また俺なんかやっちゃいました?
貰ったマンドラゴラは神様の情報通りにトマトのやつ。
……ただ、何と言うか――。
俺が思うトマトの形してないな。
こう……海外のトマトって言うの?
なんか、細長い感じの……ロケットみたいな形状のトマト。
「海外居る時こういうトマトばっかだったなぁ」
「そうなん?」
貰ったトマトたちを眺めていたら、姉貴が横から口を出してきた。
ほーん……。
こんな俺の腕位ある大きさのトマトが海外にはあるのかぁ。
「ま、ここまで大きくなかったけどね」
「でしょうね」
なんてね。
こんな大きさのトマトじゃない事くらい知ってますよっと。
「それから……渡すのは迷うのだが……」
「出来れば美味しく調理して頂けませんこと?」
で、そういう会話をしていたら、後だしで追加された食材が一つ。
マイコニドか……?
「え、これって……」
「不味いんでしょうか?」
リリウムさんから手渡されたマイコニドの形状は……そう、松茸。
明らかに松茸。
姉貴と顔を見合わせ、もう一度その姿を確認し……。
「か、香りは?」
「あまり気持ちのいい匂いではありませんわよ?」
というリリウムさんの言葉を無視し、クンと一嗅ぎ。
……土の匂いしかしねぇ。
「どう?」
「そもそも国産松茸とかの匂い嗅いだことない」
「はーつっかえ」
「んだと?」
いや、普通に暮らしてて松茸の香りが分かる人の方が少ないだろ。
俺の中の松茸のイメージってあれやぞ?
インスタントのお吸い物のイメージやぞ?
美味しいよね、あれ。
「とりあえず、調理はしていただけると?」
「はい。任せてください」
「秋刀魚に続いて松茸とか、秋の味覚オンパレードね」
「栗とかあるとさらに嬉しいかも」
久しぶりに栗ご飯とか食べたいな。
どう? 姉貴?
「栗はいいかなぁ……」
響かないか。
まぁ、いいや。
とりあえず、これで明日の一品は決まったな。
松茸ご飯! 君に決めた!!
「では、また」
「次も楽しみにしてる!」
「デザートも楽しみだからな!!」
「じゃあの」
そして、全員分の丸ごと秋刀魚太巻きを持ち、魔法陣を潜って異世界に戻っていく。
……ふっふっふ。
「本当に松茸か調べる必要があると思わない?」
「思う」
という訳で、貰ったマンドラゴラが本当に松茸なのか検証していきましょう。
具体的には食べよう。
解呪は変わらず炒り塩水で大丈夫ですよね?
(うむ)
お墨付きを貰ったので、炒り塩水を作りまして。
……まだギリギリ炭に火が残ってるな。
炭火焼にしよう。
炒り塩水の中で土や汚れを落とし、水気を拭き取って半分に切る。
それを網に乗せて、焼くこと数分。
「結構匂いするわね」
「本来がどれくらいか分からんて……」
香ばしい香りはするけど、それが本当に松茸の香りなのかと言われると分かんない。
でもまぁ、松茸の香りって事にしとこう。
「醤油? 塩?」
「塩かなぁ」
ひっくり返せば、網目状の焼き色が綺麗についておられる。
姉貴は塩か。
そう言えば、かぼすは松茸と合うんじゃないの?
鱧との土瓶蒸しでもかぼすを垂らしたりするし。
「多分焼けた」
「かぼす塩でいただき!」
なお、姉貴も同じ考えだった模様。
ちゅっと絞って塩を振り振り。
そして豪快に一口で異世界松茸を頬張る。
――反応は?
「ん~。おいひぃ」
「松茸?」
「松茸! 香りが凄いわ。森林浴してるみたいな、秋の風を感じるわね」
「無理に言おうとしなくていいよ」
と言う訳で姉貴がファーストペンギンになったので、俺もパクリ。
――あー、美味い。
あんなこと言ったけど、姉貴の言ってる事解るわ。
清涼感って言うの?
口の中の空気が鼻に抜ける時、確かに風が吹いてる感じがする。
臭くはない土の香り、木の香り、正しく森って感じの香りが、全身に駆け巡ってく感じ。
「コリッとしてるけど固くないし、美味しいわよね」
「味は……うん。キノコだよねって感じ」
「香り松茸味しめじ、なんだっけ? でも、その辺好みじゃない?」
「それを言ったら大体がそうでしょ」
なんて言って、異世界松茸試食会が終了。
結論としては、ちゃんと松茸っぽかった、とだけ。
あ、そうだ姉貴。
異世界松茸をより詳しく評価するために、国産松茸を買ってくるってのはどう?
……だったらそのお金で他の美味しいもの買いたいって気はするけれども。
「んごんご」
「ん? どうしたの? ゴー君」
役目を終えた炭と七輪たちを片付けようとしたら、ゴー君から声を掛けられた。
どうしたんだろう?
「ンゴ!」
「……食べたいの?」
「ンゴンゴ!」
「……これを?」
「ンーゴ!」
まさかの要求だった。
炭を食べたいと言い出すなんて……。
いやまぁ、別に構わないけども。
「なんて?」
「炭を食べたいんだって」
「ほーん?」
ゴー君の要求を姉貴に伝えると、なんか腕を組みながら考えだして……。
「もしかしてさ、炭からダイヤモンドとか作れない?」
「どういう発想?」
「炭素を圧縮したらダイヤモンドになるでしょ?」
「そうなの?」
知らんけど。
後ゴー君、結構任せろ的な表情してるね。
やれるのか。
「やる気ではあるっぽいけど」
「マジで!?」
なんで姉貴が驚いてるの。
言い出しっぺなのに。
「明日の朝出来るって」
「早いじゃん! やったね!!」
という訳で、ゴー君の口の中に炭を入れ、網はタワシで擦って洗い。
しっかり片付けて就寝。
翌朝、確認に言ったらゴー君の中に白い炭が一本転がってたけど、まさかあれがダイヤモンドとかって言わないよなぁ……。




