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らしい仕事

「ふぅ……蕎麦湯、と言うのか」

「ほのかに香るお蕎麦の香りがたまりませんわね」

「落ち着く……と言うよりは和む、と言う味わいだな」

「酒と合わせたい……」


 お蕎麦の魅力の一割くらいは、この食後の蕎麦湯にあると言っても過言ではない。

 多分、きっと、恐らく、メイビー。

 と言う訳で食後にお茶ではなく蕎麦湯を提供してみました。

 蕎麦湯……まぁぶっちゃけお蕎麦を茹でた茹で汁なわけですけれども。

 それも堪能出来るのが生麵タイプの蕎麦の魅力。

 これが乾麺との絶対的な差ってわけ。


「染みわたる感じが心地いい」

「なんだか、時間の流れがゆっくりになった感じですわ」


 にしてもこのエルフ達、蕎麦湯を飲むだけで簡単に和むとかチョロいな。

 ……いやまぁ、俺が言えたことではないんだけども。


「蕎麦……是非とも向こうで再現したいが……材料が小麦粉ではないんだよな?」

「蕎麦って言う位ですから……。そば粉と言うものになりますね」


 ちなみにそば粉はそばの実から作られるぞ。

 まぁ、異世界には無いだろうな。


「一応、そば粉だけでは無いですけどね」


 ちゃんと補足もしておくけども。

 十割蕎麦もあるにはあるんだけどね。

 そばの香りや味わいは強い反面、歯触りや喉ごしがやや落ちる気がする。

 結局は小麦粉二割蕎麦八割の二八蕎麦が至高なんだよな。

 ……って、某漫画で言ってた。


「あの香りが再現出来ればいいんだが……そうでなければただのパスタと変わらんし……」

「似たような香りに心当たりはありませんわね」

「どこかのダンジョン内に存在していないだろうか?」

「困ったならカケルから神様に聞いて貰えばええんじゃないか?」


 ……だそうですけど?

 そっちの世界で蕎麦の代わりになりそうな物、あります?


(無いが?)


 作ることは?


(う~む。作ったとてどこに出現させるか……。安易に作物を増やすと面倒なんじゃよなぁ)


 要求はワインですか?


(ああいや、そう言う事ではなく。世界のバランスの話じゃからワインでどうこうというレベルではない)


 なん……だと……。

 異世界の神様が神様みたいな事言ってる……。


(いや、だから神じゃて。わし)


 てことは、今のところ蕎麦の代わりになるものは無い、と。


(じゃなぁ。……ん? 待てよ? わざわざ作らずともいくつかを変異させて調整すれば……)


 ……大丈夫なのかな? それ。

 世界のバランスがーとか言いながら、それ回避するために突然変異起こさせようとしてない?

 某ダンジョン製作ゲーかな?

 ダンジョンクエイクで中断しなきゃ。


(あまりに急な変化をつけ過ぎると周囲に影響が出る。ま、一年程待てば蕎麦の代わりになるじゃろうて)


 ……十分に急では?

 こっちの世界だと進化にはX年単位で必要なんですけど……。

 まぁ、いいか。

 影響があるのはラベンドラさん達だし。


「さて、団らんもしたし」

「デザート、だな」

「少々お待ちください」


 ちなみに姉貴からのマンゴーはまだ届いていない。

 『無頼』アメノサ組にとっては朗報だろうけど、『夢幻泡影』は食べたがってる気がするんだよなぁ。

 まぁ、無いものは振舞えぬ。


「……それがフルーツか?」

「流石にこれはフルーツではないですね」


 俺が手に持って来たのを、フルーツか確認するマジャリスさん。

 これがフルーツに見えたらダメだと思うんだ。


「見たところケーキのようだが?」

「です。と言ってもただのケーキではなくてですね……」


 散々何をデザートにするか悩んだ末、俺が出した結論はこうだ。


「アイスケーキになります」

「ふむ?」

「どういうことだってばよ」

「そのまま、アイスクリームでケーキをかたどったものになります」


 恐らく日本で一番有名なアイスクリームチェーン店。

 店名よりも、数字で呼ばれることが多いその店には、アイスだけでなくアイスケーキも存在するのは周知の事実。

 と言う訳でそこのアイスケーキを買って来た次第。

 ……ちなみに俺はシェイクを作って貰うのが好き。


「香りはチョコレートのようだが?」

「ですです。ソースにチョコレートが使われてて、メインのアイスはコーヒー味になります」

「えー、コーヒー?」


 えーとか言うな年齢不詳エルフ。

 それが許されるのは子供だけだ。


「ガブロさんも食べるんですから、ある程度は揃えますよ」

「まぁ……いいけど」


 全然良さそうじゃないな。

 ちなみに今回買って来たアイスケーキ、パティスリーって銘打たれた奴で、アイスクリーム店ならではのケーキを追求した物、らしい。

 期待が高まりますね。


「じゃあ切り分けますよ?」

「私がする二つ買って来て貰えているから、一つは半分にしてリリウムとマジャリスに。もう一つを三等分にして私とガブロとカケルで分けるぞ?」

「それでいい」

「苦しゅうありませんわ」


 ……うん。

 疑問に思わないだろうか?

 俺は元々『無頼』アメノサ組も来る想定で買って来ていた。

 それにしては、アイスケーキ二つは量が少ないのでは? と。

 しかもそれを踏まえるとケーキは七等分する必要があり、かなり難しくなる。

 ……その謎の答えは――。


(俺用のアイスが冷凍庫にある事、バレないようにしないと……)


 俺は俺でみんなが帰った後にゆっくりとアイスを食べようとしていたからである。

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― 新着の感想 ―
山芋くんが脱走してカケルママのアイス食ってコーヒー味になってる超展開来い!
蕎麦湯、そのまま飲んだこと無いなぁ……うちでは蕎麦つゆに入れて飲んでた
嗅ぎ付けられてボロを出しそう…
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