早苗「ひよったな」
「ん~……我ながらよく出来た」
作ったスープを味見しての一言。
いやぁ、塩ラーメンってどうしても薄いというか、淡麗なイメージがあってさ。
味が薄いと物足りなく、濃すぎると塩味だけが強くなり過ぎる。
……そう思っていた時期が僕にもありました。
大体の塩ラーメンには鶏ガラとか入ってるし、魚介となればホタテとかでうま味成分をマシマシにする。
――という事は、イセカイカワブタ節とイセカイハモ節の出汁を合わせるのは当たり前にマストだったんですねぇ。
「野菜の旨味や甘みもプラスされて、あと足りないのはコクくらいか?」
そのコクも、後々味変用として用意したバターで足されるだろうから心配してないけど。
そうそう、乗せる具材も決まりましたわよ。
わかめとねぎはたっぷりとカニカマも贅沢にドサッと。
メンマは味付けされた奴を買って来たし、チャーシューの代わりにサラダチキンを買って来た。
こいつをスライスして乗せればまぁ間違えないでしょうと言う事で。
「ん、来た」
――うん。
姉貴っぽく言ってみたけど別に俺は異世界からこっちに向かう事を感知出来るわけじゃ無いし……。
まだ来てませんわよっと。
(来るぞい)
そんな俺を見かねてか、言葉そのままの神様からのお告げが。
こんな事に神様からのお告げを頂くとか、関係者からしたらブチギレ案件じゃない?
「邪魔するぞ」
「……どうしたの?」
「何でもないです」
ちょっと悩んだけど、異世界組が来たし、一旦保留。
二度と引き上げないと思うけど。
「いい匂いがしますわね」
「スープか?」
「香りから察するにそのまま飲むようではなさそうだ。何かを入れる……そうだな……麺とかだな」
「察しがいいですね。今日はボンゴレラーメンにしようと思ってまして」
「いいですわね! こちらのラメーンは久しぶりに食べますわ!」
ああそうだった。
この人達には、ラーメンはラメーンだったんだわ。
何言ってるか分かんないな?
「という事はやる事はあまり無いか?」
「麺を茹でるだけですからねぇ……」
調理は、やる事無いよね。
調理は。
「こちら、ゴー君が合成した宝石なんですけど……」
「!!?」
ただ、合成された宝石の鑑定とか、退屈はしなさそうですよ?
「パライバトルマリン……」
「大きさもさることながら、色合いが美しいの一言だな」
「魔力も宿っとるぞい。水、土。……ふむ、火属性も奥に隠れとるな」
「パライバトルマリンなンて初めて見たな」
「国を乗っ取ろうとした馬鹿が資産を隠すためにそれに換えてたのを押収した時くらいかな」
……アメノサさんが物騒な事言ってるけどとりあえず無視。
「てことは国にあるのか?」
「国王の管理する金庫の中にあると思う。……でも、こんな大きさじゃなかった」
とりあえず、異世界でも現代と同じく希少な宝石は希少なんだと分かったかな。
あ、ちなみに宝石をどこかにぶつけたりはしてないよ。
もちろんだけど。
「こんな大きな宝石、そもそも値が付きますの?」
「値は付くだろうが買い手が現れるかと言われると……」
「貴族の中でも最上位クラスでようやくなんじゃないか?」
「いっそ国王様にでも寄付したらいいんじゃないです?」
アメノサさんの所でも国王様が管理してるみたいだし。
貴族でも買おうとしないならもう国王に押し付けるしか無くない?
「見返りに何をねだろうか」
「結構ぶっ飛んだお願いでも聞かせられますわよね?」
「望む食材の優先確保……いや、弱いな」
「最近は私達が新たな食材を見つけたりもするからなぁ……」
……多分神様が引き合わせてるんだよね、新しい食材に。
う~ん……見返りかぁ。
「国内で何しても許されますよって国王直々の御触れとか?」
傾奇御免状的なね?
でも、異世界でそれして大丈夫なのかなとか不安はある。
ましてや『夢幻泡影』の皆さんだし……。
特にリリウムさんとマジャリスさん。
「流石にそれはやり過ぎだが、それに近しい振る舞いは出来そうだな」
「ほぅ?」
「王城のシェフたちを好きに使える権利と、『酒一滴』に我々専用席の設置くらいは笑って許されそうだ」
「鬼ほど魅力的じゃな」
「『酒一滴』は魅力的ですけれど、王城のシェフたちは使う必要あって?」
「私一人では調理が限界な料理がいくつかある。それらを楽しめるぞ?」
「クッソ魅力的だったな。それでいこう」
なんか、結局飯の事要求してて笑えて来る。
まぁ、それがこの人達なんだろうけど……。
「私達も合成してみる?」
「素材になる宝石なンざ持ってないだろ」
「ちょっと政治家数人の不正を暴いて押収すれば……」
「ただでさえ大会に向けてバタバタしてンだから掻きまわすなよ……」
こっちはこっちでヤバい事言ってるし。
というか、サラッと出てくるあたり、何人かの不正の証拠はとっくに握ってるんだろうなぁ。
アメノサさんも雰囲気敏腕のイメージあるし。
――ただし食事中はそのイメージを無くすものとする。
「なんて言ってたら出来上がりましたよ」
「おっ」
「ラメーンですわ! つるつるですわ!!」
ちぢれ麺です。
「出汁のいい香りが漂ってくるな」
「あー、腹減った」
「早く食べよう」
という事で……、
「「いただきます!!」」




