バケツで作ってくれ……
「チーズが加わるとまた違った味わいになりますね」
「だろう?」
フフン、と得意気に鼻を鳴らすラベンドラさん。
ラベンドラさんに削って貰った、何チーズかも分からない異世界チーズ。
香りはそこまで強くなく、ねっとりとしたうま味とコクが口の中に広がる一品。
それがドラ墨の旨味とうまく調和して、口の中を長時間美味しいで満たしてる感じ。
モチモチのパスタは噛めば噛むほどドラ墨が溢れてくるし、何より普段食べるパスタより弾力があるんだよな異世界ファルファッレ。
分かりやすく言うならラーメンの太麺茹で方固め、みたいな。
……米食いたいな。
いや、パスタおかずに米は色々とおかしい自覚はあるんだけどさ。
ドラ墨が絶対に米に合う味してんのよこれが。
白米の上にファルファッレを2バウンド位させてから掻っ込みたいんだよね。
「マジでうめぇや」
「ブレス液、もちろん研究用に残しているな?」
「当たり前だ。そもそもあのドラゴンの大きさを知っているだろう? そのサイズから取れるドラゴンのブレス腺の大きさを考えれば、今回料理に使ったブレス液の量なぞたかが知れている」
「それもそうですわね」
……当たり前にブレス腺とか言う単語が飛び交ってるけど、なんか言いたいことが分かる不思議。
この辺は翻訳魔法さんの本領発揮って感じ。
「ちなみに明日以降もブレス液は使えるんです?」
「何かレシピを思いついたか?」
「まぁ……」
正直に言おう。
一個だけ、このドラ墨で作りたい料理が出来ちゃったんだ。
「ならば今日ブレス液は置いて帰ろう。明日、カケルの料理の腕に期待して、な」
「任せてください」
また明日、ここに来てください。
本当のドラ墨料理って物をご馳走しますよ。
……本当のドラ墨料理ってなんだよ。
「ちなみにお代わりはあるか?」
「出来るぞ」
「ワインもありますよ」
「両方お願いしますわ」
「俺も」
「わしも」
と言う訳で俺を除く全員が、ドラ墨パスタセカンドシーズン。
ついでにワインも。
「しっかし、本当にワインに合うな」
「赤の渋味と酸味が、ソースの旨味を最大限に引き立ててますわね」
「微発泡の方も抜群じゃぞ?」
「濃厚なソースやチーズと微発泡の相性が最高だからな」
……こりゃあ買って来た分全部飲まれるな。
まぁ、それを考えて今日は質より量で買って来たんだけど。
しかし、千円前後でここまで楽しまれるなら、ワインにとっても本望だろうよ。
「カケル」
「はい?」
いきなり呼ばれてびっくりした。
何事ですか?
「すまない、パンはあるか?」
「? ありますけど」
「残ったソースをパンにまぶしたい」
「なるほど」
クッソ美味しそうな提案するじゃん。
俺もすればよかった。
えーっと……これでいいか。
「焼きます?」
「焼く」
と言う訳で買って来ていた米粉を使ったブールパンをオーブンにイン。
からの着火!
米粉パン、美味しいよねぇ。
あのモチモチした食感がさ、特に味ついて無くてもあの食感だけで食べられる気がするもん。
で、焼き上がりを全員に配る。
「表面はカリっとパリッと、中はフワフワモチモチ……」
「本当にこの場所のパンはレベルが最高水準なんですわよね」
「作り方の違いか、材料の違いか……」
「焼き方や使う道具の違いもあるぞい」
……普通にその辺のお店で売られてますけどね、そのパン。
なんだったら、日本で一番有名なパンメーカーのやつですけどね。
春になると白いお皿のキャンペーンするあのメーカー。
「美味い! 濃厚なソースをどっしり構えて受け止めるパンの度量よ」
「ソースの邪魔はせず、けれど決してソースに負けない素晴らしいパンですわね」
「このパンに合わせるならもう少しソースにバターが欲しい所だ」
「言うな、食いたくなるだろうが」
「マジでうめぇ……」
……お皿がほぼ使う前みたいな感じになってる。
ソースがほぼほぼ残ってないでやんの。
そんなに相性良かったのか……。
「これだけ相性がいいならば、ブレス液で作ったソースを塗ったピザトーストなんかを持ち帰りたくなる」
「あ、美味そう」
「それ採用でいいんじゃないか?」
「食べたいですわね」
恐らくはラベンドラさんが何気なく言った一言も、俺に拾われ採用されて。
今日の持ち帰りはドラ墨ピザトーストに内定。
脳内で材料の確認……うん、足りない材料はないはず、ヨシ。
「だが待て」
「どうしましたのマジャリス?」
そんなお持ち帰りムードに、一人待ったをかけるマジャリスさん。
これはもしや……。
「デザートが先だ」
「ですよねー」
ですよね~。
まぁ、安定の? というか、知ってた、というか。
マジャリスさんが意思表示をする時はデザートかワインの時だって相場が決まってるんだ。
俺が決めた。
「まぁ、あれだけ言われたので用意してますよ」
「流石カケル」
これで用意してなかったら何言われるか分からないし。
「じゃあ持って来ますね」
という事で立ち上がり、まずは冷蔵庫の豆乳プリンから。
「お好みできな粉と黒蜜をかけてどうぞ」
「ひゃっほい!! いただきます!!」
と、勢いよく豆乳プリンにがっつくマジャリスさん。
「ちなみにお代わりは無いです」
勢いが大きく削がれるマジャリスさん。
……なんだかなぁ。




