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ドワーフ歓喜

600話越えてました←

 は~……美味しかった。

 あの後。結局全部味見したんだけどさ。

 一口だけとは言え、結構な量を飲んだ事で……。

 今じゃすっかりほろ酔いですわよ。


(どれが美味かったかの?)


 う~ん……赤だと最初のドッシリ重ためのやつが美味しいと感じましたかね。


(なるほど。では白だとどうじゃ?)


 ……三杯目の甘い感じのやつ。

 ショートケーキっぽくて、ツマミとか無しでも飲めそうだったやつが一番でした。


(それ四杯目じゃな)


 さいで。

 それくらい俺の頭は回らなくなっているという事。

 じゃあ、神様、異世界のワインご馳走さまでした。


(うむ。次はそっちの国のワインを熟成させて供えるんじゃぞ~)


 ……これ、思ったんだけどさ?

 向こうの世界のワインはこっちに持って来られないじゃん?

 で、こっちから持って行くワインは神様に取られるじゃん?

 てことは……異世界組がゴー君熟成のワインを飲む場所ってここしかないって事?

 あまりにもかわいそうじゃない?


(自分たちが必死になって作ったワインを、数日置いただけでもっと美味いワインに昇華される異世界の醸造ギルドの方がかわいそうじゃろ)


 ……それもそうか。

 多分使い方間違ってるけど、知らぬが仏ってやつだな。


(神じゃが?)


 はいはい。

 いい感じに眠気が襲って来たし、とりあえず寝よう。

 おやすみなさい……。



「随分と久しぶりな気がするな」

「お互いに忙しい立場ですもの。仕方ありませんわ」


 朝。『夢幻泡影』を尋ねて来たのは『ヴァルキリー』の面々。

 いや、尋ねて来た、と言うよりは、たまたま目的地が同じであり、その場所で出会ったのだが。


「カースドオルゾフマンドラゴラの研究結果を持って来た」

「……触れるだけで呪いをまき散らす問題作のアイツの研究結果?」


 その目的地とは農業ギルド、開発局。

 様々な食材……主に植物を中心に、食料の不足の無いように栽培から収穫、品種改良までを手掛ける農業ギルドの中で、とりわけ特殊性の高い食材の開発。

 つまるところ、山芋マンドラゴラの誕生地である。


「そう言うあなた方は? 散歩で来るような場所ではないでしょうし……」

「同じく研究結果の報告。と言ってもこれは極秘中の極秘」

「まぁ、『夢幻泡影』様にであれば伝えて構いませんけれどね? 口は堅いでしょうし」


 そうギルド職員に言われ、顔を見合わせた『ヴァルキリー』は。


「米の掛け合わせによる品種改良。その過程で発生した突然変異と、周囲に振りまいた影響のレポートだ」


 と言って、いくつかの資料をリリウムに手渡す。

 そこには……。


「これまでのものとは違う、丸みを帯びたふっくら柔らかい米の出現?」

「周囲の食物を枯らすほどの養分吸収の貪欲さと、それに伴う短期栽培での収穫可能量……」

「土壌丸ごとの再建が求められるが、そこをクリアすれば僅か一月でサイクルが回るのか……」


 現代の米……いわゆるジャポニカ米によく似た外見的特徴を持ち、おおよそ米とは思えない報告がなされていて。


「毒見で食べたが美味かった。ふっくら柔らかは資料にあるが、甘みがあり、香りもある。それだけ食べても十分に美味いものだった」

「ズルいですわよ!?」

「文字通りの、毒見。周囲の養分と一緒に魔力も取り込む。呪いが調理で完全に浄化されるかを試しただけ」

「アタシなら、ちょっとやそっとの毒や呪いは効かねぇからさ。適任だったってわけ」


 自分たちよりも先に『ご飯』を食べられたことに声が強くなるも、言われてみればその通りで。


「そもそも、調理に聖水を使用して呪いを弱化し、更に高温を加えなければ呪いが弱まらない」

「一応は、解呪の魔法も用いたのですけれど……」

「私達二人で行っても、多少弱まる程度でした……」


 『ヴァルキリー』の結界士のレトと、地図士のネモシュ。

 二人掛かりの解呪魔法も、米の呪いを僅かに弱める程度。


「とりあえず呪いが強くても開発してしまおう、という考えを否定はしないが……」

「食べる事までを想定すると、もう少し考慮して欲しい所ですわよね?」


 片や触るだけで呪いを移す山芋で。

 片や食べるために聖水での調理が必須なお米。

 異世界でとろろご飯をするためには、どうやらかなりのハードルがあるもよう。

 

「……とりあえず、報告も兼ねてカースドオルゾフマンドラゴラを食べないか?」

「いいのか!?」

「『夢幻泡影』のご飯は久しぶり。だから楽しみ」

「色々と解体した魔物の資料とか溜まってんだろ? 教えてくれよガブロさん」

「そっくり返すぞい。わしらの知らん魔物の情報と交換じゃな」


 ただ、『夢幻泡影』側としては、持ち帰りのご飯として既にすりおろされた山芋マンドラゴラを持っているため、食事に必要なのは『ヴァルキリー』の持って来た炊かれたご飯なのだが。

 ……ちなみに余談だが、炊く度に聖水が必要では普段から食べられる主食にはなり得ないという当然すぎる判断がなされ。

 どうにか安価に解呪出来ないものかと試行錯誤をした結果。

 一般に『ご飯』として流通するよりも早く、『清酒』として流通することになるのだが。

 それはまだ、もう少し先の話である。

オルゾフカラー=白黒

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― 新着の感想 ―
600話突破おめでとうございま…飯食ってただけだぞおい!?それで600話とか恐ろしいなあ! いやまあ、それだけ飯テロ喰らったわけかぁ…
ふっくら柔らか、清酒にする過程で粒が半分以下のサイズまで削られてそう(
600話おめでとうございます(一話遅れ) いや感想書いた後に気付いたんですけどねw よりによって記念すべきキリ番の感想がアレなネタというw
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