表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
580/782

ほとぼり冷めず

 お、来た来た。


「いらっしゃ~……」


 魔法陣を潜ってきた五人に目を向けて、一瞬言葉が詰まる。

 そっか……アメノサさん、また来られなかったんだ。


「? どうした?」

「いや、アメノサさん、また居ないんだなぁと」

「あぁ……」


 俺の視線に気付いたらしい『無頼』さんが聞いて来たけど、俺の返事を聞いたら納得してた。


「……しばらく無理だろうなぁ」

「そうなんですか?」

「神様からお供えすらも弾かれたらしい。相当キレられてるな」

「ほへ―……」


 あの神様がお供え物を拒否る?

 マジ? 何をやったらそこまで怒らせられるんだ?


「それで? カケル。今日の料理は?」

「あ、はい。マーボー春雨を作ろうと思います」

「ふむ……」


 と言う訳で早速調理開始!

 まずは春雨をお湯で戻していきまして。


「スライムの細切りか?」

「多分違いますね」


 とんでもない事言われたので、春雨の成分表を選択、突きつけるっと。

 喰らえ!!


「ふむふむ」


 で、茹でてる間にスープの用意。

 本来は鶏がらスープをベースにするんだけど、今回はドラ墨を使いますわぞ~。

 どれくらいか入れたら丁度いいか分からないから、入れながら調節。

 水でドラ墨を伸ばしながら火にかけて、醤油を一回しして風味を追加。

 砂糖で味の角を取ってやってスープの完成。

 ちょい味見。


「……うん、美味い」


 少し薄めだけどそれでも十二分にうま味が出てる。

 ヨシ、それじゃあ……。


「ラベンドラさん、ドラゴンの肉を細かく刻んで貰っていいですか?」

「任されよう」


 ドラゴン肉に手を出しましょう。

 まぁ、手と言うか……魔法と言うか……。


「これくらいでいいか?」

「大丈夫です」


 ひき肉より少し粗めのみじん切り。

 そいつを中華鍋に入れ、サラダ油で炒めまして。

 火が通ったらネギ、きくらげ、ニンニク、ショウガを入れ、紹興酒で香りづけ。

 あ、戻し終わった春雨はザルに引き上げて水気を切っておきまして。

 炒め終わった具材と合流させて、そこにドラ墨スープを流し込み。

 ラー油を全体的に回しかけて、春雨がスープを吸ったら完成。

 辛さが刺激の一種だから、ドラゴン肉を刺激し続けて生に戻らないと聞いた時はマジかと思ったけどさ。

 思い返せば理に適ってるな。

 ……本当か? 異世界食材だぞ? 騙されるな俺。


「出来上がりました」

「いい匂いがプンプンしやがる」

「期待感爆上げですわね」

「昨日の料理とは全然違うな」


 とは食べる専門組の感想である。

 一方ラベンドラさんはと言うと……、


「醤油とは確かに相性がいいだろうな……。それにタバスコではなくラー油か。なるほどなるほど」


 料理作る側から言わせて貰うと怖いんだよなぁ。

 こう、分析されてる感じ、あまり好きではない。

 でもまぁ、ラベンドラさんも美味い美味いと食べてくれるしな。

 この料理は出来損ないだ、食べられないよ。とか言い出さない点は安心できる。

 ……そんな人は稀だろうけど。


「ご飯大盛り所望の方~」


 俺以外の全員っと。

 じゃあご飯を盛り、中華スープをよそいまして……。


「お待たせしました」

「腹ペコじゃぞ」

「食べましょう食べましょう」


 俺では皆さんお手を拝借。

 ――いただきます!!



「めちゃくちゃ米が進むな!!」

「もう旨味が口の中にず~~と居続けて大変ですわぁ!!」

「ピリッと来る辛みが余計に食欲を刺激するのぅ」

「スープの絡んだ麺がここまで米に合うものなのだな」

「具材として入ってるきくらげや肉も美味いぞ!!」


 マーボー春雨、大成功にござい。

 んでまぁ、それぞれの感想を踏まえて言わせて貰うと……。

 ラベンドラさんにスープが絡んだ麺が米に合うって話、かなり危険な感じがする。

 家系ラーメン+ご飯の組み合わせとか、現代人ですらハマって抜け出せないような底なし沼だぞ?

 人を選ぶとは言え、このエルフ達がその沼に入る未来がありありと浮かんでしまう……。

 教えないでおこう。


「ドラゴンの肉も米に合う」

「そりゃあそうじゃという話じゃ」

「バターやワインと合わせた時とはまた違う表情だな。醤油とラー油、後は紹興酒だったか」

「なんでこんなにご飯が進むんでしょうね?」


 そういや昔、ごはんがス〇ムくんとか居たな。

 思い出したわ。最近見ないな……。

 ――ファッ!? 販売終了が二十年前!? 嘘……やろ……。

 時の流れは早いもんだねぇ……。


「なんかカケルが一人でウンウン頷いてるぞ?」

「シッ! きっと新しいレシピを考えている最中なんだ、邪魔をしちゃあ悪い」

「酒かもしれんぞ」

「頭ン中見てみてぇな」


 ……ハッ!

 あまりの現実の受け入れられなさに現実逃避していた。

 あぶねぇ、あのままだと心が平成に囚われたままになる所だったぜ。


「戻って来たみたいだぞ?」

「と言う事は明日のレシピも盤石そうだ」

「だから酒の事かもしれんじゃろうが」

「誰か思考のトレースとか出来る奴いねぇのか?」

「エルフでも不可能な魔法を欲しがるんじゃありませんわ」


 ……?

 俺、なんか言われてたのか?

 まぁ、いいや。

 とりあえずマーボー春雨食べて気にしない事にしよう。

 ……美味っ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ご飯がススム君シリーズいまは、キムチとかカクテキがあるんですよね。好きなんですよ
今覗いたら謎の子供が無限にご飯を食べる映像が流れて汚染されてしまうぞ!
「なんかカケルが一人でウンウン頷いてるぞ?」 「シッ! きっと新しいレシピを考えている最中なんだ、邪魔をしちゃあ悪い」 「酒かもしれんぞ」 「頭ン中見てみてぇな」 なんか、頭の中見せたらあたたかい目…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ