飯を一緒に食べようというものであり。
それが強制でなければ、そして、朝からピザというメニューでなければもろ手を挙げて喜んでいただろう。
後は。ミカラデ国を出国してからだとパーフェクト。
「……これがピザっすか?」
「うむ、シェアピザだな」
「シェアピザ……」
「この大きさは四人から五人でシェアする前提の大きさだから四か五ピザと言ったところか」
「……」
初めて見るシカゴピザにアエロスはまず圧倒された。
それまでの平たいピザとは違う、あまりに立体的なそのピザは。
おおよそ朝から食べる代物では絶対に無い。
――だが、
「食ってみろ、飛ぶぞ」
既に自分の分が切り分けられ、何なら既に取り皿に乗せられて自分の目の前に来ていたりする。
これを断るのも失礼と考え、仕方なく朝から激重のピザを食べる決心をし。
「具体的なレシピは?」
ついでに、新しい記事のネタとして仕入れることにした。
「基本的には従来のピザと変わらん。焼く前に型に入れ、具材を通常の逆順に乗せて焼くだけだ」
「……逆順?」
「ああ、形状的に焼けるのに時間が掛かる。チーズを一番上に乗せるとどうしても焦げてしまうからな」
「なるほど……。てことは生地の上に即チーズって事っすか?」
「そうだ。生地、チーズ、肉類、野菜、トマトソースの順に乗せる」
「ほへー。なるほどっすねぇ」
と言いながら、ナイフとフォークで切り分けて。
チーズが伸びるシカゴピザを、大きな一口で頬張るアエロスが。
「っ!! 滅茶苦茶うめぇっす!!」
と目を見開いた時、『夢幻泡影』の四人の目が、怪しく光る。
その事を知るのは、今この場には誰もいない……。
――シカゴピザが振舞われるのは王族と……。
ピザ祭りの実行委員のみに、である。




