実例有り
「また匂いが違うな」
「こっちのはより甘そうという感想を抱く匂いですわね」
最後に控えるは夕張メロン。
その名の通り北海道夕張市で栽培される品種で、夕張市以外が産地の場合、夕張メロンって使えないらしいよ?
ちなみに夕張メロン、実は品種名じゃない。
品種名は夕張キングとのこと。
「同じフルーツなのに中身はこうまで違うか……」
で、夕張メロンと言えば一番の特徴はその果肉の色。
綺麗なオレンジ色のソレは、明らかに他のメロンと違う雰囲気を醸し出している。
「匂いに負けず……いいえ。匂いよりも強い甘みですわ!!」
と、誰よりも先に口を付けたリリウムさんはご機嫌に語る。
「酸味すらない。純粋な甘みの凝縮した果汁」
「身もすげぇな。柔らかくて溶けるみてぇだ」
「口の中で爆弾みたいに広がる香りも極上」
「そのくせ後を引かん甘さじゃろ? これもう果物の王様じゃろ」
分かる、分かるよガブロさん。
そう言いたくなる気持ちが。
だがな、今後届くであろう高級マンゴー。
そいつを食べてから結論を出すのも、遅く無いんじゃないかい?
「? 気が付いたら無くなっていましたわ?」
「奇遇だな。俺もだ」
「がっつけば無くなるのは当然だろう……」
まーた無意識消失芸してるよエルフ二人。
食べれば無くなるのは必然なんよ。
ね? 山芋マンドラゴラ君。
「カケル、メロンはまだ残っているな?」
「もちろんもう一巡するんですわよね?」
圧をかけるな圧を。
まだ翔君が食べてるでしょ。
「まぁ、一巡と言うか、好みのメロンを指名して食べてもらう予定ですけど……」
「今すぐ、と言う訳には?」
「俺が食べ終わるまで待ってくださいね」
と言う訳でなだめ終わったので夕張メロンをば。
……ん~~。
溶けるわん。
食感もそうだし、何より甘みが強くて本当に溶ける。
この瑞々しさと甘さの両立ってどうやってるんだろ。
マジで不思議だわ。
「やめんか! いやしい」
「……まだ食える」
……。
俺、見なかったことにしていいすか?
んー……本人の名誉の為にちょっとぼかすか。
マジャリスさんが、今この瞬間だけカブトムシとかクワガタムシになってた感じ。
主に自分が食べたメロンの皮相手に。
「流石にあそこまでは……」
「したら叩くぞ」
『無頼』アメノサ組もこの通り。
マジャリスさん? 越えてはいけない一線と言うものがございましてね?
「ご馳走さまでした」
「カケル!!」
堪能しました。
送ってくれてありがとう姉貴。
そして姉貴が送って来られるような支援をしてくれてるみんな、ありがとう。
「さて、これからなんですけど」
「夕張メロン!!」
「私はマスクメロンですわ!!」
「話を聞かんか……」
ガブロさんに言われて少しだけ勢いが削がれるエルフコンビ。
大丈夫だよね? これが原因でパーティ不和とか引き起こさないよね?
「ここにソーダとバニラアイスを用意してます」
「ふむふむ」
「半分に割って、タネを取り除いた部分に好みの方を入れます」
「ひゃっほい!!」
「なお、メロンクリームソーダと言う択も存在するので、両方すら可です」
「無論!!」
「両方!!」
「決まってる」
「と言う訳で自分の食べたい品種を相談して決めてください」
ヨシ。
話し合いをさせている内にゆっくりとくつろごう……。
とはいかないんだよなぁ。
ファミリーパックのバニラアイスと、ソーダの準備。
ちなみにソーダは俺が買い物に利用するスーパーの独自ブランド。
つまりは一番安い奴である。
「私とラベンドラがマスクメロンですわ」
「俺とアメノサが夕張メロンだ」
「わしと『無頼』がアンデスじゃな。で、アイスもソーダもいらんから焼酎を注いでくれんか?」
……ん?
今飲兵衛組が衝撃的な注文をしなかった?
いやまぁ、やれと言われるならやりますけど……。
「残さないでくださいね?」
「ンな勿体ねぇ事しねぇよ」
「ドワーフが酒を残す時は死ぬ時だけじゃぞい」
こう言ってるならいいか。
どうぞっと。
「うへへ、メロンにアイスに、ソーダ」
「あら? そう言えばアメノサは炭酸飲料は経験ありましたかしら?」
「ニルラス国から少量仕入れてる。基本的には王族しか飲んでない」
「それをくすねた、と」
こう、なんて言うの?
多分、俺は聞いてない振りをするのが正しいっぽい会話がちょいちょいあるんだよな。
ボクハシリマセンっと。
「バニラアイスとメロンの組み合わせが反っ則ですわ! レッドカード二枚ですわ!!」
何試合か出場停止じゃん。
バニラアイスとメロンが何をやらかしたって言うんですか。
「スプーンでソーダごと掬って飲んでみろ。これもダメだ。野球の監督がベースを引き抜いて審判にぶん投げるレベル」
例えが分からん。
あと、起こらないし怒らないだろ、そこまで。
「あぁ……上品なメロンの酒じゃな……」
「俺らにゃこれ位が丁度いいや」
飲兵衛組を見てみろ。
翻訳魔法さんが暴れられなくて物足りない……みたいなコメントしかしないぞ。
こういうのでいいんだよこういうので。
「カケル」
「どうしましたアメノサさん?」
「ストロー頂戴」
「ほいほい」
アメノサさん?
バニラアイスをしっかり溶かし、果汁も混ぜて極上にしたメロンクリームソーダをストローで堪能してるよ。
誰よりも果肉を食べてないから、一番長く楽しめるんじゃないかな、アメノサさんが。




