リフィしゃぶ
「では、カケル」
「明日はリボーンフィンチですわね」
「楽しみにしとるぞい」
という言葉と共に、紫色の魔法陣に消えていく異世界組。
もちろん、ささみ以外の部位も受け取った後に、だけれども。
さて……と。
「リボーンフィンチの試食を開始する」
「やんややんや」
と言う訳で味見をしませう。
二人ともお腹一杯だから、本当に少しずつだけれども。
「ポン酢にもみじおろし、あさつきを入れて鶏しゃぶ風で食べようか」
「最高かよ」
で、普通に塩茹でにするのも飽きたので、ちょっと違った角度から味見。
出汁はもちろんイセカイカワブタ節とイセカイハモからのお出汁ですわよ。
ヘイ神様? この肉たちの呪いの強さはどれくらい?
(普通に炒り塩水で解呪できる強さじゃな)
ほな大丈夫か。
炒り塩水を作って、部位ごとにスライスしたお肉たちを解呪。
その間にお出汁はとれましたわぞ~。
「しゃぶしゃぶするならごまだれも欲しい」
「本格的に食べないから。美味しかったら明日以降のご飯にするから」
「りょ」
という事で解呪が終わった肉たちを入り塩水から引き上げまして。
しっかりと水気を切り……リボーンフィンチの鶏しゃぶ、味見の開始開始~!
「まずはもも肉」
「綺麗な桜色ねぇ」
リボーンフィンチの肉色は姉貴の言う通り桜色。
実際の鶏肉とあまり違いは無いんだけど、ところどころ違う所もある。
ハツとか、レバーとかの内臓系は、何と言うか、黒ずんだ赤色じゃなくてさ。
鮮やかなオレンジ色をしてるんだよね。
それはそれで怖い。
「うま」
「しっとりしつつジューシィ。肉汁もしっかり出てる」
最初のもも肉は普通に美味い。
いや待て? この普通はさっきまで食べてたイセカイマグロに引っ張られた感想なのでは?
そもそもネギトロやマグロユッケに匹敵するかもとか思える鶏肉のしゃぶしゃぶって、ポテンシャルヤバいのでは?
「翔、これは?」
「ハラミだね」
「ふーん」
続いて鶏ハラミ。
お味の方は……。
「あ、こっちの方が好きかも」
「美味いね」
あっさりとした脂と深い旨味とコク。
ポン酢ともみじおろしでサッパリ食べたけど、その食べ方合うなぁって感じ。
……ゴマダレ欲しい。
「それはハツね」
「ふむふむ」
続いては鶏ハツ。
ハツと言えばコリコリした食感が特徴だけど、果たして異世界食材はそれに準じているかな?
「プリッとしてて歯ごたえいいわね」
「ハツとして食べた時の物足りなさはあるかな?」
しゃぶしゃぶという調理法のせいか、コリコリした食感より、プリッとした食感の方が強くなってた。
特有の鉄分の感じはあるけど臭くはなく、癖も少なく感じるね。
これなら焼いて塩で食べた方が美味いかも。
「レバーはどう?」
「内臓繋がりね」
ハツを食べたらレバーもという事で、続いてはレバー。
「あ」
「これ美味いかも」
リボーンフィンチのレバー、しゃぶしゃぶするとシャキッとした歯ごたえに代わってさ。
レバー特有の滑らかな口当たりは無く、どっちかというと野菜みたいな歯切れの良さ。
内臓系の臭さも無く、ポン酢やもみじおろしのおかげでかなりサッパリ食べられる。
これ、レバー苦手な人でも普通に食べられそう。
「ごま油と塩で食べたい」
「やってることレバ刺しなんよ」
なんて姉貴が言うけど、そういえばレバ刺しとかもろに日本の食べ物か。
……リボーンフィンチのレバ刺し、食べれるかなぁ。
(内臓を刺身で?)
意外に美味いですよ?
もう日本だと馬のレバ刺ししか基本食べられないっぽいですけれど。
(うへぇ……)
うへぇ、て。
神様がうへぇ、て。
八百万のみなさーん、分からせタイムですよー。
「今調べたんだけど、日本で馬以外のレバ刺しが食べられないのって病原菌のせいなのよね」
「ふむふむ」
「鶏はカンピロバクター、他はO157」
「腸管出血性大腸菌感染症ね」
「正式名称どうも。でも、異世界の肉とかって病原菌は無くて、呪いや毒の影響で生食出来ないのね?」
「だから毎回解呪してるんでしょ? 炒り塩水で。――てことは?」
「異世界の鶏レバーならレバ刺しいける」
「一旦落ち着こう」
ほう、姉貴にしては冷静だな。
落ち着いてどうする?
「正直、得体の知れない肉の生食はちょっと怖い」
「そこは任せて」
という事でレバーをスライスして炒り塩水へ。
解呪が終わったのを確認して、と。
神様、このレバーは食べても人体に影響はありませんね?
(まぁ、無いが)
「神様から人体に影響はないってお墨付き貰った」
「なるほど?」
という事で気になったから神様からの確認を頂き、リボーンフィンチのレバ刺しをパクリ。
あ、ちゃんとごま油に付けて食べたよ?
「どう?」
「……正直、しゃぶしゃぶした方が美味い」
結果は……あのシャキッとした食感は加熱した故に発生したものというのが発覚。
いや、美味しいのよ? リボーンフィンチのレバ刺し。
ただ、絹ごし豆腐みたいな食感と、口に広がる内臓系の癖と匂い。
ごま油じゃ誤魔化し切れないそれらが、先程食べたしゃぶしゃぶを下回ってるだけで。
意外にしゃぶしゃぶって食べ方が最適解だった可能性がある。
「私はやめとこ」
「それがいいかも」
という事で、姉貴用にスライスしたレバーはしゃぶしゃぶしていただきました。
うん、圧倒的にこっちの方が美味いな。




