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しっかり魔物

「柔らかくて弾力がある?」

「口ン中で吸いついてくる感じがするな」

「もっちりした生地と、中の餡の甘さが上手く調和しますわね」

「そば茶とも合うのぅ」


 先ほどまでのスライム騒動はどこへやら。

 一口食べてみたら、初体験の食感なのか、凄く味わって食べ始める『無頼』アメノサ組。

 

「食べるだけで体温が下がる感じがしますわね」

「キンキンに冷えているというのもあるだろうが、このガワの部分がそう感じさせているように思えるな」

「そんな感じですね」


 葛餅に限らず、ところてんとかわらび餅とか。

 冷たい以外にも、あの透明感というか、見た目と食感とで涼を感じられるんだよな。

 

「スライムはこんなに冷たくない。だから、これはスライムじゃない」

「最初からそう言ってるでしょ」


 数行前を訂正。

 スライム騒動はどこかへ行っていたわけではなく、しっかり頭の片隅には残っていたっぽい。

 ……ん?


「スライムって冷たくないんですか?」

「全然?」

「常温より少し熱い位ですわよね?」


 速報、スライム、恒温生物だった。

 熱を発する器官とかあるんだろうか。私、気になります!


「俺が知るスライムと、皆さんが思うスライムがかけ離れてる気がするので、どんなスライムが居るのか教えて貰っても?」

「構わんが……」

「まず、スライムと出会うって事はほとんどない」

「あ、そうなんですか」


 こう、歩いてたら飛び出してくるんじゃないんだ、スライム。

 珍しいのかな?


「基本的にダンジョンで頭上から襲い掛かってくる」

「ああ、出会わないってそういう……」


 違いました。

 常に不意打ちされるから、出会うって表現が不適切なだけか。

 それはそれでやだなぁ。


「スライムはあの通り流体だからな。僅かな隙間があれば入り込める」

「だからダンジョンの天井の隙間から襲って来て、襲撃に失敗したと思ったら別の隙間に逃げる」

「弱点も見た目じゃ分かんねぇンだよな。一応コアが存在はするんだが……」

「襲い掛かられた時にセルフバーニングで蒸発させるのが一番手っ取り早いんですもの」

「出来るの、ほぼエルフのみ」


 うわぁ……。

 めんどくさそう……。

 それって最悪、逃げたスライムを追っかけたら、もっと大量のスライムが頭上から降り注ぐとかありそう。


「……ちなみにもし仮に襲われた後は?」

「毒属性で身体の自由を奪い、骨まで溶かされるな」

「こっわ」


 いや、その……。

 スライムの捕食って事に興味があっただけで、決してスケベな事を期待してたわけじゃあ……。

 まぁ、お出しされたのはスケベどころかグロだったんですけれど。


「ダンジョン内に骨が転がっている場所はスライムが居ない事の証明だから、頭上を気にしなくて良くて楽」

「だな。逆にスライムが居るとスケルトン類は存在しないからどちらがいいかとは一概に言えんが」


 スライム、魔物も食うのか。

 いやまぁ、それもそうか。

 別に魔物以外しか食べないなんて、そんな理由ないもんね。

 ダンジョン内で食物連鎖とかって完結してるんだろうな。

 ……琵琶湖サイズのバハムートが、一体何をどれだけ食べているのかについては気にしない方向で行こう。


「ちなみにカケルが思うスライムって?」

「複数種類居ますけど、一番ポピュラーなのはこれですね」


 で、異世界のスライムを教えて貰ったので、ならばこちらも教えねば無作法と言うもの。

 と言う訳でタブレットで画像検索。

 いでよ! 恐らく世界で一番有名なスライムと言っても過言ではない水色のアイツ!!


「え、可愛い」

「この見た目なら蒸発させるのも躊躇ってしまいますわね」

「こんなまとまった形してねぇけどな」

「普通にペットとして人気出そうだ」


 普通にウケがいいな、現代スライム。

 やはり可愛い、可愛いは全てを解決する……。


「このスライムが頭の中にあるなら、確かに私達と噛み合わないか」

「魔物というより、愛玩生物」

「ちなみに割と賢いみたいですよ?」


 スライム系、賢さ高くなりがち。

 シリーズによっては、ゴールデンなスライムが賢さ上位筆頭みたいな立ち位置に居るし。

 

「魔法とか使えたりしますの!?」

「色んな種類の魔法を使いこなしてるイメージありますね」

「治癒魔法とかもか?」

「まぁ。蘇生魔法とかも全然やれます」

「やだ、カケルの知るスライム……欲し過ぎ」

「魔改造してスライムをそれに出来ねぇか?」


 なんか『無頼』さんが怖い事言い始めた。

 この話はこれでおしまいにしよう。


「もう無いし……」


 で、葛餅の話題に再び移ろうとしたら、もう食べ終わってやんの。

 食べるの早いなぁ。


「美味しかったぞ」

「スライムに似てる以外、完璧」

「スライムも美味しいものですけれどね」

「最近流通してるよな」


 なんだっけな。

 寒天の時にスライムで代用みたいな話をしていたような気がしないでもない。

 ……あれって二つ前の大会の話だっけか?

 最近記憶力があいまいみーまいんだわ。


「うちには入って来てないけど」

「そもそもスライムが食用として流通してようが、怪しいっつって弾いたンじゃなかったか?」

「……あった」


 もしかしなくてもだけど、アメノサさんがスライムに対して個人的に苦手過ぎるだけ?

 過去に襲われたりしたのかな……。

 やめとこ。

 想像した絵面がものすっごい酷いものにしかならなさそうだ。

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― 新着の感想 ―
もしかしなくてもだけど、アメノサさんがスライムに対して個人的に苦手過ぎるだけ? 過去に襲われたりしたのかな……。 やめとこ。 想像した絵面がものすっごい酷いものにしかならなさそうだ。 日本の一部で出…
あの世界のスライム種を全部見せたら驚きそう。人型 なのにスライム族とか種族によって大きさが違います からね。愛嬌のあるデザインにした先生に感謝
古典SFホラーの酸性アメーバ生命体のブロブ、古典ファンタジーのスカベンジャー生命体ウーズ類が欧米におけるモンスター「スライム」だけど、日本だとぷるぷるの最弱生物だからなあ… 八百万日本だとスライムの神…
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