力業過ぎる……
さぁて、何から手をつけようか。
……ど、れ、に、し、よ、う、か、な。
よし、アサリの炊き込みご飯からにしよう。
「あー……うっめ」
ご飯に染み込む異世界アサリの旨味。
醤油の香りとのマリアージュは、米だけでも美味しく頂けちゃうのはもはや自明の理。
その上で、炊けた後に後乗せして混ぜ合わせた異世界アサリが美味いのなんの。
プリッとした身を噛み締めれば、噛み締めるほどにイセカイカワブタ節とイセカイハモ節の旨味が滲み出て来てさ。
もうこれと味噌汁さえあったらご飯も満足と思えてしまうほどに美味い。
そして流れでお味噌汁も一口。
「あ゛ー」
思わず変な声出る。
それほどまでに美味い。
というか、なんだろうね? アサリを入れただけで味噌汁がここまで美味しくなるの。
多分味噌とアサリが別の世界線ではマブなんだろうな。
それぐらい相性が良いとかを超越してる存在だわ。
「さっくりした衣と玉ねぎの甘み、『――』の旨味が最高ですわ!」
「酒蒸しの香りがたまンねぇよ。酒にもだが、飯にもしっかりと合いやがる」
「バター焼きも美味い。醤油の香ばしさとバターの塩味、コクが『――』と絶妙にマッチしている」
「そもそも『――』単体で酒と合うんじゃ。それを料理すりゃあ、もっと酒に合うに決まっとる」
ちなみに本日の飲兵衛の茶碗には、俺と同じ量位のご飯しかよそわれていない。
それもそのはず、ガブロさんも『無頼』さんも、炊き込みご飯をツマミとか、酒のアテとして考えてるらしい。
いやまぁ、別に構いませんけれども。
そしてそして、本日用意したお酒は誰もが知る、テレビCMでも目にしたことがあるであろう、紙パックの日本酒と言ったらコレ! ってやつ。
先日日本酒の瓶をゴミに出した時に思ったんです。
これ、そもそも紙パックの日本酒を買ってくればいいんじゃね? と。
という訳で早速実践してみた次第。
「酒のフワッと漂う、甘い、それでいて華やかな香りが、今日の料理の香りとその時点で合う事を予感させる」
「香り程甘くはない、どっちかってぇーと、スッキリしたキレのある辛口の味わいも、染みるような旨味の『――』と合ってやがる」
「飲んだ後にべたべたするような事もなく、すぐさま次の料理に行っても味わいの邪魔をしない」
「前に飲んだ酒と比べたらちと劣るかもだが、正直、全然うめぇ」
「そもそも酒の味を比べるもんじゃないわい」
「ドワーフがそれ言う?」
「わしは比べた事ないもんねー」
『無頼』さんが何と比べたかは知らんけど、まぁ……うん。
下手すりゃ姉貴が買って来た酒とかと比べられてる可能性もあるわけで。
スーパーで売られてる紙パックの日本酒と、大阪まで行ってお店の人に聞いて買ったおススメ品とが味わいが互角だったら、色々と火種になりそうで……。
少なくとも、今回はガブロさんの意見に賛成かな。
結局お酒の味わいなんて、飲む人によるところが大きいだろうし。
ちなみに俺はこの日本酒結構好きだよ?
スッキリしてて飲みやすいし、香りはいいし。
何より、料理の邪魔をしない、主張がそこまで強くないお酒って事で、色んな料理に合いそうだし。
「次は温ロックにすっか」
「わしは普通のロックじゃな」
で、飲兵衛組には紙パックごと渡しているので、好きに飲んで貰って。
「リリウムの漬物も『――』とは相性いいな」
「最近色々と工夫していますのよ?」
こっちはこっちで、リリウムさんが漬けてるぬか漬けを頂く。
美味しいんだよなぁ、リリウムさんの糠漬け。
なんと言うか、酸っぱさとかが無く、かなりまろやかでふくらみのある味って言うか。
……苦悶の表情のまま提供されるマンドラゴラのビジュアルさえなければ、全然日本人好みの味なんだ。
「かき揚げは美味く揚げられているか?」
「もちろん。非の打ち所がないですよ」
相も変わらずラベンドラさんの天ぷらは最高です。
衣はさっくりで中はしっかり火が通ってて。
でも、焦げては無くて。
何だろうね? 天ぷらを上手にあげるコツ、教えて欲しいわ。
――これで揚げるタイミングを鑑定スキルで見極めている、とか言われたらどうしよう。
「かき揚げと日本酒ハイボールの相性が天元突破」
すな。
そう気軽に天元突破を。
ちゃんと合体しなさい。天元突破するなら。
「身が大きいと食い応えがあるな」
「味がいいと言われていたサイズも、大きい方を食べた後だと若干の物足りなさがありますわね」
「だが、かき揚げにするには小さいサイズの方が都合がいいぞ?」
「結局どれも一長一短。全部美味しい」
……アメノサさん、全く喋らないなと思ったら、さては無我夢中でご飯掻っ込んでたな?
口周りにご飯粒が付いていますわよ。
「口周りきたねぇぞ」
「む、取って」
なお、自分で取らずに『無頼』さんに取らせるもよう。
あら~^。
そんなことしてると俺の中のカプ厨が躍り出しますわよ?
――なお、
「わぷ」
「ほいよ」
『無頼』さんがアメノサさんに勢いよく手をかざしたら、どこからともなく強めの風が吹いて。
アメノサさんの髪の毛をぼさぼさにしながら、口周りに付いていたご飯粒を吹き飛ばす。
……あの、それ、結局拾わなきゃなんですけど……。
「むぅ」
あ、ちゃんと拾うんだ。
アメノサさん偉い――かなぁ?
「とりあえずお代わり!」
「もう散らかすなよ?」
「散らかしたのは『無頼』!!」
まぁ、うん。
仲良く喧嘩しな?




