やっぱり魔物なんだね……
「持ち帰りは……」
「残ってる勝手丼の具で構いません?」
「うむ。……あと米を……」
「了解です」
ふぅ、これでイセカイマグロも終わりか。
悲しくもあり、名残惜しくもあり……。
「これからもちょいちょいその食材持って来てくれません?」
「む、珍しいな」
「こっちでもそれくらいご馳走なんで」
確かに、俺から食材を頼むって言うのもあまりなかったか?
でもさぁ、やっぱマグロは食べたいよなぁ!?
――ついでにカニミタイナカタマリとか、エビダトオモワレルモノとかも一緒に。
そういえば、あの頃はまだ解呪が出来るとか知らなかったから生で食べられてないんだよな……。
蟹、海老、マグロの海鮮丼とかあまりにも食べた過ぎるな。
ちょっとその辺の食材も一緒に持って来てもろて……。
「リクエストには添えんが新しい食材ならあるぞい」
「お、なになに?」
姉貴、身を乗り出して確認するな。
「リボーンフィンチじゃ」
ガタッ!
……ん? 今冷蔵庫から物音した?
気のせいか。
「リボーンフィンチって、あの卵のですよね?」
「残機制という話はしたな? そのせいで仕留められた個体というのはあまり多くない」
まぁ、倒しても復活する系みたいですし、復活するなら食材としても、素材としても残らないよね、と。
「だが、運よく残機が少ない個体の報告を受けてな」
「元々の推定残機は最低三桁、下手すれば四桁に届くかもという個体じゃ」
「じゅるり」
なんでその説明で涎が出るんです? アメノサさん?
「残機を重ねれば重ねるだけ味は円熟し、美味くなると文献にある」
納得。
四桁も残機がある個体なら、そりゃあさぞかしおいしいだろうなって事か。
「よく見つかったな、そンな個体」
「どうやら色々とあったようじゃぞ? 元々は別の冒険者が討伐したワイバーンの腹から出て来たとか」
食われてたんかい、リボーンフィンチ。
「体内から血液を吸い、ワイバーンの体力を著しく落としていたらしい」
そして生きてて体内で暴れてたんかい。
生命力の権化みたいな魔物だな。
「無論、何度も消化されたらしいが……残機制ゆえ復活していてな」
身体無くなっても復活するのかよ。
マジで何でもありだなリボーンフィンチ。
「で、ワイバーンを倒して解体していたら、腹から出て来たリボーンフィンチに襲われてな」
「ワイバーンを倒したことで自信をつけていた冒険者だったが、そのリボーンフィンチには歯が立たず」
「ギルドに連絡してギルドが調査。結果、残機数が残り一桁では? と結論に至ったそうでして」
「我々に連絡が入り、依頼として討伐した、という流れだ」
「私たちの国にもそう言う出会い、欲しい」
……多分だけど、『夢幻泡影』限定だと思うよ? こういう出会い。
正確に言うと、俺に渡す食材に関する魔物限定で、『夢幻泡影』に巡り合う、だけど。
そうですよね? 神様?
(うむ)
ほらね。
まぁ、神様の声は聞こえてないから、何も伝わりはしないだろうけど。
「と言う訳でカケルに渡す食材はリボーンフィンチ。部位ごとに渡す」
「ありがとうございます」
てな事で受け取りましたリボーンフィンチ。
――いや、でけぇから。
「これがささみだ」
とか言って渡されたの、俺の足ぐらいの太さと長さなんだけど?
なんで手軽にサイズを大きくするかなぁ?
(そっちの方が食い甲斐があるじゃろ?)
そうだけどさぁ。
まぁ、大きくないとイセカイマグロもここまで楽しめなかったし、今更ではあるけども。
やっぱり俺の知るささみと大きさが違い過ぎて……。
「渡しやすい大きさに揃えていたが……まだ大きいか?」
「……元はもっと大きかったんです?」
「それの丁度倍くらいですわね」
……どれだけ大きいんだリボーンフィンチ……。
今のサイズ感のささ身ですらデカいのに、元は倍の大きさとか……。
そんなんに血を吸われたら、秒で干からびるだろ。
というか、そんなリボーンフィンチを丸飲みしてたワイバーンのサイズは何だよってなるし、そんなワイバーンを討伐出来た冒険者も何者だよってなる。
さっきの話、登場人物全員化け物かな?
「大まかには他の鳥系生物と大差ない」
「細かには?」
「肉の付き方から脂肪のノリ方、筋の位置に軟骨の大きさなどは当然違うな」
「となると……」
「焼き鳥は大いに楽しめるものになるだろうな」
来た来た来た、来ましたよ。
夏場に焼き鳥。
そうなったらもうビールも必須ですわよねぇ!!
「辛口の白は合うだろうし、スパークリングも合うだろう」
「タレであれば赤、ロゼと相性いいはずですわ」
「日本酒ハイボールに焼酎ハイボールも合うじゃろうなぁ」
「それ以上言わないで。お腹空いてくる」
アメノサさんからの待ったが入るまで、思い思いの酒との組み合わせに思いを馳せておられますが……。
やっぱりビールだと思うんですよねぼかぁ。
姉貴はそこんところどう思う?
「焼き鳥……出店のお祭り価格……ウッ……頭がッ……」
思い出さんでいい、そんな記憶。
というか、あれは雰囲気込みでの価格だから。
そう思わんとやってられんから。




