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単発食材……だと……

 紫色の魔法陣が出現し、六人が登場。

 ――ぐったりしてません? 大丈夫です?


「何かありました?」

「いや……その――」

「俺らの国で料理大会が始まったンだけどよ」

「そこに出店していた知育ポーションが人気が凄くて……」

「あんなの、ほぼ暴動ですわよ! 四か国の調合ギルドが材料をかき集めていたのに足りなくなったんですもの!!」


 えぇ……。

 曲がりなりにも四か国連合が、料理大会のお客さんの数に負けた?

 んなバカな。


「ターゲットを子供に絞り、分かりやすいポーションゼリーの作り方を教えていたのだがな?」

「どういう訳か、大人の方が食いついていましたもの」

「微笑ましく子供と一緒に作っている家族も居れば、子供の分まで作ってはしゃいでる父親もいたな」


 譲れ。

 せめてそこは。

 息子に。


「実演する職員が不足という事で急遽私達が駆り出された」

「それだけなら良かったのに、コイツ、「これを入れたら色が変わる」とか言ってアレンジしやがるから……」

「一度試して満足した客が、トンボ返りする羽目になったんじゃよな」

「それについては申し訳ない……」


 そしてラベンドラさんがやらかしたんか。

 まぁ、未知の体験の後に追加情報出てきたら、そりゃあまた並ぶか。


「ちなみに結果としては?」

「大成功もいい所だろう。ギルドや雑貨屋、商人からこぞってポーションゼリーの契約を勝ち取っていた」

「調合ギルドへの就職志願者も列を成していたからな」

「結局、『調合』って言葉が難しいものとして認知されてた。そこが取っ払われたから、みんな興味を持った」

「教育機関からも、調合に関する本が欲しいと問い合わせがあったそうじゃぞ? 羽ペンの先を舐めながら数人のギルド職員が大急ぎで書いておったわ」


 うわ、懐かしい。

 鉛筆の先を舐めるとか久しぶりに聞いたわ。

 ――鉛筆じゃなく羽ペンっぽいけど。


「調合ギルド的には革命的な一日になったンじゃねぇか?」

「既に表彰したいからと日程のすり合わせが行われましたのよ?」

「我々はカケルの出した菓子を真似ただけなのにな」

「結局、みんな不思議現象がただただ大好きなんですよ」


 異世界の神様も知育菓子に夢中だし。

 異世界サイドがハマる理由も分かるってばよ。


「よし、ではカケル」

「今日のご飯ですね」

「うむ。何をする?」

「天津飯と言うものを作ります」

「ほぅ」


 日本で作られた、美味しい嘘から出来たその料理。

 んじゃあ作っていきますか!



「混ぜて焼いて終わりか」

「です。簡単でしょう?」


 カニカマ、異世界アサリ、人参、しいたけをリボーンフィンチの溶き卵に混ぜて、焼く。

 これだけ。

 焼けた具をご飯に乗せて、タレをかけたら完成なんだもん、シナモン、カルダモン。

 トッピングにグリーンピース……はいらないか。


「カニカマも入るのか」

「本当は蟹を使いたいんですけどね……」


 高いもん、蟹。

 カニ缶も。

 という訳で、どこかにただで蟹を提供してくれる異世界出身のエルフとか居ないかなぁ~。

 チラッ。


「生憎手持ちには無いな」


 チッ。

 無いならしょうがない。


「じゃあ、スープを温めますね」

「うむ」


 ちなみに中華スープはワカメ、溶き卵、しいたけの入ったシンプルな物。

 結局、こういうのが美味いんだよ。


「あ、そう言えばなんですけど」

「?」

「今日の食事と持ち帰りの分で、貰ってた異世界アサリが無くなっちゃいまして……」

「む。……ガブロ、何か渡せる食材はあったか?」

「珍しいものでカケルに渡そうと思った物なら……じゃが、恐らく一食分がせいぜいじゃぞ?」

「クッ! 食材を切れさせるとは何たる不足!」


 いやまぁ、確かにこれまでは次から次に食材を貰っていたけどさ。

 いいじゃん? たまには? また寿司とかピザとか出前でも。


「コロッサルの墨を渡すぞい?」

「うむ。そして明日はカケルに渡す食材の調達に繰り出すぞ!」

「「おー!!」」


 なお、そんな事にはならないもよう。

 ――ん? 待って?

 今コロッサルの墨って言った?

 コロッサルって確かタコだったよね?

 タコ墨? 量が少なくしゃばしゃばしていて料理に向かないと言われる?

 旨味の成分的にはイカ墨の数倍に匹敵すると言われているあのタコ墨?

 どうしよう、気になってきたな。


「色はあれじゃが恐らくは美味いはずじゃ」

「恐らくって……味見とかは?」

「呪いが強くて……」

「ああ……なるほど」


 察し。

 だからこそ、俺に渡そうと確保してたのか。

 ――ヘイ神様?


(なんじゃ?)


 コロッサル墨の完璧な解呪方法を教えて?


(加熱して塩を振れ。そうするとトロミが付く。それが解呪完了の合図じゃ)


 ありがとう神様。 加熱と塩のコンボで解呪可能なのね。

 んで、その過程で調理に使いやすくトロミも付くと。

 こりゃあ、明日はコロッサル墨パスタですわね。


(あー、待て待て)


 ん? どうかしました?


(パスタよりパエリアが良い。ワインも添えてな)


 ……いつの間にかお供えする流れになってるし。

 でも、神様をsiri扱いしてるし、たまにはそのお願いも聞いてあげるか。

 ちなみにワインのリクエストは?


(ミネラル感たっぷりのさっぱりした白と、苦みや渋味が少ない軽めの赤じゃな)


 調べて買って来てみますよ。


(助かるのぅ)

「カケル、焼けたぞ」

「あ、じゃあご飯よそいますね」


 神様と明日の料理の脳内会議をしていたら、今日のご飯の異世界アサリ入り天津飯が完成。

 それじゃあ、食べますわぞ~。

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― 新着の感想 ―
「調合ギルドへの就職志願者も列を成していたからな」 「結局、『調合』って言葉が難しいものとして認知されてた。そこが取っ払われたから、みんな興味を持った」 連想したシーン↓ 「失敗しても大きな音が鳴る…
「ターゲットを子供に絞り、分かりやすいポーションゼリーの作り方を教えていたのだがな?」 「どういう訳か、大人の方が食いついていましたもの」 「微笑ましく子供と一緒に作っている家族も居れば、子供の分まで…
不思議体験ならミラクルフルーツもイケるか? 神様に献上したら悪のりして味覚の一部がランダムでマヒするとか ポーションの効能が変化するとかのマンドラゴラにしそうだよなぁ
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