『カレーライス』
「はい確定。もう美味しい」
「まだカレールーを入れただけなんですけど……」
しゃぶしゃぶから葉物野菜やきのこ、つくねを掬い上げ。
カレーライスを鍋に落としただけで、アメノサさんが断言。
匂いすらほとんどまだのはずなんですけれどねぇ……。
「はぁ……この匂い。これぞ日本のカレー……」
「なんで甘口なの?」
ちなみに姉貴のリクエストは、リンゴと蜂蜜が特徴的なパッケージの甘口。
つまり、ほとんど辛さを感じない代物。
なんでなの? と聞いてみたら……。
「スパイシーなのはいくらでも海外で食べられるのよ。でも、コクがあってクリーミィなカレーは日本だけなの!」
だそうです。
でも、わざわざ甘口にしなくても良かったと思うんだ。
まぁ、姉貴のリクエストだから叶えたけどさ。
「とりあえず出来上がったんで各人お皿を持って来てください」
「うむ」
で、シメカレーが出来上がったのでそう声を掛けたら……。
当たり前にカレー皿(異世界産木製)にご飯をこんもりよそってくる異世界組。
話聞いてた? シメなんだぜ? このカレー。
「リクエストしたの姉貴なので、姉貴を一番最初に……」
「む、これは失敬」
あと、当たり前に姉貴は一番最後に居るし。
全員、道を開けよ。
「みんなの後で良かったのに」
「確実にカレーが無くなるっての」
なお、姉貴を一番最初に回した理由はこれ。
あんなカレー皿に盛られたご飯と釣り合わせるカレーをかけていったら、姉貴の分が無くなっちゃうよ。
……もちろん、俺の分も。
まぁ俺は数口分残ってればいいから最後でいいけど。
――で、姉貴のお皿にかかったカレーの量を見て、ご飯の量を少し減らして調整するんじゃない。
これ位なら丁度カレーが無くなるだろう、じゃないのよ。
「あ、姉上」
「なぁに?」
「フォンデュに使用していたチーズ水もカレーには合うだろう」
「む、確かに。ある程度食べたらかけよ」
「わしらは最初からかけちゃうもんね~」
ご機嫌だな、ガブロさん。
そういえば、お酒飲んだ後のカレーって相性いいって聞いたことあるな。
カレーに入ってるターメリックがウコンの事で、ウコンは二日酔いに効くからって。
あと、カレーの匂いは食欲が沸くから、二日酔いにいいって話。
いやまぁ、ドワーフがそんな事一切考えていないだろうけれども。
「……カケルの分、ほとンど無くねぇか?」
「ちょっと、分ける?」
で、後ろに並んでた『無頼』アメノサ組にカレーを分配し終わったところで、確かにお鍋の中にはカレーはほとんど残ってない。
けど、これでいいのだ。
「大丈夫です。俺はこうして食べるんで」
と言って、しゃもじの上にご飯を乗せて、鍋まで移動し……。
そのまま、ご飯を鍋に。
そしてチーズ水を少し入れまして……。
鍋に付いたカレーをご飯とチーズ水でこそげ落とすようにかき混ぜて、っと。
「それはそれで美味しそう……」
「まぁ、雑なカレーおじやみたいな感じですし」
俺の分の洗い物も減るし、一石二鳥かなって。
「は~……これよこれ。やっぱカレーと言えばこれよ……」
「甘くてコクがあって、魚介の風味や脂の旨味もしっかり感じられますわね」
「チーズ水を入れた事でワインからの果実感もやんわりと感じられる」
「これ美味しい。スプ―ン止まらない」
「店にシメでこンなン出されたら通う以外の選択肢がないわな」
「むほほほ。やはりカレー。晩御飯はカレーが板」
「実際、スープも余すことなく食べる事になるのだからカレーやシチューなどのチャウダー系は優秀なんだぞ」
みんな笑顔で食べてますわね。
どれどれ?
――うん、美味い。
カレーから感じる、リンゴや蜂蜜の甘さとは違う、リボーンフィンチの脂の甘さ。
チーズ水から香る、ワインの風味。
イセカイハモ節とイセカイカワブタ節の深い旨味。
その全部がしっかり合わさって、喧嘩せずに調和してる。
――けどなぁ。
「カケル? 何を?」
「辛みが物足りないのでタバスコを」
やっぱり俺としてももう少し辛くあって欲しい。
と言う訳でタバスコを……五振りくらい。
……むほほほほ。これよこれ!!
「カケル! 私にもタバスコを!」
「それ終わったらこっちにくれや」
「私はそのままでいい」
で、当然のようにタバスコが回されていきまして。
「ほい、姉貴」
「あ、らっきょう」
「いるでしょ? カレーなら」
「苦しゅうない」
そして例えシメカレーであろうとも、らっきょうは必須でしょう。
という事で姉貴に献上。
俺の分? もちろん確保してるよ。
「はぁ……。こうして食べると、本当に日本だなぁって実感するわ」
「よりによって刺身でも、焼き鳥でもなくカレー食べて言うのがまた」
「あんたは知らないだろうけど、マジでカレーライスって世界で全然食べられないんだからね!? 日本のチェーン店が進出してるアメリカの地域でくらいでしか」
「あるにはあるんだ」
「あるけど高いし、日本ほどトッピング豊富じゃないし……」
「ほへー」
「なのでカレーは立派な日本食。いいね?」
「いや、そこに関しては同感しかないよ」
職場の近くにあるもん。
ネパール人が経営してるインドカレーのお店。
ナンが滅茶苦茶デカい。
あとラッシー美味しい。
バターチキンカレーも美味しかった。
――けど、そこで食べてもいわゆるカレー欲は満たされないんだよなぁ。
結局。
「ふぅ。最高のシメじゃった」
「たっぷり出汁の効いたカレーはやっぱり美味しいですわね」
「凄く衝撃だった」
「定期的に食いたくなる理由が分かるわな」
で、皆さんシメカレーを完食と。
……という事は。
「よし、次はデザートだ」
ですよねー。




