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姉貴の画策

「……いや、確かに燃えるダイヤとか言われてるって聞いた事はあるけどさ?」

「ンゴ」

「備長炭を、『注文のダイヤモンドです(キリッ)』みたいな表情で出されても私にどうしろと?」

「んご?」

 

 朝……いや、昼起きて。

 真っ先に庭に出てゴー君の中を見てみれば、そこには私が注文したダイヤモンドは無く、代わりにあったのは一本の白い炭。

 色々と察しはしたけど、それは無くない? って言うのが今の状況かな。


「……とりあえず歯磨いてこよ」


 寝起きで回らない頭で考えてもしょうがないし、一旦ご飯。

 その前に歯磨きをしましてっと。


「ご飯は……お、秋刀魚の太巻きじゃん」


 出来る姉の出来る弟が用意したご飯は、秋刀魚の太巻き。

 塩焼きして、頭と尻尾、骨が抜かれた秋刀魚を、海苔とご飯と大根おろしで巻いたシンプルなもの。

 ……ていうか、まだアツアツなんだけど?

 なにこれ? 魔法?

 ……ん、手紙がある。

 ん~と?


『そのどか弁に入れてると温度が入れた時のまま保たれるから出来立てのアツアツだよ』


 ――物理法則ってなんだっけ……?

 ま、いいや。

 こんなの異世界組の不思議びっくりアイテムでしょ、どうせ。

 

「いただきまーす」


 ちゃんと切って入れてくれてる愚弟に感謝しつつ、小皿を取り出し醤油をたらり。

 そういやコロッサル墨? だっけ。

 あれを混ぜた醤油凄いのよね……と思って探すも見つけられず。

 まぁ、あまり美味しい醤油に馴染んじゃうと海外で醤油を求めて徘徊するゾンビ見たくなりかねない。

 普通の醤油で我慢しよう。

 ……まぁ、そんな事言っても、その醤油ですら十分美味しいんだけど。

 塩味が尖ってなくて、ちゃんと風味がするのよね、日本の醤油って。


「あー、最高」


 と、秋刀魚の太巻きをぱくつきながら、次の渡航先を思案中。

 というか、最近円安が酷くてねぇ。

 何をするにしても、ちょっと前よりもお金がかかる印象。

 いっその事海外に拠点構えて、たまに帰ってくるようにしてやろうか? とも思うんだけど。

 体が日本食を求めちまうんだ。私には海外移住は不可能だったよ。


「となると近場か……むしろ遠くに行って長期で帰ってこないって選択肢も……」


 正直、どっちでもいいはどっちでもいい。

 

「もうしばらく日本でゆっくりして……あ、いっその事しばらく休養して日本全国巡っちゃうかな」


 仕事に一番必要なのは、それに対する熱量というのが私の持論。

 熱が冷めればその仕事に関する興味を失い、興味が無くなれば苦痛になる。

 それでも会社員などは仕事が回ってくる為、嫌々でもしなければならないのだろうが……。

 宝石商然り、苦痛になってしまった仕事を続けることが困難な業種も存在する。

 配信者とかが一番わかりやすい例だろうか?

 なので、自分の中で熱量を失わないように調整――もっと言うなら、リフレッシュ期間などを設けて上手く付き合っていかなければならないと私は思う。

 で、このタイミングでそのリフレッシュ期間に入ってしまおうという訳。

 もちろんその間は仕事をしないし、何ならむしろお金を使うから資金的には減るのだが……。

 ありがたいことに、異世界組からの宝石と香木の売れ行きがいいんだなこれが。

 なので多少遊んだところで、びくともしない位には資金はある。

 ――無論、税金の支払い分も考えて、ね。


「寝台列車、あ、クルーズ船なんてのもいいかも。……各地の温泉地巡りもいいなぁ」


 という訳で調べる対象を海外行の飛行機のチケットから、日本国内を回れる乗り物全般に変更。

 翔には都度お土産を送り付けてやればいいでしょ。



 ただいま! という事でね。

 松茸ご飯と何をしようかと考えたところ、こんだけキノコの種類があるなら鍋にしようかなって思いました、まる。

 ネギと白菜、それからキノコと豚肉というシンプルな材料から繰り出される、圧倒的な種類のきのこの暴力鍋。

 出汁は当然異世界魚介節からのお出汁。

 最高でしょ。


「……で、何してんの?」

「んー……イメトレ?」


 で、買い物を終えて帰宅したら、リビングで何やら姉貴が前傾姿勢になって体をゆらゆら。

 姉貴、とうとう頭が……。


「何か失礼なこと考えてない?」

「滅相もございません」


 勘だけは鋭いんだから。


「いや、ちょっと国内旅行をしようと思って」

「仕事は?」

「かなり遅い夏休みにする」

「もう秋だが?」

「スキーして温泉入って来ようかなって」

「いいなぁ……」


 ああ、さっきの謎のゆらゆらはスキーのイメトレだった、と。

 んなことしなくてもあんたの運動神経ならニ、三回滑ったらコツ掴むだろうに。

 憎たらしいほどにセンスだけはあるんだから。


「その後各地の温泉でも巡ろうかなって」

「おばあちゃんかよ」

「若い人でも温泉好きな人はいるでしょ」

「それはそう」


 にしても珍しいというかなんというか、ハイパーアグレッシブな姉貴が温泉でゆっくりねぇ……。

 ま、いいんじゃない? たまには。

 これで少しは落ち着いてくれりゃあいいんだけれども。


「今日のご飯は?」

「鍋。日本食が良いと思ってね」

「最高じゃん。何鍋?」

「キノコ。あ、マイコニド」

「言い直さなくてよろし」


 姉貴も賛同してくれましたし、それじゃあ、準備していきますか!

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― 新着の感想 ―
ダイヤモンドって研磨技術が発達するまではあまり価値がなかったとか聞いた事あるような?
マイコニドくん分裂技術、向上しないとね…
更新ありがとうございます∠(`・ω・´) ( ゜д゜)ハッ!新たなナカーマだと思ってたマイコニド達が山芋マンドラゴラ君の前から連れ去られてしまう(´;ω;`)ブワッ次回ナカーマが鍋になって美味しい美味…
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