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つきとめたくて

「あるのだな!?」

「あるにはある……でも教えない」

「くっ……」


 紫の魔法陣を越え、こちらへとやってきた六人。

 でも、なんだかアメノサさんとラベンドラさんが言い合ってらっしゃる様子。

 何があったんだろう?


「どうかしたんです?」

「ん? ああ、昨日の〆を思い出して欲しい」


 ……?

 昨日の〆? ……美味しい卵ご飯だったけど?


「アメノサや『無頼』は、初めての生卵だったはずだ! だが、特に何も驚くことなく受け入れていた!」

「あー……確かに」


 言われてみれば?

 現代日本人である俺や、すっかり現代日本に染まった『夢幻泡影』の面々ならともかく、最近こっちにき始めたばかりの二人が、卵を生で食べる事に疑問を持たないのはおかしいか。

 ……マヌケは見つかったみたいだな。


「それで問いただしていたわけだ。生食可能な卵を生産しているな、と」

「だーかーら、教える義理はない」

「……でもぶっちゃけ、卵ご飯を受け入れちゃってる時点で言い逃れ出来ないですよね?」


 なんだろうな、きっとゲームとかなら、この辺でBGMが変化するんだろうな。


「ぐぬぬ」

「まぁ、別にいいンじゃねぇの? どうせこいつら、それを知って自国で作るとかじゃなく、使いたいから交易品リストに入れろって言うだけだろ」

「『無頼』!!」

「その通りだ。そもそも、この卵に関してはソクサルムには報告しない。あいつからどれだけふんだくっても構わないから、ニルラス国へと輸出して欲しいだけだ」


 まーたソクサルムさんとやらが困りそうな話題になってやんの。

 俺知らねーぞー? ソクサルムさんとやらが酒に逃げたりして体壊しても。


「……軍事用の携帯栄養食として開発した、生食可能な卵はある」

「では!!」

「でも、味は美味しくない。少なくとも、開発の元にした卵と比べても味の劣化が顕著。ここで昨日食べた卵ご飯とは雲泥と言うか、砂とりんご」


 ? その例えは某漫画の死神を想起させるな?

 あと、軍事用とは言え異世界にも生食可能な卵とかあるのか、凄いな、異世界。


「なるほど、軍事用の携帯栄養食か」

「そりゃあ情報が出回ってないはずですわね」

「味が微妙と言うのは生食可能な部分の影響じゃな?」

「そう。そもそも卵含めて生食出来ない理由は呪い。でも、魔力を持たない植物や一部の稚魚の魔物はその限りではない。だったら、交配して魔力を持たない鳥型の魔物を作るだけ」

「……だけと言うが、ほとんどの動物の魔物は魔力を持つ。何と交配させたか、想像がつかんな」

「一年二年の話じゃない。もっと時間をかけて、ゆっくりやった」


 ……こう、炒り塩水に漬けるだけで生食可になる異世界食材便利じゃんとか思ってたんだけどさ。

 こういう話聞くと、消毒とかで生食可能でしかも美味い日本の生卵って凄いんだなって。

 そういや、海外旅行者とかは、生で食べられることはもちろん、黄身の色が濃いって驚くよね。

 海外の卵は、のっぺりした白っぽい黄色みたいな色合いらしい。

 日本みたいなオレンジ色ってそうそうないらしいよ。

 ……黄身の色は餌の影響らしいけども。


「……味を向上させる研究は?」

「軍事用って聞いてた? 生で食べられる、って条件をクリアした時点で完成」

「それもそうか……。待て、であれば今後研究をして味の良くなった生食可能な卵が作れるようになれば、アメノサ達がシェアを独占できるという事だろう?」

「……そう。――っ!?」

「そうだ。お前らの国の産業で他国が追い付けない分野が出来る」

「凄く凄い。本当に凄い……」


 ……アメノサさんの語彙が死んでる。

 早すぎたんだ……。


「ふぅ……お腹すいた」


 そして議論が終わったからなのか、思い出したように俺の方を見てそう言って来た。

 はいはい、ご飯は出来ていますよっと。


「カケル、今日のご飯は?」

「懐かしの角煮丼ですよ。火を止めちゃうんで状態保存の魔法をお願いします」

「任せておけ」


 と言う訳でようやく状態保存の魔法をかけて貰い、火を止めて。

 人数分の目玉焼きを焼きましょう。


「角煮丼か、懐かしいのぅ」

「私たちが渡した最初の食材で作った料理でしたわね」

「あの時は『――』の肉で作っていたんだったな。あの肉をよくもまぁあそこまで柔らかくしたと、目を丸くしたものだ」

「あの時はゆで卵だったが、今日は目玉焼きか」

「ですです」


 懐かしく思い出してる間に、どんぶりにご飯を盛り。

 角煮を贅沢に、ゴロゴロと乗せまして。

 片面焼きで焼き上げた目玉焼きを上に乗せ、最後に煮汁を回し掛ければ……。

 完成! ドラゴン肉の角煮丼!!

 からしはチューブのやつをテーブルに乗せときますね~。


「美味しそう……」

「ていうか待て待て。普通に流したが『――』の肉を最初に渡してて、それをカケルが柔らかく調理した?」

「じゃぞ?」

「基本的な調理例を教えてたか?」

「いや? そもそも我々の口にする魔物の名前、カケルには届いていない。だから、カケルは何の肉かも分からないままに調理して、私たちの胃袋をがっちりと掴む料理を作って見せた」

「……お前、本当に人か?」

「人間以外に見えますかね?」


 『無頼』さんから信じられん……みたいな目で見られてる。

 いいから! 食べますよ!! ホラ!!

 手を合わせてください!!

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― 新着の感想 ―
超今更だけどよく食器の数があるなあ。 もう亡くなったけど田舎の祖父母の家には大人数の法事でも困らない食器やらお膳も蔵にあるけど主人公の家には妙な物も揃ってる時あるよね。
そこでニヤリと笑って「……人間ですよ?」と言わなきゃ!カケルママ!
「その通りだ。そもそも、この卵に関してはソクサルムには報告しない。あいつからどれだけふんだくっても構わないから、ニルラス国へと輸出して欲しいだけだ」 あいつからどれだけふんだくる。で教えた気がするw…
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