かなり恐怖を感じた
「しっとり濃厚でとても美味しいですわ!!」
「まるで果実のような甘さだぞ!?」
「生クリームとの相性もいい」
「種が意外といけるな。香ばしいや」
「種はツマミになりそうじゃな」
「プリンに混ぜても美味いのだな」
うむうむ。
美味いだろう、かぼちゃスイーツ。
前回はきんつばにしたんだっけか?
あれはあれで美味しかったなぁ。
というか、異世界マンドラゴラのきんつば、両方とも美味しかったよな。
マンドラゴラは合っても困らないから是非とも持ってきて欲しい所。
最近野菜も何かと高くてね。
解呪さえ出来ればほぼただの異世界食材はありがたいんよ。
――なお、見返りのデザートやワインでほぼ帳消し……というかマイナス方向に向かう模様。
姉貴基金様様よ。
「口当たりもクリーミィで、滑らかに舌の上で溶ける」
「生クリームに負けない甘さなのもすげぇよ」
で、かぼちゃスイーツを一度は食べた事があるリリウムさん達とは違い、『無頼』アメノサ組はかぼちゃスイーツ初体験だもんな。
きんつばも食べさせたいなぁ。
「ラベンドラさん、きんつばのレシピってそちらで広まってます?」
「いや。レシピは乗せたがいまいち反応は薄い。どうしてもメインや副菜に優先して使われる」
「そもそも材料のマンドラゴラが珍しいのですわ。市場に出回らなければ広がる道理はありませんわよ?」
「それもそうじゃな」
ううむ……意外と和菓子というか、和スイーツの広がりは難しいみたいだなぁ……。
それに、メインや副菜を優先するのも分かる。
削るなら真っ先にスイーツだよなぁ……。
まぁ、ティータイムに文字通り命を懸けてる国もあったりするんですけれど。
日本人はしっかり米とおかずを確保するからなぁ……。
「そんな美味しかったの?」
「うむ。このかぼちゃプリンのように紅茶に合うような味わいではなく、素朴で緑茶と楽しむのが美味いデザートだった」
「しっかり丁寧に漉されていて、歯が当たるだけで流れるように口の中に広がりましたの」
「甘さもくどく無く、本当にいくらでも食べられるような出来だった」
「そしてその後に飲む、香りと苦みのある緑茶が最高でな。全員で啜って和みを感じておったぞい」
「……食べたい」
「俺も食ってみてぇな」
そりゃあ、こんな事言われたら気になっちゃいますよね。
……俺も久しぶりに食べたくなったもん。
「レシピを渡す。それでいいか?」
「まぁ、うん」
「材料だけ渡せば作らせますわよ?」
「お前が食べたいだけだろ?」
「当たり前じゃありませんこと?」
暴虐なる覇道。
天に確たる意思など無く、地に確たる歴史も無い。
(お、その言葉良いな。もーらい)
……神様が言うとだいぶ洒落にならない言葉じゃないです?
(へーきへーき。わし神じゃし)
神だからアカンって言ってるのになぁ……。
まぁ、本人が言うならいいか。
俺もかぼちゃプリン食べよ。
「ん~、美味い」
滑らかって言ってたけど、これほぼカスタードプリンって言っていい位の滑らかさだね。
そこにかぼちゃ由来の甘さが乗って来て、ついでにかぼちゃの風味が鼻に抜ける。
生クリームも軽くて、プリンとの相性バッチリ。
種は……う~む、いい香ばしさだ。
この種があるか無いかでだいぶ味わいに違いが出るからね。
香ばしさ、大事。
「無いなった……」
「やはり食べたら無くなるのはバグでは?」
仕様です。
というか、食べてる途中に減ってることを認識出来るでしょ。
それとも、スイーツを食べてる時は視野が極端に狭まるのかな?
誇張された織田信長みたいな感じだな。
――織田信長も甘党だったらしいから、現代に生まれ変わったら甘味ばっか食べてそうだな。
早々に生活習慣病になってそう。
「ちなみにプリンだけでは足りないと思って、タルトも買って来てますよ」
「カケルが神!!」
(なぬっ!?)
いちいち対抗心出さないの。
神様なんでしょ? 器が小さいと思われちゃうよ?
(ぐぬぬ……)
……というか、翻訳してるの翻訳魔法の精霊さんなんだから、これ、何と呼ぶかは精霊さん次第なのでは……?
(お主のせいか?)
「譌ゥ騾滄」溘∋繧医≧」
神様が睨みつけてるせいで翻訳バグったじゃないですかー。
あまり怖がらせないの。
(むぅ)
後で新しい知育菓子をお供えしますから、仲直りして二人で楽しんでください。
(そういう事なら仕方ないのぅ……)
全く、手が焼ける神様だぜ。
……というか、なんで俺が仲を取り持たなきゃいけないんだよ……。
異世界組の仕事でしょ、全く。
「どうしたんだ?」
「あ、いえ。ちょっと橋渡しを」
「??」
言えないよ。
アメノサさんの安易な発言が神様のへそを曲げさせた、なんて。
でも、自分たちの世界にマジもんの神様がいるのに、気軽に俺の事を神と呼ばないでほしい。
その内また出禁喰らうぞ?
「じゃあ、切り分けて貰って」
「折角だから紅茶も入れましょう?」
「あ、それなら私が茶葉を出す。とっておきを仕入れた」
「あの茶か」
で、かぼちゃのタルトをラベンドラさんに切り分けて貰おうとしたら、リリウムさんが紅茶をねだり。
そのおねだりに答えたのはアメノサさん。
どうやら、結構いい茶葉を出してくれるらしい。
結構楽しみだな、異世界紅茶。
前回飲んだのと違う奴かな。




