プッチンぱぽぺ
勿体ぶるのもアレだし、姉貴の買って来たお土産よりはどこでも入手出来てしまうので、俺の用意したデザートから。
「プリンか?」
「ですです」
と言う訳で用意したのは、恐らく日本で一番目にする機会が多いであろう某メーカーのプリン。
なんで今更? と思われるかもしれないが、どうしても試させたくてね。
「お皿を用意しまして」
「懐かし。いつ振りだろ」
プリンとセットでお皿を出せば、察した姉貴が懐かしがる。
分かる。
子供の頃は喜んでやってたけど、大人になってやるかと言われると……。
まぁ、やるか。
たまに。
「?」
何が起こるのかと不思議がってる異世界組を前に、プリンの蓋を剥がし。
お皿に逆さまに乗せて、裏側にあるでっぱりを倒すと……。
「ん?」
「今何が起こった……?」
容器とプリンの間に隙間が出来たことにより、ひとりでにプリンが容器から離れ。
お皿の上に、プルンと着地。
以上、久しぶりのプッチンプリンでござい。
「普通のプリンではあるんですけど、こうしてプッチンすることが出来るので、今までとはちょっと変わってますかね」
「やりたい!」
という事で異世界組もプッチン初体験。
動画で見たけど、海外には、こうした容器も無いみたいで、日本のプッチンプリンが初めてって人が多いらしい。
なので異世界組にも刺さるかと思ったら、案の定だったね。
「密着した部分に空気が入る事で離れるようになっているのか……」
「容器にほんの少し工夫するだけで取り出すのが楽になるんですわね」
「この容器のままスプーンで食べたら、容器の隅にカラメルが残る。こうして皿に落とす事で、それらも余すことなく味わえる仕様になっているな」
「発想も構造自体もシンプルじゃが、そこに至るまでの思考を考えると中々の逸品じゃわい」
「これ、知育ポーションの入れ物に使えない?」
「作ってこういった容器に保存して、必要な時にワンプッシュで取り出せるように、ってか?」
プリンそっちのけで容器の観察をしながら、そんな事を話し始める。
知育ポーションの入れ物案はいいんじゃない?
子供たちに興味を持たせるって言ってたし、花とか星とかの型の容器を作ってやれば、より興味を持ちそう。
「ワンプッシュポーションはいいかもしれない。容器に入れる都合上かさばるのが少々問題ではありそうだが」
「利便性を考えたら全然ありですわね」
「逆さにして振っても落ちてこないのは凄い事だぞ?」
「この容器を専門に作る工房が必要になりそうじゃなぁ……」
採用されるんだ、プッチン容器。
……特許とか大丈夫かな?
異世界で使用されるなら問題ないか。
「滑らかで美味しい」
「カラメルの若干の苦さと香ばしさがまた美味さを引き立てるな」
『夢幻泡影』は観察や考察を続ける一方で、『無頼』アメノサ組はさっさとプリンを食べ始めていたり……。
ちなみに俺が買って来たのはBIGサイズね。
通常サイズとか足りん! って文句が出ると思ったから。
でも、姉貴のお土産と合わせると考えたら、通常サイズでもよかったかもしれん。
「あっさりしていて重たくない」
「ずっと食べてられますわ!」
「カケル、これには卵と牛乳以外の物が使われているのか?」
「少々お待ちを……」
えーっと、プッチンプリンの成分表はっと……。
「寒天が入ってますね」
「……ふむ。それで固めているのか」
「どうかしました?」
「いや、卵と牛乳だけでここまで軽く、あっさりなるのかと思ってな」
ああ、なるほど。
自分が作ったプリンと比較して、食べた感じが軽かったから疑問に思ったわけか。
「お代わり!!」
「私も!!」
とか言ってる間にマジャリスさんとアメノサさんがプリンを平らげ、お代わりを要求。
「ありませんよ」
「……ない?」
「ないです」
「……嘘だろ?」
「嘘つく必要があります?」
項垂れる両名。
なんだかなぁ……。
「はい」
そんな両名の前に、東京土産のバナナを模したお菓子が姉貴の手から届けられ。
「姉上!」
「2モフ相当の価値!!」
もうデザートが無いと絶望していたところに、追加で置かれたお菓子に感動し、思わずモフる権利を渡してしまうアメノサさん。
安いな、モフが。
今日のモフはストップ安か?
「ケーキ?」
「中にバナナクリームが入ってます。美味しいですよ」
バナナクリームというか、バナナの香りがするカスタードクリームだけど。
これがまた美味いんだ。
……なんで東京でバナナなのかは謎だけれども。
「っ!? これ美味しい!!」
「最高が過ぎる」
で、誰よりもフライングして食べた二人の感想がこちらになります。
美味いよね、東京バナナ。
絶対に外れないお土産の筆頭候補だと思うわ。
「先に食べるなんてズルいですわ!」
「そうじゃぞ!」
で、合流してくるガブロさんとリリウムさん。
まぁまぁ、東京バナナは逃げないから。
「ふんわり柔らかく、溶けるようなスポンジケーキと、中のクリームの組み合わせが凄いですわね!」
「軽くていくらでも食べられるぞい! 千個はいけるな!」
いくなよ、千個も。
絶対に途中で飽きるだろ。
「プリン自体も美味かったし、容器も面白い物だった」
で、遅れてラベンドラさんも参戦。
――あれ? 『無頼』さんは?
「これうンめぇな」
あ、もう食べてましたか。




