そりゃあ無いか
「ふぃ~……ごっそさん」
「とても凄く美味しかった」
「トッピングの鶏肉も美味かったが、やはり海鮮系のスープには蟹が合っていたな」
「美味しい蟹でしたわね。少し蟹っぽくありませんでしたけど、こちらの蟹はあんな感じなのでしょうか?」
「あー……あれ、蟹じゃないっす」
「――は?」
トッピングに乗せてたカニカマ、あんまり反応無かったから心配してたら、普通に蟹として受け入れられてました。
いやまぁ、昔よりも圧倒的にクオリティ上がってるから、値段がするやつは視覚以外で判別難しいのとかはあるけどさ。
まさか異世界人の舌を騙せるほどまでとは……。
「あれはカニカマって言って、魚のすり身を加工して蟹の身っぽくした商品ですね」
「元は魚のすり身だと!?」
「でも、しっかり蟹の味がしましたわよ?」
「味だけじゃない。風味もしっかり蟹だったぞ?」
「蟹エキスとかで本物に出来る限り近付けているんですよ」
「そこまでする理由あるか? 普通に蟹食えばいいじゃねぇか」
「蟹と比較すると圧倒的に値段が安いので」
「なるほど……」
この様子だと、六人全員が蟹だと思って食べてたんだな、カニカマ。
改めて凄いな、日本企業の技術。
そりゃあ海外に輸出してもバカ売れしますわ。
――ヨーロッパだと日本以上に消費されているらしいですわよ、カニカマ。
向こうでは『surimi』って名前らしい。
「確かに鑑定すると魚肉と出るが……」
「蟹……ですわよね」
「泥臭さとかがねぇ分、川に住む蟹よりも食いやすいぜ?」
「わざわざ加工して似せて作った代物が安価とは、いやはや技術力が凄いわい」
どうしよう、塩ラーメンよりカニカマの方に注目が集まってる……。
いやまぁ、麺とかは全部食べちゃってるから仕方が無いのかもしれないけれども。
「ちなみにまだありますけど、それだけで食べてみます?」
「食べる!!」
という事で、カニカマだけでお出し。
……これ実は、みんなが帰った後に俺が食べるようだったんだけどね。
まぁ、興味を持ってくれたのなら振舞ってやるか、と思いまして。
「何を付けて食べる? 醤油か?」
「そのままでもイケますよ」
「ふむ」
と言う訳でみんな一斉にカニカマもぐもぐ。
絵面が凄い事になってる。
「うめぇな」
「酒が欲しくなるわい」
「白ワインとも合いそうですわね」
「ミネラル感が強めのワインが合いそうだな」
「……これ、執務中のおつまみに欲しい」
「今何食ってんだ?」
「干し肉」
何だろう、執務中に干し肉口に入れようとして、噛み切れなくて格闘しているアメノサさんの姿が浮かんじゃった。
流石にそんな事はないんだろうけども。
「干し肉を食うならジャーキーにすればいいのに」
「どっちも固い。それに、ジャーキーは味が濃い」
「私たちの知り合いにジャーキーを作らせている所があるのですけれど、そこにオーダーメイドのジャーキーを注文しては? 元々はカケルが作ったジャーキーのレシピを参考にしているので、他とは隔絶した美味さですわよ?」
んぶっ!
急に名前出されたからびっくりしちゃった。
というか、作ったなぁ、ジャーキー。
あれ何の時だっけ? ギュウニクカッコカリだったような……。
冬に作ったんだよな……。
「妙なレシピのジャーキーが出回ってると思ったら、カケルのレシピだったわけ」
「一般的なジャーキーよりは値が張るが、その分の価値は十分にあるぞい」
「私たちが常備する非常食ですもの。不味いはずがありませんのよ」
「今度売ってる店教えてくれよ、買いに行くから」
「『無頼』が買いに行くなら私のも買って来て。スパイス控えめのやつ」
「ヘイへイ」
あまりにもナチュラルなパシリ。
姉貴に散々パシらされた俺でなきゃ見逃しちゃうね。
「この『カニモドキ』の作り方も知りたいものだ」
「カニモドキて……」
翻訳魔法さんだな。この翻訳は。
ちゃんとカニ風味かまぼこって翻訳しなさい。
……え? カマボコの翻訳をまずしなくちゃいけない?
それが大変? ……あ、そう。
「一応、動画を探したら見つけたのでどうぞ」
「感謝する」
というか、マジで探せば何でも動画があるな。
――何でもは無いか。アップロードされてるやつだけだな。
さて……と。
「…………」
この無言で俺にデザートを催促しているマジャリスさんをどうしようか。
「きょ――」
「おお!!」
反応早すぎだろ。
食い気味とか言うレベルじゃなかったぞ。
「持って来ますね」
「うむ!!」
いいんですけれども。
ちなみに今回用意したデザートは、俺も楽しみだったりする。
何せ、季節のスイーツ系なのでね。
「……プリンか」
「色が濃くありませんこと?」
お、リリウムさん。
いい目してんねサボテンね。
このプリンは何を隠そう――
「かぼちゃプリンです」
カボチャを使ったプリンなんですよ。
カボチャの滑らかかつ濃厚な味わいが、プリンと融合することによりその美味しさは累乗で高まっていく。
――あと、どうせプリンだけじゃあ足りないとか言われそうなのでかぼちゃのチーズケーキも買って来ましたよっと。
これで文句も出まい。
「見終わった」
「あ、はい」
で、ここでカニカマの作り方を見ていたラベンドラさんからタブレットが返却。
「どうだった?」
「作れるぞ」
「本当か!?」
「うむ。新しい魚の需要が増えそうな商品の予感がするな」
「では、アキナにすぐに教えないとですわね」
「カニモドキが日常的に食せる様になれば、我らとしても嬉しい限りだからな」
……その内、異世界でもカニカマ工場とか出来ちゃうんだろうか?
異世界だとなんて呼ばれるんだろ?
――カニモドキ、だろうなぁ。




