作者「これで何とか……」
「まぁ、こんなものだろうな」
「青魚って感じですね」
まずは普通の醤油で、との事で食べてみたけれども……。
うん、青魚だねって感想しかない。
イワシとかかなぁ……近い味だと。
生姜が欲しくなるね。
「これはこれで食えねぇ事はねぇけどな」
「匂いが結構する。気になる人は気になると思う」
『無頼』アメノサ組からもこの反応。
やっぱり薬味無しで青魚を食べるのはキツイものがあるよ。
「回転寿司屋の、トッピングなしのイワシの握りみたい」
「すっごい分かる」
姉貴は姉貴で俺と同じ感想を持ってるし。
姉弟って味覚も似るのかな。
ちなみにガブロさん、リリウムさん、マジャリスさんは美味しいと確証が得られないならいらない、と味見を拒否。
いやまぁ、いいんだけれども。
「で、次はコロッサル墨を混ぜた醤油……」
コロッサル墨自体に粘度があるせいで、醤油と混ぜると九州の刺身醤油みたいにトロッとするんだよな。
さてさてどう変わるか……。
「っ!!?」
「美味しい」
「うめぇな!」
さっき食べた刺身と同じって言われたら絶対に信じられない変わりようなんですけれど?
あと、俺らの反応を見てガブロさん達が箸持って寄って来たし。
「さっきの刺身には無かったねっとりとしたうま味が感じられる」
「脂も感じられますね」
「臭みも消えて随分と食べやすくもなってる」
マジで別物なんじゃねぇの? ってくらいの変わりよう。
信じられるか? これ、醤油を付けただけなんだぜ?
「さっきはイワシだったけど、これだと鯖とか鯵とかの味に近いかも」
「あー分かる。脂の乗った鯖とかの味わいだね」
そもそも生の鯖とか食べた事無いけど。
……ゴメン、あったわ。
九州に旅行に行った時に、ゴマ鯖食べたわ。
美味かったなぁ……。
――冷静に考えてさ。
付けただけで魚の種類を変える醤油ってなんだよ。
変化の醤油か?
「これでハッキリしたな」
「コロッサル墨は魚のクオリティというか、味わい全般を変えますね」
そう来なくちゃ異世界食材。
ただゲーミング発光するだけなんて物足りないなと思ってたんですよ。
「……ねぇ、翔」
「何? 姉貴」
「ずっと思ってたんだけど……コロッサルって何?」
「……へ?」
コロッサル墨の効果を確認した後、姉貴からそんな言葉が。
え? コロッサルってもちろんタコの魔物で……。
「ラベンドラさん」
「? なんだ?」
「確認なんですけど、コロッサルはタコの魔物ですよね?」
「コロッサルはコロッサルだろう?」
「……俺がたこ焼きを作った時の食材だった魔物ですよね?」
「そうだ」
その時、頭の中に溢れる存在しない記憶。
嬉々とした表情で戦う『夢幻泡影』。
倒される巨大なタコ。
ガブロさんが一仕事を終えて満足そうな顔で墨を革製の水筒に移す様子……。
「あの時って、確かニンテイタコカイナって俺は呼んでいたはずで……」
「?」
「魔物の名前も、いつもと同じで聞き取れていなかったはずで……」
「カケルがご乱心?」
「ほっといていいわよ」
「じゃあなぜ、俺は今、当たり前にコロッサルをタコの魔物と認識して聞き取れている……?」
そんなもの、考えられる可能性は一つである。
――神様、判決を言い渡します。
(いきなり結論は急ぎ過ぎじゃ!! せめて弁明を!!)
不許可。
罪状は勝手に人の頭の中に存在しない記憶を植え付けた傷害罪と、聞き取れなかったはずの魔物の名前を聞き取れるようにした俺への迷惑防止条例違反。
(傷害はまだしもお主への迷惑防止条例なぞ存在せんじゃろ!!)
判決。
今回のワイン没収。
(慈悲を……)
与える側でしょ、神様は。
……んでまぁ、一応言い訳は聞きましょう。
(ただ魔物の墨と言われて渡されても、イカ系の魔物の墨と思い込むじゃろ?)
まぁ、おおよそ一般的に食べられてる墨ってどうしてもそっちですからね。
(じゃが、お主も知っての通りイカ墨とタコ墨は違う。それをお主にはっきり認識させるために、今回のような荒療治を行ったわけじゃ)
ふぅむ……。
ワインの没収本数を一本減らします。
(いやいや、十分過ぎる理由じゃろ)
じゃあなんで姉貴にも同じように処置をしなかったので?
俺だけに適用してるから、姉貴から不思議な物を見る目で見られているんですけれど……。
(だって、どうせ調理に使うのお主だけじゃし。八百万からお主だけならと許可を貰ったわけじゃから……)
八百万の神様方、どうか、この神様に、安易にそう言った許可を与えないでください……。
(じゃが役には立ったじゃろ?)
まぁ、立ったか立ってないかで言えば確実に役には立った。
あと、タコ墨食べれるってなって、テンションは上がった。
(ならもう不問で良いではないか)
……う~ん。
折角なら、もう全部の魔物の名前を聞き取れるようにしてくれません?
(え、面倒)
面倒て……。
(今回みたく、詳細が分かった方が調理に幅が出るならばそうするが、別に今までもそこまで困らなかったんじゃろ?)
それは……まぁ。
(ならば無理して聞き取れるようになる必要は無いであろう?)
聞き取れるように押し付けておいてよく言うよ。
次こういった事をする時はちゃんと声を掛けてくださいね?
(うむ)
報連相をしっかりするのは日本社会じゃあ常識なんだよ!
「……ヨシ」
「何がヨシなんだろう……」
「カケル」
「分かってます。デザートですね」
「うむ」
「私の買って来たお土産たちを召喚したまへー」
神様と話も付いた事だし、これからデザートタイム。
ちょっとね、試させたい物があるからね。
姉貴のお土産と一緒にお出ししちゃいましょう。
俺がお出しするデザートは……プリンである。
感想で指摘いただいた、『コロッサル』を聞き取れたのなんで? に対する辻褄合わせ()
全部神様が悪い←




