神様「わしもやりたい」
う~む……失敗したかもしれん。
「カケル! こっちのはもっと凄いものなのか!!?」
「はやくやろうぜ!!」
グミ釣〇たの衝撃が強かったのか、残ったねるねるね〇ねに大きすぎる期待をかけてるように思える。
ごめんなさい、そっちは水と粉を入れて混ぜることで、色が変わったり、クリーム状に変化するって言う、視覚的な変化が楽しめる知育菓子でして……。
グミ釣〇たみたいな、何かを体験して好奇心をくすぐる、的な部分はそこまで……。
――でも、もしかしたらこの考え方も、既に何度か試してみた事がある日本人だからって説ないか?
とりあえずやらせてみるか。
「作り方はこちらも後ろに書いてある通りなので、その通りに作って貰えれば……」
「よし! まずは水を入れて粉を入れて……」
「また粉を入れるんですのね」
もうみんな、どんな反応になるのか楽しみ過ぎて食い気味に作っていってるじゃん。
「お? お? お!?」
「色が変わって膨らんできましたわ!?」
「混ぜるだけで全く色が変わる……何が起こっているんだ?」
「やっぱり魔法なんだろ、これ」
「魔法薬でも元の色と混ざった色にしかならない。元の色の面影も無いのは不思議でしかない」
やっぱり。
俺にとっては当たり前でも、異世界組にとっては当たり前でない事がまだまだあるな。
具体的には知育菓子。
あと、当然だけど化学反応とかは一切知識が無い状態だから面白いだろう。
それこそ、中学の理科の実験とかやらせてみたら、教える先生もニコニコの反応するんじゃなかろうか。
――その時には、是非とも翻訳魔法さんに、
「質問なのだが」
という言葉を、
「素人質問で恐縮だが」
と変換して頂きたい。
いや、面白いかなって。
「先ほどのはぶどう味でしたけど、今回のは清涼感のある甘い味ですわね」
「何味だ?」
? ソーダ味だけど……。
あれ? そう言えば食べ物に関しては結構食べさせてたけど、飲み物ってあまり飲ませてないな?
俺がジュースとかあまり飲まない人だからだけど、コカコークぐらいしか飲ませてないような……。
いや、ソーダは飲ませたぞ?
ほら、マスクメロンソーダにするために……って、単品で飲んでないじゃん。
それにメロンの果汁と香りが追加されてたら、そりゃあソーダ単品の味なんて知る由もないか。
「前にメロンに入れた炭酸飲料覚えてます?」
「うむ。甘さと炭酸が共存していた奴だな」
「一応、アレの味ですね」
「なるほど」
……あれ? 待てよ?
ねるねるね〇ねには、完成したクリーム状のものに振りかけて食べるキャンディーチップみたいなの付属してなかった?
付けてるか? それ。
「仕上げにこれをかけて食べるんだな?」
あ、まだかけてないだけか。
かける前に、どんな味だったのか確認しただけね。
で、『無頼』さんはまた無言で作って食べている、と。
こういうのに興味持つ人だったんだな。
「『無頼』、ハマり過ぎじゃない?」
「ん?」
俺の視線に気付いたのか、アメノサさんが『無頼』さんに質問してくれる。
そう言う所、結構好き。
「あぁ、ほら。俺って基本的に戦闘的な事しかやってこなかったからよ。こういう、魔法とか、そう言ったものは珍しいンだ」
「まぁ、『無頼』は魔法薬作ろうとしてもがさつで分量とか計らずに入れそうだし……」
「その点、こいつは最初から入れる量も順番も決まってて、しかもそれらをただ混ぜるだけだろ? 簡単で誰でも出来るからさ」
一応、魔法じゃなく化学だぞってツッコミは入れておく。
そして、知育菓子なんだから子供でも作れるように色々と簡略化されてるからねぇ。
言うなれば、知識が無くとも理科の実験が出来るわけで。
原理を知らなくても美味しく楽しめて、原理を知っていれば、この反応だからこうなるのか、って確認にもなる。
あれ? そう考えるともしかして知育菓子って凄い?
スーパーとかに並んでるのも一つや二つじゃないし、俺が子供の時に見たもので、今じゃ売って無いものもいくつかあるし……。
あの手この手でレパートリー増やしてるにしても、新商品考えるの大変そうだな……。
「思ったんじゃが……」
「うむ」
で、こっちはこっちで何やら意味深に頷いているガブロさんとマジャリスさん。
「簡単魔法薬入門とでも言って、このスタイルの簡易ポーションの作成から魔法薬学に興味を持たせる手法というのは有りなんじゃないか?」
「常備するポーションも、粉末状にして水と混ぜるだけでポーションになるようにしておけば、荷物の量がぐっと減るぞ?」
「魔法薬学に関する人口の減少は問題にもなってる。この原理を解明して、言うように入門用キットとして販売すれば、そこから興味を持つ人が出てくるかも?」
「わざわざ『魔法薬』に縛らなくていいだろ。これみたく、混ぜたらお菓子になる、から始めて、興味を持つ奴が一定数出てくりゃ成功でいいンじゃねぇか?」
「どちらにせよ、それらを実現するためにはこの商品の解析と、ある程度の生産を確保するための研究が必須ですわよ?」
「予算に都合をつけて、私たちの国でやる。……というか、『夢幻泡影』が私たちの大会で出店で実演販売したら?」
「大会までそこまで日もないぞ? 私達にこれを再現しろと?」
「あ、出来ないならいい」
「やるが? 見てろよ? お前らの国の子供たちの視線を俺たちだけに集めてみせるからな?」
……。
「ラベンドラさん」
「なんだ?」
「マジャリスさんああ言ってますんで、とりあえず原理とかの解説動画を見せますね」
「助かる」
「翻訳魔法さんも自信無いみたいなんで、上手く翻訳されるかは分かりませんけど……」
なおも言い合いつつ、ねるねるね〇ねを食べるアメノサさんやマジャリスさん、リリウムさんを尻目に、俺はゆっくりとねるねるね〇ねを作って食べるのだった。
……とりあえず、一言。
化学の力ってスゲー!




