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デスマーチ

「さて……と」


 完食し、一呼吸。

 ふぅ。やっぱり普段より多く食べると苦しくなるね。

 あまり多く食べるなよ……太るぞ。

 ――健康維持の為にルームバイク買ったんで……休みの日はしばらく漕ぐかなぁ……。


「デザートだな!!」

「です」


 で、俺が完食したら当然かけられるデザートの催促。

 これはもう当たり前の流れになりつつある。

 というか、来なかったら逆に不安。


「今日のデザートは今から作ります」

「ふむ」


 で、これから調理と言うと、ラベンドラさんがドラゴンエプロンを着用して臨戦態勢。

 話が早くて助かる。


「黒胡麻のお汁粉を作ろうと思ってて」

「ふむふむ」

「白玉と餅、どっちがいいです?」

「……究極の二択か?」


 そこまで大げさかな?

 

「白玉」

「同じく白玉」


 『無頼』アメノサ組は両方白玉、と。

 勝手なイメージ、『無頼』さんはお餅って言いそうだったから意外だった。


「作る手間になる。全員白玉でいい」

「あ、それは滅茶苦茶助かります」


 で、他の人が何か言う前にラベンドラさんの一言で全員白玉になる事が決定。

 お餅焼いて、白玉作って……ってやってたら大変だし、助かるなぁ。

 ――ま、両方やる覚悟は決めていたんですけれどもね。


「その代わりと言っては何だが……」

「何でしょう?」

「餅は持ち帰りの方に回して貰えると助かるな」

「お安い御用です」


 餅だけに持ち帰りってか。

 ――なんか肌寒くなったな。

 もう秋か。


「で? 私は何をすれば?」

「胡麻をすりおろして貰って、お湯を張った鍋にぶち込んでください」

「魔法で実行可能だ。白玉も作ろう」

「じゃあ、白玉粉と豆腐を混ぜて、もらって……」


 今日のデザートはラベンドラさん任せでいいっぽいな。

 調理しなくていいって本当に楽だね。


「白玉の固さは?」

「耳たぶ位です。固すぎると思ったら水を追加して――」


 フニ。

 …………。

 そう言えばそうか。

 エルフ達、耳たぶ無いんだった。

 アメノサさんは狐耳だし、『無頼』さんは犬耳……。

 ハッ!?

 この空間で耳たぶがあるのは俺だけか!?

 いや、待てよ。

 ガブロさんにはあるじゃん……耳たぶ。

 物凄く小さいけど。


「よし、この位だな」


 で、何度か俺の耳たぶと白玉とを触り比べ、完全再現に至ったらしいラベンドラさん。

 いやまぁ、いいんだけれどもね?


「千切って茹でて、冷水で冷やして白玉は完成ですね」

「うむ」


 分かってる、と言わんばかりの返事と共に、沸騰した鍋に白玉を千切って入れーの。

 もう片方の沸騰した鍋に、すり下ろした黒胡麻を入れーの。

 ちなみにすりおろした黒胡麻は、おおよそ俺らの思うような擦り胡麻ではない。

 魔法によるすりおろしのおかげで、ほぼほぼペースト状になっており。

 もはや擦り胡麻というか、練り胡麻の方が名称としては近いかもしれない……。

 魔法ってマジで便利だよな。


「黒胡麻の方は砂糖と塩で味を調えて貰って」

「甘めに作るぞ?」

「お願いします」


 折角のデザートなわけだし、うんと――とは言わないまでも、デザートとして認識出来る甘さは欲しいよね。

 甘さ控えめ! がもてはやされる時代ですけれども。

 俺は声を大にして言いたい。甘いからこそある需要もあるぞ、と。


「かき混ぜたら弱火にして、牛乳を混ぜていきます」


 ちなみに混ぜるのも全て魔法である。

 何もしてないのに鍋の中の水面が渦巻いてるのを見ると不思議な気分になるよね。


「かなりサラサラとしているが?」

「仕上げに水溶き片栗粉を入れてとろみを付けるので大丈夫です」


 牛乳を入れ、ゆっくり煮たてたら、仕上げに水溶き片栗粉。

 とろみを付け、最後の味の確認をして完成。

 器に白玉を入れ、そこに出来立ての胡麻汁粉をかけて出来上がり。


「香ばしさと甘さの香りが凄くしますわね」

「見た目が黒なのが若干怖い」

「カケルの提供する料理だぞ? 何を怖がる必要がある」

「それもそうか」


 ……それは俺の事を信用して貰えてるって事でいいんだよな?

 ――今度石チョコでも出してみるか。

 ここの石は食べられるんですよ、とか言って。

 ――マジで信じそうだからやめておこう。

 

「もう待てないから食うぞ!」

「うむ」


 ではでは皆さま、二回目の~?


「「いただきます!!」」



「終わったっすね……」

「しばらくは開催したくないな……」


 ミカラデ国、料理大会運営本部。

 日没後、しばらくの間最後の呼び込みを粘っていた一店が、ようやく閉店。

 これにて、第一回のミカラデ国料理大会は大盛況のまま幕を閉じた。

 昼過ぎから始めたにもかかわらず、長蛇の列を形成し、結局夕方ごろに材料が無くなった、調合ギルドの知育ポーション。

 ドワーフをターゲットに、様々な創作カクテルを提供し、ドワーフが周辺を離れなかった新設醸造ギルド出張所。

 この日の為に高価なチョコレートを買いだめし、一気に放出した結果、余裕で黒字化し、今後の商品展開が決まった老舗商店。

 思い返すだけで、国の様々な所で繁盛した、という声が聞こえてくる。

 ――最も、本部に居た者達はそれらの店を巡る余裕など無かったのだが。

 だが、ミカラデ国丞相のアメノサは、この本部の者達にもしっかりとボーナスを用意していたりする。

 それは、『夢幻泡影』の作る、まだ誰も知らない秘密のレシピとの事なのだが。


「じゃ、これから集計っすね」

「はぁ……」


 その料理を味わうのは、大会と銘打ってる以上、避けては通れない、一番を決める投票。

 その集計が終わってからの事である。

 余談だが、この投票率は驚異のほぼ100%を記録したのだが。

 本部の者達が知るのは、もう少し後になっての事であった……。

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「その代わりと言っては何だが……」 「何でしょう?」 「餅は持ち帰りの方に回して貰えると助かるな」 「お安い御用です」 磯辺、きな粉、砂糖醤油、お雑煮、あんこ、ずんだ……
だが、ミカラデ国丞相のアメノサは、この本部の者達にもしっかりとボーナスを用意していたりする。 それは、『夢幻泡影』の作る、まだ誰も知らない秘密のレシピとの事なのだが。 ボーナス??んん???それボー…
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