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早く食べて、やくめでしょ

「出来たぞ」


 いい感じに米がスープやコロッサル墨を吸い、パリパリとしたおこげも顔を出し。

 最高のタイミングでラベンドラさんが蓋を開ければ……。

 部屋中に、魚介のいい匂いと、日本人のDNAが喜ぶ米の炊けた匂いが一気に充満。

 ――これで米が発光してなけりゃあ、最高に美味しそうなのにな。


「匂いが凄い……」

「腹減ってきた……」


 全員の気持ちを代弁してくれた『無頼』アメノサ組に心の中で頷きつつ、ラベンドラさんと共にゲーミングパエリアをよそっていく。

 よそった後にはパセリを散らし、くし切りにしたレモンを添えて完成。

 ――これ、異世界組には美味しそうに見えてるのかな?


「色はアレだが、匂いは美味そうなんだよな……」


 あ、やっぱり?

 マジャリスさんが難色を示しているし、異世界組でもゲーミング発光は食欲が沸かないらしい。

 良かった、その辺の感覚は一緒のようで。


「発光とまではいかないけど、海外だとゴテゴテした色の食べ物とか結構あるから、私は平気よ?」


 とまぁ、さっきまで絵具だなんだと言ってた姉貴がこうおっしゃってますけど?

 だったらファーストペンギンになってもろて。


「……? みんな食べないの?」


 姉貴が食べるの待ちなんだよ。

 言わせんな恥ずかしい。


「いいや。いただきまーす」


 で、緑色に発光している部分をスプーンで掬って食べた姉貴は……。


「うんまっ! なにこれ!!」


 最初の数秒は沈黙。

 ただ、カッと目を見開いたかと思うと、今度は青く発光している部分を掬って大口で頬張る。


「ん!」


 で、俺に向けて伸ばされる手。

 何かを所望のようだが……ああ、はいはい。

 出来のいい弟なんでね。察しましたとも、ええ。


「ほい」

「ん」


 ワイングラスを手渡せば頷く姉貴。

 そして――。

 神様? どのワインが合いそうです?


(左手前から二本目の白ワインじゃな)


 神様からのおススメを手に取り、ワイングラスに注いであげる。

 えーっと? なになに?

 イタリア産の微発泡の白ワインか。

 

「あー……合う。スッキリしたリンゴのような香りが、口の中に残った魚介の香りを洗い流して……。しっかり辛めの味わいが口の中に残るうま味とハーモニーを奏でてるわ~」


 無理すんな姉貴。そういうのはエルフに任せておきなさい。


「た、食べるか」

「ですわね」


 で、そんな姉貴の姿を見た後、ごくりと喉を鳴らして意を決する異世界組。

 ただ、まだ馴染みのある黄色いご飯の部分をスプーンで掬ったあたり、覚悟はどうやらまだまだ弱いらしい。


「!!? 美味いぞ!!」

「作った私が言うのもなんだが……色が大概邪魔しているな」

「でも、色が違うからと言って味わいに変化はありませんわね」

「視覚情報がどれだけ大事かっちゅー話じゃな」

「同意」


 みんな最初の一口にこそ抵抗はあったものの、一度味わってしまえば、色が美味しそうじゃない、というのは障壁になり得ないらしい。

 という訳で俺も一口。

 もちろん、食べるのは黄色い部分。

 やっぱパエリアといったらこの色だしね。


「え、うめぇ」

「でしょ?」


 一切調理に参加していない姉貴に言われるとなんか癪だけど、実際ファーストペンギンとしての役割は全うしてるからなぁ……。

 今回だけは大きい顔をさせてやろう。

 ちなみにパエリアの味は絶品。

 ギュッと海鮮系の出汁の旨味が詰まったコロッサル墨と、海老、イカ、アサリから出たうま味が見事にブレンドされ。

 それらを十二分に吸ったお米は、焦げの部分の香ばしさを追加でプラス。

 ほんのり香る磯の風味と、海老の香り、アサリの風味、イカのニュアンスが、これまたご飯に合いまくる。

 パセリの鼻に抜ける香りも完璧だし、ちょっと絞ったレモンの酸味が、嫌な香りを全て吹き飛ばしてくれる。

 マジで、見た目マイナス二億点。味の評価が二億一千万点、みたいな料理になってるわ。


「ん~! ワイン自体の美味しさもありますけれど、すっごく合いますわね!」

「香り高いフルーツの香りが、僅かでも嫌な魚介の香りを吹き飛ばしている」

「甘すぎねぇから米と食ってても違和感ねぇしな」

「このワインなら神様も儀式に使いたがるのも頷ける」


 良かったね、姉貴。

 買って来たワイン、絶賛されてるよ。


「初回はカケルのワインで、それ以降は国で一番の出来のワインにバハムートの血を垂らしたワインで行うンだよな?」

「カケルはそう言った」

「てことは、逆に言えばバハムートの血を垂らしたワインは、これ位のクオリティまで上がる可能性があるって事か?」

「……そうじゃない?」


 前に言ってたよね。

 熟成期間が必要だけど、ワインのクオリティは現代の物レベルに引き上げられるって。

 まぁ、それを奉じられる予定の神様は、熟成期間とか言うまどろっこしい物は、神様顕現で無視して時間跳躍するんだけれども。


「出汁を吸った海老が美味い」

「イカもすっごい美味しいですわよ?」

「アサリもじゃわい」


 と、『夢幻泡影』の三人が具材の魚介に注目してる。

 ――一人足りない?

 マジャリスさんなら、ハムスターみたいに頬を膨らませてパエリアを頬張ってるよ?


「冷凍されていたのだから、品質はそこまでと思っていたのだが……」

「明らかにプリプリですし、かなりいいものだったのでは?」

「もしくはコロッサル墨が何らかの作用を起こしたのか……」


 ……?

 そんな言うほど?

 どれどれ?

 ――っ!?

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― 新着の感想 ―
で、緑色に発行している部分をスプーンで掬って食べた姉貴は……。 部数かな??って思った(^-^;
一口で食べれる奴にして中に墨で作ったソースをぶち込むとか??
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