作者「ブルーベリーパンナコッタが最強」
「マジャリス! 手をどかしなさい」
「俺はさっき譲っただろう? どかすのはリリウムの方だ」
「他にもフレーバーはあるんじゃから争うんじゃないわい」
「普通に見苦しい」
現在、リリウムさんとマジャリスさんが、ストロベリーとチーズケーキが合わさったフレーバーのアイスを奪い合い中。
なお、そんな事をしている間に他の人たちは、自分が食べたいフレーバーをしっかりと確保した模様。
「先に食べとくぞい」
「付き合ってらンねぇよ」
と、あきれ果てた飲兵衛組が誰よりも先にアイスに口を付ける。
ちなみに二人がチョイスしたフレーバーは、ガブロさんがラムレーズン。
『無頼』さんが中納言あずきである。
「酒の香りが鼻腔をくすぐり、レーズンの甘さとアイスの甘さが丁度いいわい」
「こっちの落ち着いた甘さのアイスもうめぇ」
イメージ通りだなぁ、二人がそのフレーバー取るの。
「サッパリしていて美味い」
ラベンドラさんはオレンジのソルベをパクリ。
それも美味しいんだよなぁ。
しっかりとオレンジの果汁感があって瑞々しくてさ。
べた付かない感じの甘さが、バニラ系のアイスには無い清涼感を与えてくれる。
「コレ!? 何っ!?」
アイスを食べたアメノサさんが目を白黒。
食べたアイスは……ポッピングスシャワーか。
子供の頃好きだったなぁ。
ミントの香りとチョコのコラボレーションに初めて出会った味でもある。
口の中でキャンディが弾けて、食べてて楽しいって感じるアイスだった。
「楽しいですよね」
「びっくりした……」
最初の一口を飲み込んだアメノサさんの言葉である。
ただ、すぐに二口目を口に運んでいる辺り、どうやら気に入ってくれたらしい。
「天命は我にあり」
「ぐぬぬぬ」
あ、リリウムさんとマジャリスさんの勝負に決着がついたっぽい。
勝者はリリウムさん。
……この人、いっつも勝ってない?
「獲られたから同じストロベリーのやつで我慢する」
「そっちも美味しいですけどね」
で、敗れたマジャリスさんはとてもとてもイチゴなフレーバを選択。
……というか、もうそれしか残ってなかったんですけどね。
「ん。イチゴの香りから味から風味まで、余すことなくアイスに落とし込んでいるな」
「それ子供の頃好きだったわー」
なお、姉貴のキャラメリゼリボン以前の推しフレーバーである。
苺という言葉があれば何でも飛びついてた姉貴だけど、このフレーバーには大満足してたな。
「クリームチーズのコクと、イチゴの甘酸っぱさが最高ですわ! これぞ勝利の味ですわ!! パクパクですわ!!」
なお、勝ち取ったストロベリーとチーズケーキのフレーバーをご機嫌に食べているリリウムさんの姿がこちらになります。
ほぼ有頂天ですね、これは。
「はぁ……うま」
そして俺は恋焦がれていたフレーバー、ブルーベリーのパンナコッタを堪能中。
マジで常設フレーバーになってくれ。
これより美味いフレーバーを俺は知らないんだ……。
果肉の入ったブルーベリーのリボンは、ベリー系の酸味と若干の渋味をアイスに与えてくれて。
バニラとはまた違う、パンナコッタのミルク感とコクとが最高のマリアージュを見せてくれている。
期間限定フレーバーだから、次はいつ会えるか分からんからな。
今の内に舌に刻み込んでおかないと……。
そういえば、またフレーバー総選挙やってくれないかな。
どのフレーバーが好きか投票できるやつ。
あれで上位に行くと常設フレーバーになってくれるから、開催されたらブルーベリーのパンナコッタに投票しなきゃ。
「次はチョコミントだな」
何が好きー?
チョコミント――よりもパンナコッタ。
なお、『無頼』さんの二個目のフレーバーなもよう。
「ン。口の中がすげぇな」
「美味しいですよね、チョコミント」
「ああ、悪くねぇ。てかこれ、デザートとしては完璧なフレーバーなンじゃねぇか?」
デザートの役割をどう考えるか次第だと思うけど、それまでの食事の口をリセットしつつ、甘いもので満足感を与えて終わりを示すって考えるならそうかも。
「ワインと合わせてぇな」
まぁ、チョコとワインは合うし、ミントと合うワインもあるだろうしなぁ。
というか、あの『無頼』さんがワインと合わせたいと言うとは……。
いや、あれか。単純に日本酒や焼酎がチョコミントに合わないだけやな、これ。
「これ美味しい!」
お、アメノサさんの声が普段より高いな。
てことはお気に入りを見つけたのか。
……アメノサさん――ようこそ、こちら側へ。
アメノサさんが食べてるのはモモメルバというフレーバー。
そう……期間限定なのである。
「桃のとろける甘さとバニラの甘さ、ベリーの甘酸っぱさが三位一体効果は抜群」
「そんなにうめぇのか?」
「っ!? あげないから!!」
様子を見ようと顔を近付けた『無頼』さんから、アイスを遠ざけて警戒態勢に入るアメノサさん。
流石に『無頼』さんは横取りするなんて事しないと思うよ?
姉貴と違ってさ。
「ん~……バナナストロベリーも美味しい」
「あれ? 姉貴それ好きだったっけ?」
「たまに食べてたわよ?」
俺のイメージ、キャラメリゼリボンとジャマイカアーモンドファッジだったんだけど。
珍しいもの食べてるなぁ。
「んむ。コーヒーの苦みがいい感じじゃわい」
……あ、なるほど。
ガブロさんが持っていっちゃったのか、ジャマイカアーモンドファッジ。
姉貴が自分の好きなアイスを他人に譲るだと……?
成長したなぁ。




