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余計な事言うから……

「缶ワインだからと言って、変な臭いはしませんわね?」

「ワイン自体の香りもそこまでしないが、嫌な臭いがしないだけでも十分だ」


 ワイングラスに缶ワインを注ぎ香りを楽しむ異世界ず。

 まぁ、ボトルじゃないし。

 ――というか、異世界人的に缶って言うのには馴染みがあるんだろうか?

 ちょっと聞いてみるか。


「ちょっとお尋ねなんですけど、缶ってのはラベンドラさん達は知ってるんですか?」

「? ああ、保存法の一種で主に肉や魚を塩漬けにして缶に詰めると聞いた事がある。ワインまであるのは初めて知ったがな」

「私の国も貯蔵庫にそこそこの缶詰が保管されてる。文字通り非常食」

「たまに膨張してパンパンになってる缶詰もあるがな。魚のに多いか?」


 魚の塩漬け……缶詰……膨張してパンパン……。

 大惨事にならない事を祈る。

 魚がニシン系じゃない事を心から願うばかり。


「ワインも缶詰にしてここまでの品質が保てるなら、大いに有りだな」

「どう考えても樽に入れておいた方がいいに決まっていますわ」

「じゃぞ。わざわざ樽香を排す意味が分からん」

「携帯可能という点で見れば樽よりは缶だろう」


 ……言ってるところ悪いんですけれどもね。

 あくまで缶ワインなのであって、缶詰のワインとはまた違うんですよ。

 そこんとこ、よろしく。


「スッキリとドライ。でも、ほのかな甘みがあってとても美味い」

「マイコニドとの旨味と調和しますわ」

「余韻も香りもマイコニドの邪魔をしない」

「炊き込みご飯とはどうじゃ? ……んむ、美味い」


 へー、キノコにロゼって合うんだねぇ。

 いやまぁ、欧州でも当たり前にキノコはあるし、そりゃあキノコ料理とワインとは合わせるだろうけどさ。

 やっぱりなんと言うか、ワインは肉と魚合わせるものっていう先入観が……。


「ん~、これだったらピザとかの方が合いそうだなぁ」

「それは反則だろ」


 なお、姉貴は目の前には無い料理と合わせたいとねだるもよう。

 そんな事言い出したらキリがないじゃん。

 ――だが、


「ピザか、なるほど」

「ワインを合わせるなら当然そちらの方がいいですわよね」


 エルフ達は姉貴に賛成の様子。

 まぁ、やるにしても明日ね?


「トマトソースをベースにキノコのたっぷり乗ったピザ、肉はベーコンあたりがいいだろうな」

「チーズをたっぷりとかけて、微発泡ワインなら赤も白もロゼも全部合うようにしましょう」


 ……あ、美味そう。

 というか、それはマジもんのズルじゃん。

 美味しいだろうって、そりゃあ。


「ピザもいいけど、私はこっちの方が好きかも」

「俺も。清酒に合う方が好みだぜ」


 ちなみに俺の味方は『無頼』アメノサペア。

 やはり獣耳尻尾付きキャラは和食だよな。

 百人一首でもそう詠まれている。


「じゃ、明日はラベンドラさん手作りのピザって事で」

「うむ、任せておけ」


 流石姉貴、あまりにも自然すぎる流れで明日の晩御飯を決めちゃった。

 俺でなきゃ見逃しちゃうね。


「じゃあ、缶ワインは明日まで取っておきます?」

「それはそれ、じゃわい」

「ですわ。お姉さまの事ですもの、きっと明日も美味しいワインをご用意してくださいますわ」

「ん~……じゃあ、今日買って来なかったコンビニに行って買ってくるかぁ」


 流石リリウムさん、家から出ない可能性があった姉貴にお使いを命じるとは。

 この翔の目を持ってしても見抜けなかったわ。


「カケル、清酒はねぇか?」

「ありますけど」

「俺には清酒をくれ。缶ワインはとっつぁんたちに譲るわ」

「いいんですの!?」

「どう考えてもこのマイコニド達には清酒が合うンだよ」

「わしにも清酒じゃ」


 で、飲兵衛たちは日本酒を所望、と。

 ――そうだ、もうみんな食べちゃってるけど、八百万の神様にもお供えをしよう。

 鍋をよそって、ご飯も盛って。

 日本酒を注いでお盆に乗せたら。

 二礼二拍手一礼。

 八百万の神様方、いつも異世界の神様を抑えてくれてありがとうございます。

 これからもどうかお見守り下さい……と。


「……消えんな」

「消えませんわね」


 ……あのね?

 神様へのお供えが消えない事を不思議に思ってるみたいだけど、普通は消えないのよ?

 というか、現代においてお供え物が消えるのは盗人かネズミか、位なもんじゃないかな?

 ――ちなみに神様、お供え物は届いていますよね?


(うむ。受け取って秒でどんちゃん騒ぎに突入したぞい)


 届いてるならヨシ。

 じゃ、神様のおさがりは俺がいただいちゃいますか。


「……なぁ、カケル」

「? どうしました?」

「その酒、たった今神に捧げたんだよな?」

「ですね」

「神は受け取ったのか?」

「喜んで受け取っていただけたみたいですけれど……」

「その酒……譲ってくれねぇか?」


 なんか神妙な顔つきで神様のおさがりをおねだりされてるんですけど?

 そんな真剣になるものか?


「ダメですわよ『無頼』。神の奉納品をいただくなんて」

「でも、もう神の手には渡ったンだろ?」

「だとしても、だ。この場でそれをいただく権利があるのはカケル一人しか居ない」

「ましてやカケルは、わしらの神にではなく自分の所の神に捧げたんじゃぞ? わしらが手を出していいはずが無かろう」

「……だよな」


 とか異世界組が言ってますけどね?

 俺の脳内では、


(よいよい! わしが許す! 飲め! 飲んでしまえ!!)


 と、神様が『無頼』さんに神のおさがりを飲むことを応援してたんだよな。

 聞こえてなくて良かったね、神様。


(へぶっ!?)


 あ、これ多分八百万にはたかれたな。

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― 新着の感想 ―
えーいいじゃん飲ませてあげようよー そしたらきっと無頼さんは八百万と縁つづきの異世界人になる 何かヤバイことになる!(にこにこ)
更新ありがとうございます∠(`・ω・´) 一柱1ダメージだったりしても異世界神様に八百万のダメージが(゜A゜;)ゴクリ
>(へぶっ!?) なんか……こう、ハリセンでスパーンといかれてる様子が幻視されました。
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