必須アイテム
……ちなみにだけど、ドラゴン肉を串に刺していく作業ね?
リリウムさんとマジャリスさんは、ラベンドラさんが切ったドラゴン肉を魔法で浮かせて一気に貫通。
『無頼』さんは目に見えない速さで肉を取っては刺し、取っては刺し。
アメノサさんは何度か自分の手を串で刺しながらも一生懸命に刺してました。
タレを作りながら見てたんだけど、アメノサさんの動きが一番共感出来るなぁって。
と言うか、アメノサさん以外の動きが人間卒業し過ぎてるわけだけども。
「よし、こんなものだろう」
「結構作りましたわね、五百本くらいですの?」
「足りなくなればまた作ればいい。ガブロの燃料が切れない内に始めるぞ」
…………。
「どうした? カケル」
「ちょっと……買い出して来たい物があるんで、少しだけ席を外しても大丈夫です?」
「ふむ……。ある程度の物ならば私が用意出来る。何を買ってくるつもりだ?」
ずっと考えてた。
でもさ、ここだけは譲ってはダメだと俺の本能が叫んでるんだ。
「……焼き鳥にはビールなんですよ」
「なるほど……」
こう、絶対美味い串焼きが出来るなら、片手に串焼き、もう片手には当然ビールが握られていなければならない。
大人の公式にそう書いてあるんだ……。
だから、
「猛ダッシュで買って来ます」
「気を付けてな」
「わしらの分も頼むぞい」
「もちろん!」
買ってくる。
この際、多少高くついてもコンビニでいい。
冷えたビールを大量に買って来なくちゃ……。
――それに、異世界組が大人しく留守番してくれているとも限らない。
臥龍岡翔……MEブースト!!
*
ただいま! と言う事でね。
「お待たせしました」
「じゃあ始めるぞい!」
異世界組はどうやら大人しく庭で待っててくれたみたい。
まぁ、アメノサさんの前例があるから、ヘタな動きするとこの場所に来られないと考えたんだろう。
そう思うとアメノサさんはいい働きをしたと思うよ、うん。
見せしめ、って言い方は良くないかもだけど、実例があるのとないのじゃ大違いだからね。
「……んで、ゴー君に何かしてましたね?」
「何もしていませんわよ?」
いけしゃあしゃあと言うじゃん。
だがな、ゴー君が俺に何かを訴えかける目で見てるんだ。
俺の目は誤魔化されないぞ!!
「んご!」
「えっ……あ、そう」
……濡れ衣でした。
何が誤魔化されないぞ、だよ。節穴じゃねぇか俺の目。
「ゴーレムはなんと?」
「岩塩プレートが欲しいみたいです……」
ゴー君が訴えかけていたのは、星晶塩が欲しいって事だった。
ゴー君が何かを欲しがるなんて珍しいからね、叶えてあげたいな。
「焼き終わった後で構わんならやってもいいぞい」
「十分です」
よし、食後にゴー君への岩塩プレートも回ることに決まった。
となれば、
「では火を点けるぞ」
「お願いします」
焼き鳥ならぬ焼きドラゴン……開始!!
*
「匂いが既に美味そうですよね」
「かなりズルいな」
「匂いだけで飯が食える」
「マジでそれ。ていうかカケル、白米くれ」
「どうぞどうぞ」
こう、うなぎの焼ける匂いで米を食う、みたいなのあるけど、焼きドラゴンもそれに匹敵する美味しい匂い出してる。
まず、肉として焼ける匂いがもう美味そう。
そこに、星晶塩の焼ける匂い……何と言うか、しょっぱそうな匂い――いや、海の匂いだな。
潮風の匂いがプラスされて、勝手に口の中に唾液が溜まるんだよ。
そして焼ける音まで合わされば、あっと言う間に米が進むって寸法よ。
「脂肪が少なく、そして柔らかい部位。……足の付け根の部分じゃな」
「いただきます!」
違う。
これは話を聞いてないんじゃなく、ただお腹が空いて食べたいからとかじゃなく。
刺激が無くなったドラゴン肉は生に戻っちゃうから早く口に運んでいるだけ。
いいね?
「うっめぇ!!」
「ジュワッと溢れる肉汁が最高ですわ!」
「星晶塩の塩味が程よく肉に移り、それでいてミネラルのまろやかな味わいが広がっていく」
「最初こそ塩味が来るが、それよりも後から追っかけてくるドラゴンの旨味の方が強い」
「脂が甘ぇから塩味と抜群に合う。それでいてクドくもしつこくもねぇ」
「美味し過ぎる……。夢にまで見たこの場所の料理……」
アメノサさん目に涙浮かべてるけど……。
と言うか、夢にまで見たんだ。
数日しか拒まれてなかったはずなのに。
「んむ、美味い」
一人遅れた焼き係のガブロさん。
ただ、ガブロさんには……。
「ごっごっごっごっご! プハーッ!! ビールと合うのぅ!!」
誰よりも先にビールを渡してある。
ちなみにガブロさんは酒でいい、と言って白米キャンセル界隈。
正真正銘の飲兵衛の思考なんよ、それは。
「次はどこを行くかの」
「同じく脂質少な目の翼の付け根はどうだ」
「じゃな。刻みネギを散らしてネギ塩焼きとするか」
「いいですねぇ!」
「ニンニク、ショウガ、大根おろしにワサビ。味変の調味料も大量にある。今夜は存分に楽しめるぞ」
「いぇーい!!」
と、全員がご機嫌。
とりわけアメノサさんの機嫌が天元突破した状態で。
長い長い岩塩プレート焼き鳥の幕が上がったのであった。




