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嵐の前の台風

 ……う~む。

 これと言った料理が思いつかないな。

 異世界アサリの量的に今日で最後だし、何かいいレシピは無いものか……。


「ん? 待てよ? ……天津飯とか良いんじゃないか?」


 本場の中華には無い事で有名な天津飯。

 蟹だったり、カニカマだったりを材料として使うけど、そこにアサリが入ってても絶対に美味いよな?

 カニカマは先日話題になったばかりだし、丁度いいのでは?

 よし、考えるの面倒だからそれにしよう。

 中華スープも付けて、天津飯セットで今日の晩御飯は決まり!!


「……となるとデザートも中華で揃えたいんだけど……」


 という事で検索。

 何かお手軽に作れるデザートは無いものかしら……。

 ま、最終手段としてUbar Eatsでデザートだけ頼んで持って来てもらうとかでもいいけど。

 折角なら、家で作りたいよね。


「黒ゴマ汁粉か、いいじゃん」


 で、見つけました。

 家で作れそうな中華スイーツ。

 読んで字のごとく、あんこじゃなく黒ゴマで作るお汁粉。

 日中はまだまだ暑いけど、陽が落ちると涼しくなってきた今の時期に、こうした温かいデザートは丁度いいんじゃない?

 という事で、材料を買って来ましょう!



 ただいま! という事でね。

 天津飯のレシピを見たら、カニカマと卵しか表記が無かったんだけどさ。

 それじゃあ寂しいなって事で、人参とシイタケも入れちゃおうと思う。

 何かなぁ、シンプルな材料だと、どうしても何かを追加したくなっちゃうんだよなぁ。

 湯豆腐を作ろうとして鍋になるなんてことは流石に無いけど、その三歩手前までくらいは行ってそう。

 美味しいならそれでいいの。

 

「材料だけ切っとくかな」


 いつものように調理はラベンドラさんに任せればいいし、ラベンドラさんが天津飯を作ってる間にスープは作れるだろうし。

 本当にやる事が下ごしらえくらいしかないんだよね。


「シイタケを水で戻して、その出汁も勿体ないから使って貰おう」


 で、言ってて思う。

 天津飯のタレだけは作っとかなきゃかなぁ。

 と言う訳で作りましょ。


「シイタケを戻した水に、日本酒、醤油、塩、胡椒、味覇――」


 味覇! 中華最強万能出汁……ッ!! 半練りタイプ……ッ!!


「良く混ぜて、アルコールを飛ばして」


 鍋にて料理酒のアルコールが飛ぶまで加熱し、そこに片栗粉を入れてとろみを付ける。

 ダマにならないよう、丁寧にかき混ぜて、とろみが付いたらタレ完成。

 ちょっと味見。


「……うん、美味い」


 人によっては酢が欲しいとかあるかもだけど、俺はこのままでいいかな。

 味変の余地を残しておいた方が、食べながらアレンジ出来るし。


「じゃ、後は材料を切って待機かな」


 人参は細切り、しいたけは薄くスライス。

 サイズの大きな異世界アサリは一口大に切り、カニカマは手で割いて準備完了。

 それじゃあ、異世界組が来るまで……カット。



「こういうカジュアル大会もいいもんだな」

「みんな楽しそうですわよね」


 昼を過ぎ、一応は落ち着いた料理大会の会場。

 それでも、これからが稼ぎ時とデザートや、飲み物を売っている者たちは気合を入れているのだが。


「商人たちの活気が予想以上。物流面で今後が読めない」

「高価な品物を求めて他国に渡るンじゃねぇか? その護衛で冒険者に依頼が来るだろうさ」

「冒険者狙い撃ちで保存食を出品している店もあった。上手くサイクルしてると思うが?」

「商人たちが力を持ち過ぎても困る。……そこは政策でコントロールする」

「ちゅーか、海鮮より芋が多かったな、出店していたメニューは」


 『夢幻泡影』と『無頼』アメノサ組は、王城の一室に用意された来賓用スペースにて一息ついていた。

 なお、その手には言わずもがな出店されているデザートやドリンク、酒が持たれているが。


「コストの問題だろう。高品質の海鮮はそれだけコストがかさむ」

「捌くのにも技術が要りますし、加熱不足で解呪が不十分ですと問題になりますもの」

「その点芋は安く、海鮮程解呪に時間もかからない」

「ふむぅ」


 これまで食べてきた参加者の料理を思い出し、ミカラデ国の特色を把握していく。


「甘じょっぱい系の味が多かったな」

「海をイメージした飲み物というやつも、甘さの奥に塩のしょっぱさがあったな」

「ポテトチップスにチョコをかけたのも甘じょっぱかったですわね」


 その中でも印象に残ったのは、現代日本でも人気な塩味と甘味の組み合わせの物たち。

 

「チョコはチョコとして食べたかった」

「でも、アプローチとしては面白い。実際、あの店は人気でもう店を閉めてる」


 そんな〇イズのチョコポテチのようなものを出した店は、開店と同時に長蛇の列。

 何度も材料の補充を行っていたものの、それでも、昼過ぎには材料が用意出来なくなり、店を閉めるしかなかった。

 出店していた店主はやり遂げた顔だったが、その後ろにいた商人たちは、もっと稼げたのに……と悔しそうにしていた事を、アメノサは知っている。


「そういや、知育ポーションはどうだったんだ?」

「? あの店はこれからオープンだけど?」


 そして、この料理大会の一番の目玉となる、各国調合ギルド連合による知育ポーションの実演販売は。

 皆の腹が膨れ、ただ会場をぶらぶらと歩く時間帯を狙って開店するという作戦を取っており。

 特に、退屈を感じてくるであろう子供たちに集中して声を掛ける。

 ――これより、本当の戦場が、料理大会に姿を現すことになる。

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― 新着の感想 ―
「そういや、知育ポーションはどうだったんだ?」 「? あの店はこれからオープンだけど?」 そして、この料理大会の一番の目玉となる、各国調合ギルド連合による知育ポーションの実演販売は。 皆の腹が膨れ、た…
更新ありがとうございます∠(`・ω・´) 果たして何事もなく運営は無事に大会を終える事が出来るのか( ゜д゜ )クワッ!!
空前絶後の異世界知育菓子ブーム……!! 経済戦争だ!!! >湯豆腐を作ろうとして鍋になるなんて マロニーを入れるな(発作
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