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ガブロ「突撃^^」

「ふぅ……」

「凄まじかったですわね……」


 現在、マンゴーを食べてその余韻にどっぷりと浸かってる最中。

 しばらくは動きたくない。


「紅茶が美味い……」

「この渋味が体に染みわたる……」


 ちなみに飲んでいるのは異世界の紅茶。

 俺が動きたくないって事は、そんな事をしてくれる存在は一人しかおらず……。


「この場所の紅茶を頂きたかったのだがな……」


 そんな存在――ラベンドラさんは、こっちの世界の紅茶を飲みたかったと唇を尖らせる。

 ……また買って来ないとなぁ。

 今度は缶に入った紅茶にでも手を伸ばしてみるかな。


「カケル、持ち帰りの料理は……」

「あー……骨を抜いた魚でお願いしても?」


 我、絶賛動きたくないなり。

 ここから持ち帰りの料理はちょっと……。


「こちらで味付けを、という事か?」

「ですです」

「……ふむ」


 普段なら二つ返事でOKするのに、今日は何かを考えこむラベンドラさん。

 一体どうされたので?


「その……言いにくいのだが」

「どうしました?」


 お? レパートリーでも尽きたか?

 そうかそうか。それじゃあ、現代の英知の結晶を使って俺がレシピを教えてしんぜよう。


「明日以降に出てくる食事と被らないかと不安でな」

「……なるほど」


 その時、翔に電流走る。

 いや、確かにそうじゃん。

 天ぷら美味しかったから向こうでも作ったーとか、見た目うなぎに似てるからかば焼きにしましたー、とか言われたら明日以降の料理と被るじゃんか。

 ……どうしよう。


「ちなみに何を作る予定でした?」

「かば焼きか照り焼きを考えていたな」


 あっぶねー。

 かば焼きも照り焼きも調べたメニューにあったんだもん。

 間一髪で被る事にはならなかったけど……。

 う~ん……。

 それ以外の調理法か……。

 ……ん、これいいじゃん。


「過去に生春巻き作ったのは覚えてます?」

「覚えているぞ。『――』を調理したものだったな」

「……はい」


 ごめんなさい。

 大体どれの事か察しは付くけれど、確証は得られないんです。

 名前、聞き取れないんで。

 まぁ、生春巻きを提供したのは一度だけだし、エビダトオモワレルモノで間違いないよな、うん。


「湯引きした身を野菜と一緒に巻いて、ポン酢でいただくというのは?」

「最高だろうな。ぜひ作ろう」


 よし、これなら俺が今後作る予定の料理と被らないし、問題ないな。

 じゃあ、骨無しイセカイハモをゴー君から回収してくるか。


「あ、私も行きますわ」

「私も」


 と腰をあげたらついてくる意志を表明したリリウムさんとアメノサさん。

 ……ゴー君への質問だろうな。

 神様、強制送還の準備を。


(?)


 いや、万が一にもゴー君を回収しようとかしたらお願いしたくて。


(せんじゃろ。それに、もしやったらやったでわしの世界に戻る時に没収すればよい)


 あ、それもそうか。

 ……神様、ワインやお酒以外も没収できたんですね。


(そりゃあなんたってわし、神様じゃし)


 少しだけ見直したわ。

 ……まぁ、本当にゴー君に何が出来るのか質問するだけだったから、懸念してた事は起きなかったんですけどね?



「壮観じゃのぅ」


 異世界に戻り、日が昇り。

 ついにドワーフの祭典……ではないのだが、カクテル大会当日。

 王都のメインストリートにはずらりと屋台が立ち並び、その全てに、各種予選を勝ち抜いた調理士たちが立ち並ぶ。

 中には、この大会に全てを打ち込み、誰かの好みに刺さってくれと、生活を賭けた者もいる。

 そんな屋台の並びに対し、燃えるような炎の視線を向けるはドワーフ衆。

 大会開催の合図を今か今かと待ちわびて、鼻息荒く、目は血走っている。

 酒に対し妥協を許さないその種族柄、前日はしっかりと過剰なほどに寝ていたはずなのに、それでも目は血走った。

 全ては、未だ知らぬ新しい酒のせい。


「正直、ここまでの規模になると思わなかったっすが」

「予選敗退者達も地方で同じく店を出してるみたいですわよ? そちらの方も盛況だとか」

「王都に足を運べない者も居る。そこをターゲットにしたのだろうな」

「地方で出せばおのずと周りが売るツマミも想像がつく。そこに合わせた酒も出しやすい」

「なぁ」


 そんな王都のメインストリートとドワーフを見下ろしながら、特別審査員という腕章をつけた『夢幻泡影』とアエロスは。

 王都以外の事にも言及。

 実際、これまでの大会では王都に集まったギルドマスター達も、自分たちの管轄の町や村を取り仕切るために動いており。

 これまでとは規模が違うと、その身をもって実感させられていた。


「そろそろ開場ですけれど……」

「最終選考までは我々の仕事はない。ゆっくりしよう」

「おい」

「どうした? ガブロ」


 特別審査員である『夢幻泡影』達の仕事は、最終選考まで残ったカクテルの審査であり。

 それが決まるのは恐らく昼過ぎ。

 一般審査員であるドワーフ達の投票後なのだから、とゆっくり寛ぐ姿勢だった『夢幻泡影』の中でただ一人。

 ガブロだけが、落ち着きなく動いていて。


「わしも行っちゃダメか?」

「ガブロ……」

「審査の前に酒で舌を鈍らせる気か?」


 それもそのはず、彼だってドワーフなのだ。

 目の前に未知の酒があるのに、それを飲めぬというのは酷と言うもの。


「ぐぬぬ……」

「……ふ。冗談だ。お前の舌はちょっとやそっとの酒じゃ鈍らないだろ?」

「もちろんじゃとも!!」

「だから行って来い。昼には帰ってくるんだぞ?」

「うむ!! 行って参る!!」


 と、許可が出た途端に走り去るガブロの後姿を確認し。


「じゃ、私達も向かいますわよ」

「楽しみだな」

「ガブロにああ言った手前、俺たちが酒に溺れないようにしないとな」


 残された三人も、会場の隅に転移魔法で移動。

 なお、走って王城から会場に向かったはずのガブロが先に到着していたことに衝撃を受けるのだが。

 それはまた別の話。

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― 新着の感想 ―
アルコール駆動エンジンすげーなドワーフw
残された三人も、会場の隅に転移魔法で移動。 なお、走って王城から会場に向かったはずのガブロが先に到着していたことに衝撃を受けるのだが。 それはまた別の話。 このドワーフ、無意識で転移魔法を再現してる…
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