ゴー君「ドヤ(`・ω・´)」
「邪魔するぞい」
ありゃ、姉貴は帰宅が異世界組訪問に間に合わなかったか。
……というかコンビニに行くだけでいやに時間掛かってるな。
絶対にどこかで道草食ってる。
道草どころか、ホットスナックも食べてるだろうけど。
「あれ? モフリストが居ない」
「今追加食材を買って来て貰ってる所です」
モフリストて。
姉貴が聞いたら泣くぞ。
――でも、言われても仕方ない位にモフってる印象しかないな。
じゃあしょうがない。
日頃の行いってやつだ。
「今日の料理は?」
「マイコニドの炊き込みご飯と、マイコニド鍋ですね」
「マイコニド尽くしか」
「ですです。キノコは美味しくてカロリーが低いので、モリモリ食べられますからね」
なんて話をしていたら、
「ただいまー」
姉貴、帰宅。
「あー、やっぱ皆来ちゃってたか」
「姉貴が最後ね」
「ちょっと面白いもの見つけちゃって、近場以外のコンビニにも行ってたから遅くなっちゃった」
「……というと?」
「これこれ」
と言って姉貴が取り出したのは、缶ジュース?
いや、違うな。
これは――、
「缶ワイン?」
「なんだと!?」
「そそ。コンビニ限定のやつね」
何度か見たことはある程度だけど、買おうとは思わなかったんよな。
大体、缶に入ったワインの時点で、ちょっと手に取りづらくない?
まぁその分、一人分の量がお手頃価格で楽しめるみたいだけれども。
って、そうか。
異世界組が居る時に試してみて、俺には無理だと思ったら押し付ければいいのか。
姉貴頭いいじゃん。
――誰に押し付けるかで喧嘩になりそうだけど……。
「きのこ鍋や炊き込みご飯にワインが合うのか?」
「キノコ料理と合わせることだってあるし、合わないとは思わないのよね。あ、ちゃんと白とロゼを買って来たから」
「赤は流石に合わないか」
ことワインの知識で言えば、俺より確実に姉貴の方が上だろうし、その姉貴が買って来たんなら間違いないんじゃない?
――ね、神様?
(う、あー……う、うん? そ、そうじゃな)
動揺し過ぎでしょ。
一体どうしたんです?
(いや、その……な?)
ちゃんと一本ずつお供えしますよ。
(いやぁ、スマンのぅ)
干渉して買って来させてるくせに何がスマンのぅ、だよ。
全く。
「とりあえず缶ワインは神様にお供えしますよ?」
「うむ」
「珍しいワインは初手お供えが板」
で、当然のように誰もお供えに反対しないというね。
ふと思ったけど、俺って異世界組にどう思われてるんだろうね?
「じゃあ、二礼二拍手一礼で」
俺に合わせてみんなで二礼二拍手一礼。
そしたら、缶ワインの白とロゼが一本ずつ消えて……。
(うひょひょひょ!)
上機嫌な神様の声が脳内に響く。
本当にお調子者なんだから……。
「さて、では料理を作っていくか」
「ですね、姉貴、豆腐」
「はい」
「……何故に木綿豆腐?」
「は? 鍋と言ったら木綿豆腐でしょ? 常識的に考えて」
料理を作らない姉貴に常識を語って欲しくはない。
「鍋における豆腐の役割って、出汁を吸わせるか、豆腐の味を楽しむかに二分されるの」
「そうなの?」
ほら、知らない。
全く……これだから姉貴は。
「で、木綿豆腐は出汁を染み込ませたい鍋の時に使うのが一般的」
「すき焼きとか?」
「味噌ベースの鍋とか、キムチ鍋とかもね」
「なるほど」
「で、絹豆腐は水炊きとか、湯豆腐とか、豆腐本来の味で楽しみたい鍋の時に使うの」
「ふむふむ。……じゃあきのこ鍋は?」
「豆腐本来の味を楽しむ鍋でしょ」
「でも、キノコから出た出汁を吸わせたくない?」
「それはそう」
……この戦い、ドローという事で。
大人しく木綿豆腐を使いますよ、ええ。
「マイコニド達は解呪済みです」
「うむ」
という訳で土鍋に切った白菜、ネギ、豚肉、各種マイコニドに木綿豆腐と並べまして。
異世界黄金出汁を入れて、蓋をして煮込む。
後は待つだけで、美味しいきのこ鍋が出来るって寸法よ。
「あ、そう言えば姉貴」
「何?」
「ゴー君が作ってたの確認した?」
「…………した」
すっごい不服そう。
やっぱり思ってたものじゃなかったんだな。
「ダイヤモンドじゃなかった」
「でしょうね」
「でも、結構希少なものよ、これ」
と、ゴー君が生み出した白い炭……いわゆる白備長を取り出す姉貴。
そうなんだ。
「武器か?」
「かなり固くて耐久力もある。冒険初心者辺りにおススメの武器じゃな」
「いや、武器じゃなくて炭だからね、これ」
「炭……?」
当たり前に武器判定されてる白備長、どんだけ固いんだよ。
「ちょっと試しに燃やしてみるか」
と、ラベンドラさんが手刀で白備長を折ろうとして……。
キィィィイイイン、と弾かれる。
――嘘やろ? エルフの手刀に耐えた……だと?
「……武器では?」
「そこら辺のナイフより固いですわよ?」
「これ削ってナイフにした方がいいンじゃねぇか?」
「削る素材を探すのが骨じゃぞ?」
散々な言われようである。
……とは言え、本来は流石にここまで固いって事も無さそうだし、きっとゴー君が作り出したからこその固さなんだろうな。
「ちょっと試していい?」
と言って、姉貴が宝石を取り出して……。
白備長と擦りあわせ始めた。
「何してんの?」
「モース硬度って言って、宝石の固さを比べてるの」
「で? 結果は?」
「……ルビーとかサファイアでも傷が付かないから、普通にダイヤモンドレベルの硬さね、これ」
「じゃあ、姉貴の注文の、『ダイヤモンドって作れる?』に応えてたって事じゃん」
「……白備長じゃなく、普通にダイヤモンドを作って欲しかったんだけどなぁ……」




