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みんな俺に夢中

「…………」


 助けてください。

 スーパーに買い物に行ったら脳内に、


(のう、わしらにも知育菓子とやらを試させんか? 翻訳魔法の精霊もそうだそうだと言っておるぞ?)


 という声がずっと響くんです。

 もしかして何かの病気なのでしょうか?


(病気とは失礼じゃな)


 まぁ、そんな茶番は置いておいて。

 どれがやりたいんですか?


(大人のねるねるね〇ねというのが気になる。あとは……掴める不思〇玉というのも……)


 じゃあ、それらでいいですね?


(うむ)


 ふぅ。

 ……大の大人が知育菓子を買うハードルってものを理解して欲しい所だ。 

 今でこそ動画撮影とかで使うのかな? とか勘違いしてくれそうな土壌があるからいいけど、ちょっと前だったら大人なのに? と思われても仕方がないぞ……。

 だが待ってほしい。

 名前に『大人の』、なんて付いた知育菓子を、大人が買って何か変な事があるのだろうか?

 いや、無い。

 という訳で俺がこうして知育菓子を買うのは正常。

 いいね?


(誰に言っとるんじゃ?)


 ……自分に、かな。

 さて、白ワインと。

 流石に今日買って帰らないと命の危険を感じるので。

 とはいえなぁ……。

 まぁ、もうこれらでいいか。

 ここであんまり高いのを買って帰ると、言えば高いのを買って来てくれる、と成功体験を与えることになっちゃうし……。

 それに、言ってしまえばアサリは庶民の味だと思ってるから、庶民の味にそんな高いワインは合わせなくていいでしょ、という事で。

 ……酸化防止剤無添加とか謳われてるワインを買おうとしたけど、そのパッケージを翻訳魔法さんがどう翻訳するか分からないから一旦保留。

 ……うん、動物のシルエットが描かれている、この安めのワインでいいかな。

 値段の割にはよく出来てるって某ソムリエも言ってたクオリティだし、文句も出んじゃろ。

 後は、ワインに合う料理を作るための材料も買いましてっと。

 それじゃあ……帰宅!!



 ただいま! という事でね。

 とりあえずは知育菓子をお供えしましょう。


(待ってました!!)

 

 二礼二拍手一礼からの、数瞬で消える知育菓子。

 さて、ご飯の準備っと。


(おっほー! 不思議じゃの! 不思議じゃの!! 待て待て、順番じゃ、順番。まだわしの番じゃ)


 楽しそうですね。

 んで、今日のご飯は昨日決めた通りお茶漬けに決定しておりまして。

 そのお茶漬けの具材としてのアサリを、今から仕込んでいく次第。

 正確に言うと、アサリのしぐれ煮茶漬け、になるのかな。

 大きめのアサリを一口大に切り、通常サイズのアサリはそのまま。

 一応、塩水で異世界アサリを洗い、水気を切って。

 鍋に水、異世界アサリを入れて、一旦加熱。

 火が通ったら異世界アサリを取り出し、アクを取って煮詰めまして。

 アサリを取り出し煮詰めた汁に、砂糖、醤油、生姜、みりん、酒を入れてかき混ぜて、アサリを戻して丁寧に煮詰める。

 後は汁が無くなる位まで煮詰めたら完成っと。


「アクアパッツァはラベンドラさんに任せて、こっちに集中しちゃお」


 焦がしたら元も子もないので、今日のワインのアテは異世界組に作って貰おう。

 ま、お酒を飲むつもりは今日は無いので。

 飲む人たちで調理してくださいな。



「――きろ。起きろ。……起きろラベンドラ!」

「うるさい」


 陽は高く、普段であればとっくに活動を始めている時刻。

 いや、ラベンドラ以外はしっかりと活動を始めていたのだが、時折様子を見に来ても、一向に起きる気配の無いラベンドラに、痺れを切らしたマジャリスが声を掛けた。


「なんだ……飯か?」

「違う! あ、いや、確かに飯もだが……」

「?」


 てっきり自分が起こされた理由が、昼食の時間になったからだと思ったラベンドラが口にするが、どうやら目的は食事ではないらしく。

 億劫そうに片目を開けて確認したラベンドラの視界には……。


「誰だ?」


 ズラリと、見た事も無い者たちが列を成しており。


「調合ギルド、並びに学校の職員、更にはギルドマスター達だな」

「……何故?」

「どう考えても知育菓子のせいだと思うが?」


 その者たちの正体は、各種、知育菓子が影響を及ぼしそうな範囲に居る責任者たちであり。

 当然目的は……、


「知育菓子のレシピの公表か」

「是非とも!!」


 ラベンドラがつい先ほど完成させた、異世界ライズされた知育菓子のレシピ。

 

「調合ギルドは分かる。冒険者学校の職員もまぁ……生徒の可能性を広げるためというのも分かる。……ギルドマスターはなぜ?」

「冒険者たちのセカンドキャリアとして調合士というのは候補に常にある。だが、その取っ付きにくさからなり手が少なくてな」

「そもそも興味を持ってないから何も覚えない。でも、知育菓子を体験すれば、その興味を持つ、というハードルを越えられる可能性がある」

「何なら冒険者を途中で諦め、鞍替えする者達も居よう」

「それらを加味すると、冒険者ギルドにもあの知育菓子を常備させたい、というのがギルドマスターたちの総意じゃ」

「なるほどな」


 実際、危険が常に付きまとう冒険者を辞めるものも多い。

 だが、やめた後の生活をどうするのか? というのが長年課題として挙がっており。

 今回の知育菓子の開発は、その課題を多少は解決できるのではないか? とギルドマスターが目を付けた、と言う訳らしい。


「とりあえず」


 そして、そんな自分の元へと集合した者達へ、ラベンドラは。


「一度体験してみろ」


 と、自身の持つ素材で出来る限りの知育菓子セットを作成し、その場にいる全員に試させるのだった。

 ――なお、当たり前に素材が足りなくなったので、ラベンドラ以外の三人が素材集めに東奔西走することになったのだが、それはまた別の話である。

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― 新着の感想 ―
神様、ママの茶番に怒らないのその茶番を結構楽しんでない??
CMの魔女のおばあさんが八百万の一柱になる勢いで草
更新お疲れ様です。 ラベンドラが開発した知育菓子を食べてみな 「飛ぶぞ!」と言いたい 今まで知らなかった世界へといざ旅立とうぞ
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